イギリスはおいしい (文春文庫 は 14-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 125
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167570026

作品紹介・あらすじ

アフタヌーン・ティーを飲むと、イギリス文化が見えてくる。フィッシュ・アンド・チップスはオシャレなのか。-不評極まるイギリス料理なれど、イギリス文化を会得すれば、これまた実に美味なるものなり。リンボウ先生のご説、ご覧あれ。日本エッセイスト・クラブ賞受賞の話題作、「新レセピ」のオマケが付いて文庫版登場。

感想・レビュー・書評

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  • イギリスと言えば料理のまずさでいの一番にやり玉に上げられる国である。この本に出てくる料理もやっぱりあまり美味しそうには見えない(読めない)。ただし、イギリスの食事を楽しむ姿勢に関しては一目置きたい。この本に登場する人物は誰もがとても自由に食事を楽しむのである。この雰囲気を見習わなければならないと思いつつ、本が出てから30年以上経つがこの雰囲気は今でもイギリスに残っているのかも気になったりする。
    他に注目する点と言えば食材の違い。リンゴひとつとっても日本と全く違うものになっているのが新鮮で面白い。鱈(haddock)と真鱈(cod)の区別なんて日本人つかないもんね。
    著者のウィットに富みつつも軽い文体も読みやすいのでおすすめ。

  • 『イギリスはおいしい』(単行本1991年刊)は、件の国滞在が長かった日本文学者・林望氏が綴る、英国食文化にまつわる<味わい深い>エッセイ集です。
     イギリスの食事はおいしくない、という不名誉な噂をしばしば耳にするわけですが、真相は……!? 実際イギリスで暮らした著者の舌体験に、食に対する広範な知識を載せて、名調子が繰り広げられます★

    「他人を外見で判断してはならない」とよく言われるけれど、著者の紳士然とした容貌、あの口ひげの形! 一見して「いかにもイギリスと相性がよさそうな方だ」と思ったのは私だけではないはずだ☆

     この単行本版が発表された1990年代、日本をイギリスブームが席捲したのか、それとも本書がイギリスブームに火をつけたのか? 記憶が定かじゃなくなりましたが、気づくと周り中がイギリス党になっていた時期がありました★
     極私的な話だけど、90年前後に付き合いのあった友がシャーロキアンを気取ってロンドン情緒にあこがれ、私自身はその隣で、英語圏の児童文学や童謡殺人(あわ…)、切り裂きジャック(わわ……)などの関連書籍を読みふけるのが、厨二の日常だったのです★ 本書を読まない理由などありませんでした。

     食感はともかく癖になる食事情に思いを馳せたり、エリートが海外で自炊に奮闘する生活を想像したり、熱々のフィッシュ・アンド・チップスに顔をうずめる場面を羨ましがったり。一行一行一言一言、しつこく声に出して読んで笑った! そうしたくなるほど、いちいちユーモアが滲んでいる本書★

     久々に再読。英食が興味をそそるのはもちろん、林氏の日本言語化がツボにはまるのだと分かりました。「~かもしれない」ではなくて「~かもしれぬ」、「いいですか?」ではなくて「よろしいか?」。真似したくなるけど決して自分には似合わない、失礼ながら時代がかった日本語で再現されるイギリスは、たまらぬ味…です☆

  • イギリスと林先生にすっかり魅了されました。

  • 林望(1949年~)氏は、慶大文学部国文学科卒、同大学院文学研究科博士課程単位取得退学、東横学園女子短期大学勤務後、1984~87年にケンブリッジ大学及びオックスフォード大学留学、東横学園女子短期大学助教授、東京藝術大学助教授を経て、フリーの著述家となる。国文学者、書誌学者。英国滞在中の体験をもとに、英国の食文化・英国人の食生活について記した本作品で日本エッセイスト・クラブ賞(1991年)、『林望のイギリス観察事典』で講談社エッセイ賞(1993年)、『謹訳 源氏物語』(全10巻)で毎日出版文化賞特別賞(2013年)を受賞。
    私は、1990年代に数年間英国に駐在し、本書の存在は知っていながら、当時読むことはなく(今思えば、なぜ読まなかったのか不思議である)、今般、過去に話題になった本を新古書店で片端から購入して読んでおり、本書も初めて手に取った。
    内容には、英国滞在中に自分でも経験したこと、英国滞在当時またはその後に耳にしたこと(その中の一部は、きっと本書が出所になっているのだろう)、今般本書を読んで初めて知ったこととがあったが、英国の食に関して、何を置いても強調しておかねばならないことは、やはり、英国人には味覚が(ほぼ)ないということであろう。私が強烈にそれを感じたのは(丸ごとまたはその半分の)ローストチキンを食べたときで、あのパサパサかつ全く味のない肉に閉口したのとほぼ同じことが、本書にも書かれているのだが、英国人が料理に無神経なのは、ピューリタン的禁欲主義や、伝統的に「目の前にある飲物や食べ物にある種の無関心を払うのが、行儀がよいと考えられていた」ことが理由である、という記述には正直驚いた。
    一方、英国の食に関して、好感の持てる点ももちろんあり、著者と同意見なのは、パブとチップス(=日本でいうフライドポテト)に関するものである。と言うのは、パブはどんな小さな街にも必ず一軒はあり、国内を車で旅行しているときに、パブで食べられるチップス(+肉とか魚)のランチは、小さな子ども連れにはとても重宝したからである。
    また、本書には、典型的な英国料理(スコーンやローストチキン)の作り方なども詳細に書かれており、その点、料理好きの人の興味も惹くだろう。
    近年は、ロンドンの食事情も様変わりし、最新のミシュラン3つ星レストランの数は、ニューヨークと並んで5店で世界5位!(因みに、1位東京12店、2位パリ10店、3位香港7店、4位京都6店)だというが、英国の庶民の食生活も変わったのだろうか。。。機会があればまた是非訪れて、それを確認してみたいものである。
    (2023年3月了)

  • イギリスの食文化が面白おかしく書かれている。
    何度も吹き出してしまった。

  • 30年ほど前のベストセラー。イギリスに興味を持ち、文庫版を手に入れることができ、読むことができた。さすがに表現など時代遅れな感じもあるが、質の高い文章だと思う。今読んでも読みごたえがあり、読めてよかったと思った。最近のりんぼう先生の著作は知らないのだが、今現在、イギリスに対してどう思っているのか、知りたいし、とても興味がある。

  • 久しぶりに読んだ。
    この本を読んでイギリス好きが確定した。
    筆者のイギリス愛があふれる本書。
    ただ、テーマになるイギリスでの食。
    やはり決定的にイギリス人には食に対する価値観は相当低いようだ。
    書かれた時からは時間が経っているので、今は違っていると思いたいが。

  • 日経土曜版で紹介されていたため借りてみた。
    イラストが素敵。

  • イギリスの料理はまずいけれど、美味しいものはちゃんとある。

    僕も2年間ロンドンに住んでいたので共感できることがたくさんあって楽しめました。

    cox's organge pipinも、ムール貝も、ルバーブも、スコンも、ソルトアンドビネガー味のクリスプもたしかに美味しい!

  • 2.00 文庫本

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著者プロフィール

1949年東京生。作家・国文学者。

慶應義塾大学文学部卒、同大学院博士課程満期退学(国文学専攻)。東横学園短大助教授、ケンブリッジ大学客員教授、東京藝術大学助教授等を歴任。『イギリスはおいしい』(平凡社・文春文庫)で91年日本エッセイスト・クラブ賞。『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』(Pコーニツキと共著、ケンブリッジ大学出版)で、国際交流奨励賞。学術論文、エッセイ、小説の他、歌曲の詩作、能作・能評論等著書多数。『謹訳源氏物語』全十巻(祥伝社)で2013年毎日出版文化賞特別賞受賞。2019年『(改訂新修)謹訳源氏物語』(祥伝社文庫)全十巻。ほかに、『往生の物語』(集英社新書)『恋の歌、恋の物語』(岩波ジュニア新書)等古典の評解書を多く執筆。『旬菜膳語』(岩波書店・文春文庫)『リンボウ先生のうふふ枕草子』(祥伝社)、『謹訳平家物語』全四巻(祥伝社)『謹訳世阿弥能楽集』(檜書店)『謹訳徒然草』(祥伝社)等著書多数。

「2021年 『古典の効能』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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