- Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167259280
作品紹介・あらすじ
戦え、と天はわれに命じている。天意を感じた関羽はわずかに笑み、そして孫権の兵に突入し斃れた。復讐を誓い荊州に出兵した劉備だったが、自らも死の病に伏す。三十余年の霸道を駆けぬけた魏王曹操もついに崩じ、王位は嗣王の曹丕に。戦国の英雄たちの死によって後漢王朝期は終焉を迎え、今ほんとうの三国時代が始まる-。
感想・レビュー・書評
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夏侯淵、曹操、関羽、張飛、劉備・・・・・。巨星が瞬く間に落ちていく。一つの時代が終わりゆく境目の巻である。関羽の感情の疎隔を象徴しているような益州と荊州の版図の広がり。但し不自然は続かない。水が高いところから低いところへ流れていくように世の中は自然に動く。謀略はすべて道理にかなっており、そこには伝説も奇跡もない。ただただ合理があるだけである。死ぬ間際まで潔さを示さなかった劉備。創意も工夫もなく、凡庸を貫き凡庸を突き抜けてしまったところに劉備の不思議さがある。劉備とは一体何者だったのか。
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依然、『正史』に準拠した展開、淡々とした筆致で興味深い。
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曹操と劉備、二つの巨星は落ちた。
劉備、関羽、張飛の三義兄弟の死のきっかけは、明らかに関羽の北伐にある。秋の霖雨を利用して関羽が魏に対する北伐を強行し、魏に通じた呉が関羽の背後を襲い、関羽が死に、正気を喪った張飛と劉備が復讐に及ぶも失敗し、結局死に至る。一連の流れは蜀という新興国の統制の無さ、と捉えるのが妥当だと思うが、卑しくも背後を襲った呉に対する憤りを前面に出せば、三国志演義のように見方が変わってくる。
思えば、正史三国志には「桃園の契り」のシーンは出てこない。これが羅漢中の創作なのだとすると、この三人を義兄弟と描いたのは、三人の死に様から得た着想なのではないか、と思ってしまう。
とまれ、後漢末の混乱を駆け抜けて曲りなりにも新秩序を構築しようとしてきた創業者世代は世を去った。三国の相克を乗り越えて平和な治世を取り戻せるのかどうかは、曹丕や諸葛亮など第二世代の力量にかかっている。 -
英雄たちの挽歌・・・というほどでもなく、あっさりと歴史は進行していくリアルさ。
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曹操、関羽、張飛、そして劉備が逝く。
例によって感情移入の余地のない冷静な描き方。
反対に関羽に斬られる龐徳の死は詳述される。
常々、関羽はなぜ劉備と連携せずに北伐を敢行したのか疑問だった。作者は劉備、関羽のそれまでの生き方や、彼らの思考方法を推理していくことでその答えを求めていく。それも一つの解なのだろう。
では、なぜ劉備、関羽の死に諸葛亮が関与してこないのか?
この辺の件は歴史の「たられば」が尽きない。 -
先生の曹ヒの扱いが辛い。
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ただただ淡々と淡々と進んでいく
主要人物が軒並み亡くなったいくが、特に大きな盛り上がりもなく、訃報を伝えるがごとく、淡々と
新巻が楽しみです -
今回は漢中王即位から蜀南征までが描かれています。
この間に、主要なメンバーがかなり亡くなりました。
関羽、曹操、張飛、呂蒙、張遼、ホウ徳、曹仁、そして劉備。
宮城谷さんからみた蜀陣営は、どうやら正義ではないようで、
劉備や関羽に対しての採点が辛いような気がします。
(特に関羽が劉備と距離を置こうとしていた、いう記述は
びっくりしました。)
今回気になった将は、田豫、張既、李恢でした~。