- Amazon.co.jp ・本 (155ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163911915
感想・レビュー・書評
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ちょっと最近気になる作家、これまでもやや不条理気味の小説を読んできたが、本作はずばり不条理小説、かな。しかし人間ひとつ間違うとこうなってしまいかねない設定でもある。変だ変だと思いながら最後まで読ませてしまうのはこの作家の力なのだろうか。
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奇妙すぎる世界観だが不思議と好き。最後のストーリーが一番好きかな。
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今作はちょっとファンタジーより作品でしたね。
ちょっと切ない短編3話。 -
短編が三つ入っている。
最初が表題作で、読むと、今村夏子アベレージより低い印象。いつもいつも傑作は書けないもんなあ、それにしても表題作がこれだと、他もそうでもないのかも、なんて思いながら読んだら、他二つはとても良く、特に最後の「ある夜の思い出」は良かった。もうひとつの「的になった七未」とあわせて比べると、タイトル単体なら、確かに表題作が良い。作品としての出来ではなく、タイトルで選んだのではないかと思った。
三つとも、語り手の女性は、家庭に恵まれず、友達もなく(どころかいじめの対象である)、もちろんお金も社会的地位もないのだが、それを身を切るような不幸とは感じていない。というか、自分が幸せになれるなんて、全く期待していない。だから、どう見ても怪しい人の親切(実は下心あり、普通はわかる)にも喜びを感じるし、自分の責任ではないことを申し訳なく思う。そこら辺が、ぼんやり書かれているのに、とことんリアルで、薄ら寒いような、切ないような、不思議な気持ちになるのだ。これは、今村夏子にしか書けない。
「的になった七未」なんて、客観的に見れば虐待を受けて、悲惨な末路を辿る女性の話なんだが、不幸を不幸と認識すらできないほど不幸に慣れきっている人間にも、極たまによろこびを感じる時があり、そのよろこびは、所謂幸福な人のよろこびに劣ってはいないどころか、いつも薄ぼんやりと不幸だからこそすごく大切で輝いているんだと、苦しく切ない。
最後の「ある夜の思い出」も、人間が普通にペットとして飼われている話なんだが、もちろん社会批判とか、ディストピアとかそういうんではないところが、他の作家とは違う。普通の家庭で飼われていた男性ジャック、どうしているだろう、と考える。彼なりに幸せだといいな、って。
装画がとても可愛い。もちろん普通の可愛さではないけど。今村夏子に合っている。
表紙の毒キノコみたいな角の生えた、毛のあるトカゲみたいなのが、最高にキュート。木原未沙紀さん。覚えておこう。 -
やはり独特の感性で作者の才能があふれている作品だという事は理解できる。 所謂イヤミスと言うか後味の悪い感じが受けてる時代かもしれないがこれはホントに読後感が悪い。と言うか読んでて気分が悪くなる。 それほどの想いをしてまで読む価値があるかと言うと少し疑問。 この作品で作者が伝えたいことが今一つ僕には判らない。 憂鬱になる前に一気に読み切った作品。
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もう今村さんはいいかな・・・それにしても、この薄さで1200円!文学作品危うし!
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読み終わった直後☆3にしたのですが、朝起きたら☆4に鞍替えしました。
奇妙過ぎる話ですが、ボディーに残る強さがあると思います。
①自分の手からは誰も食べ物を食べてくれず、生まれ変わったら木になって、木の実を生き物に与えることを望む亜沙
②幼い頃から誰も自分に物を当てる事が出来ないと気付き、いつか自分にも何かが当たる事を願って奇矯な行動をとり続ける七未
③15年間のニート生活で這いずりながら生きる女性が、街で這いずる男性と出会い突然の結婚話。
あらすじを書いてもさっぱり意味が分からないですが、読んでも全部が分かるわけではないです。時空が歪んでくる感覚が有りますが、妙に可愛らしく切ない感じもします。
万人にお勧めしませんが、シュールな話が好きであれば受け入れられると思います。 -
亜沙(人)が死んで、前世での未練を果たすべく割り箸に転生するおとぎ話みたいな話。おもしろい。名前が漢字まで同じで主人公への感情移入がしやすい分すごい複雑な気持ちになった。ゴミ屋敷に居心地良さそうに生きる亜沙が想像できた。
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今村さんの小説は発想が奇抜だったりするが、その中にも現実的な人間的なものが見えて読んでて楽しい。表紙のイラストのインパクト強し。