我らが隣人の犯罪 (文春文庫 み 17-1)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167549015

感想・レビュー・書評

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  • 唸ってしまった。スペードのトランプがある。裏を返すとハート。それを又返すとダイア。さらに返すとクローバー
    宮部はニコニコ笑いながら読者に喧嘩を仕掛けながらほくそ笑んでいる。

  • 宮部氏はデビュー当時、出版各社の開催する新人賞を複数受賞しており、一体どれが実質的なデビューなのか迷うところがある。
    いわゆる一作家として作品が単独で刊行されたのは『パーフェクト・ブルー』が最初であるが、それ以前にオール読物新人賞の短編部門を本書に収められている表題作にて受賞しており、実質的なデビューはこの作品と云われている。
    しかしその後『魔術はささやく』で当時新潮社が開催していた日本推理サスペンス大賞を受賞して、これが世間的認知度が高かったことから、『魔術~』をデビュー作だと思っている人が多いくらいだ。実力のある人というのはこのようにあらゆる賞を獲得する物だから非常にややこしくなっている。
    とまあ、好事家的な詮索はこれくらいにして、本書の話題に移ろう。

    本書には5編の短編が収録されている。
    受賞作である表題作が最も長く、個人的にはそれほど評価は高くない。世間の評判どおり、私もこの短編集でベストなのは『サボテンの花』。
    いやあ、学校物に弱いのもあるが、実に教科書的な本格ミステリ的物語に加え、最後にホロリとさせる人情話がマッチして、今でも強く印象に残っている。ちなみに私は某雑誌の投稿欄に宮部氏の最も好きな作品でこの短編を取り上げ、一行感想を書いて送って採用されたことがある。

    その他の作品で印象に残ったのは『気分は自殺志願』くらいか。これはストーリーやプロットそのものよりも味覚障害という残酷な症状に冒された登場人物が鮮烈に記憶に残っている。私自身、おいしい物を食べることに目がなく、なんと恐ろしい病気だろうと恐怖に震えたものだ。

    その他「その子誰の子」は当時ちょっと話題になった社会問題を反映した内容。

    「祝・殺人」は最後のバラバラ殺人の意図がちょっと面白いとは感じたが、普通のミステリか。この理由に使われているあるシステムは当時精力的に導入され始めていたのだろう。そういう観点から読むと、当時の世相を反映していてなかなか興味深い。

    当時私は事ある毎にこの本を勧めていた。しかし推薦する対象は読書好きの人ではなく、普段本を読まなくて、読書でも始めようかと思っている人たちだ。
    「暇だから本でも読もうと思うんだけど、何か面白い本ない?」
    と聞かれるたびにこの本を勧めていた。中には一緒に書店に行って買ってやった人もいる。それくらいミステリの布教活動に勤しんでいた時期があったのだ。
    この本はそういう読書初心者、ミステリ初心者には入門書として内容の軽さといい、読みやすさといい、まさにうってつけの作品だった。今振り返って見ると、なんと刊行は1990年、文庫版は1993年だからもう30年近くも前の作品だから、今では勧めるには古さを感じるかもしれない。

    あ、ちなみに勧めた人たちは全部女性です、念のため。

  • 処女作である「我らが隣人の犯罪」を含め、計4篇併録されている。内容としては、ミステリーというよりサスペンスドラマに近いだろう。私が一番感銘を受けたのは、表題作。隣人の飼い犬が四六時中、吠えて生活がままならない、親戚の叔父と共謀して屋根裏から犬を連れ去るという内容だが、犬を連れ去るシーンは住人に見つかるのではないかとドキドキする内容だった。

  • アッサリ味で喉越しの良いミステリ。

    ツルツルと上品なお蕎麦。

    僕は食べる順番を間違えたなぁ。

    ダビンチコードを観た後だったからか物足りなくて…

    短編集はアンティパストとするならとてもいい作品。

  • 文体が平易で読みやすいからか軽く感じていたのだけど、読み終わってみると短編集でありながら読み応え十分。さすがだな、と思わされるデビュー作。

  • 短編集。『気分は自殺志願』が特に好き。

  • ほほえましいミステリー。

  • 宮部みゆきさん、たくさんあり過ぎていつもどれから読んだらいいかわからない。
    これはデビュー作?心に残るかは別としてテンポが良くて面白かった。

  • ミステリが苦手な方や宮部作品が初めての方に、お勧めです。短編集ですしどのお話にも人間の温情みたいなものが見え隠れして読み易いのではないでしょうか。

  • 宮部みゆきの初期の短編集で20年以上前の作品。という前情報があったからか、
    『トリックのための筋書き』という感じがしなくもないです。
    しかし、短編なのに登場人物を容易に想像できる表現力は素晴らしいですね。
    「自殺志願者」がおもしろかったです。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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