ブラッド・ブラザー (文春文庫 カ 10-4)

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  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167705961

感想・レビュー・書評

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  • 兄ちゃんのジェレミーが収容されている施設の所長がニューヨークで惨殺される。そして兄ちゃんも施設から脱走。捜査に駆り出されたカーソンは、ジェレミーが実の兄だと言い出せないまま、緻密な思考分析からくる直感を武器に事件の全容を明らかにしようとする。
    今回は特に構成の緻密さが半端ない。登場人物たちもそれぞれ個性的で影を持っていて、事件に違和感なくからんでくる。そして何と言ってもジェレミーの重要な過去が明らかになる。この止められない失踪感はディーヴァー以上だな。

  • ライダーシリーズ4作目。いままでとちょっと雰囲気の違う話。中盤まではいつものテンポの良さがない感じがした。最後もちょっとあっけない。

  • いやー、面白かった…久しぶりに海外探偵ものにたぎった。刑事の弟、連続殺人犯でサイコパスの兄、兄が矯正施設から脱走し、担当の精神科医を惨殺、兄を狩る弟の話かと思いきや…。繊細で軽妙な物言いの弟のカーソン、サイコパスを操る知能犯な兄。カーソンの兄ジェレミーが物凄く魅力的。レクター博士の若い版、って感じ(恐らくかなり比較されて語られただろうけど)。変装が得意で、洒脱な物言い、ユーモアはあるが不遜、恐らくかなりハンサム、40代だがかなり若く見える、ずば抜けて知性が高い、シャーロックとレクターのMIX種、って感じ。ネタばれするから多くは語れないが、弟を父の虐待から守る為に父親を惨殺する兄を、弟の兄がどう受け止めればいいのかを未だ迷っていながら(刑事としての倫理観もあるし、事件後名前を変えて家族との関係を切っている)兄の事は誰よりも解っている。救われたのは間違いないのだが、と言う辺りが絶妙。ウィンチェスター兄弟の、天使側と悪魔側に引っ張られてる相反する感じと似ているのかもなぁ。表裏一体であるもの、違っているが裏返せば同じもの、と言う部分の描き方が。
    ジェレミーって、自分を虐待する父親を止めなかった母親に酷い憎しみを抱いているし、自分の担当精神科医の女医をビッチ扱いしてたりするので、恐らく同性愛者ではないかと思われる。そういう描写はなかったが、NY来てからの変装の第2弾が中堅どころのこなれた中年のゲイだったからなぁ。年取ったおかまのみっともない扮装をしているくらいだから、そう言う人種も軽蔑してそうではなるんだが。と言うか、ジェレミーが掘らせる側に回る、ってのは想像が出来んけど。オラオラ攻めっぽいしなぁ、物腰柔らかく洒脱な物言いが出来るが、根本ドSっぽい。対峙するどんな人間よりも頭が回る。
    序盤はよく読む感じのサイコパスを追う刑事ものなんだけど、驚愕のどんでん返しがあって、その中心にジェレミーがいて、まあ、その下りにかかると、ジェレミーかっけぇ!!!ってなってしまうから夜寝る前に読むもんじゃなかったよ、怒涛の終盤を(笑)。脳が覚醒してしまって寝付けなくなった(笑)。いやー、カーソン・ライダーもの、もうジェレミー出てこないのかなぁ…サイコパスを群衆から見分ける能力、その心理状態を瞬時に読み込み操る支配力、ジェレミーが刑事になったらさぞ優秀だろう。弟のカーソンも当然その血を内に秘めている訳だが。

  • カーソン・ライダーシリーズ第4弾、今回主人公の秘めたる実兄でありサイコキラーのジェレミーが大活躍、サスペンスとどんでん返しとサービス満点のエンタテイメント。シリーズとしても一段落する結末、総じて面白いのだけど、敢えてケチをつけてみたいと思う。

    まぁこのシリーズの読者なら誰もが感じていると思うのだけど、カーソンモテ過ぎるって!出会いは最悪だったのにすぐに恋仲、いや肉体関係になっちゃって…今回のアリス嬢登場からもう展開は読めました。第3作でクレアとの思わせぶりシーンで終わって、彼女の存在は?以来肉体関係にあるとは言及されてるけど…カーソン二また?ラストはメキシコ湾を望むシーンでカーソン、ハリー、アリスの三者会談だが、ここまでアリス来ちゃっててクレアとの修羅場とかなかったんか?モヤモヤする…

    忘れてた!3作で修羅場を演じたディーディー・ダンベリーってどこいっちゃった?ラストがクレアとのアレだったから別れたんだろうけど、なんの説明もないし!1作目のヒロイン、美人監察医だって別れた理由や、今どこで何してんのか?くらいはサラっと説明されてたのに、美人レポーターの扱いって…パリの熱い夜はどこいっちゃったんだよぉ~哀しいぜ!モヤモヤする…

    優れたミステリーシリーズと思うけど、カーソンの女遍歴物語の側面には納得できない。女遍歴を語るならプラトニックな悲恋、つまり「寅さん」に落ちつくのだ、話が可笑しな方向へ行ってしまう。

    以下真面目にネタバレ感想




































    今作のラストにおいて、シリーズ4作がジェレミーの脱獄の物語だったのか!と個人的驚愕ポイントはそこであった。過去3作(厳密に3作目にはジェレミー一切登場しないが)に描かれていた様々な事象が伏線に落ち着くのか?と再読の必要性を感じている。
    サイコキラーと思われていたジェレミーの真実が覆るのだが、はて?これはどこまでが真相なのか?と勘ぐると4人の女性の殺人のうちジェレミーは全てにおいて無実だった?最初の殺人においては真犯人、黒幕の描写があったが残りはどうだったんだろ?全てにおいて手を汚していなかったのか?人称変化による「ほのめかし」はあったけどどうなんだろ?ピンチにおけるジェレミーの思い切りの良さを見ると、殺人において素人とは思えなかった。

    今作で一つの区切りがついたのだろう、次はとうとう自由を得たジェレミーとカーソンの対決構図という新たな局面が予想できる。これはこれで面白そうだ。

  • カーソン・ライダーシリーズの4作目。前作はなんだかぱっとしなかったが、今作は最高です。シリーズものはやはりシリーズ最初から読まないとだめだねと思った作品。ただし3作目はなくても大丈夫だが。
    NYに呼び出されたカーソンは、兄の失踪と、殺人を知る。そして兄の過去と向き合う中で様々なことに気付かされる。この過程はきっと再読すればもっともっと分かるはず。殺人の描写でナイフにまつわる人称の変化も、理由が分かればうなずける。再読すればもっともっと書き込まれた伏線の細かさを知ることが出来るだろう。
    最後真犯人が意外とあっさり分かってしまったことで、あまり驚きは感じなかった。海外ミステリー慣れなのか、それともやはりディーヴァーの方が上なのか。これからディーヴァーを読んで比較してみよう。
    シリアスになりすぎず、かつ練りに練られた、まさにその結論のために作り出された力作だと感じた。
    ちなみに解説を読んでしまうとなんとなく結論なり、兄が真犯人でないことが分かってしまうのではと思うので、本編から読むことをおすすめする。

  • シリーズだったのか…でもこの一冊で十分楽しめた。何が誰が悪なのか、二転三転して騙された。

  • とても読みやすく、かつ読み終わってしまうのがもったいない位飽きさせない内容。読み終わった後は衝撃に打ち震えるっていうことは特にないけどよく出来てるな~という感じになる。もし映画化したら絵的にも見ごたえありそうかな

  • 舞台がいつものアラバマからニューヨークに。カーソンはいつも態度が悪い女と結局恋に落ちるんだよな、と思いながら読んだら案の定。第一印象は最悪でした、というパターン。カーソンの秘密がばれないかどきどきしながら読んだ。日本と違って名前変えるのが簡単でいいなアメリカ。というか日本だけらしいけど名前変えるのがこんなに難しいのって。日本だったら戸籍にばっちり記録残るからすぐばれるよなあと。アメリカでも名前は変えても社会保障番号とかは変わらないんじゃないの?かなとか不思議に思った。カーソン、アラバマの大学いってたのかとわかって、身元ばれたくないならなんで同じ州にいるんだろうって不思議に思った。地元出ないと結局知り合いにあってばれると思うんだけどいくらアメリカでも。大まかにしかわかってなかった過去のディテールが明らかになって面白かったけどいろいろ設定につっこみいれたくもなった。でもまあ面白いからよし。かな。次作ではまた別の女と恋仲になってカーソンはいつまでも結婚しないに一票。運命の女性とは出会わないというかジェレミーとの絆の方が強いから恋愛の絆が一番になりにくい感じがする。結婚するとしてもでき婚とかかなあと、カーソンの今後を勝手に邪推。

  • カーソン・ライダーシリーズ4作目。
    ジェレミーお兄ちゃんがはっちゃけてます。
    もともとIQが高いという設定ですが、
    その多才ぶりを遺憾なく発揮して水を得た魚のようです。
    前3作まで頭脳明晰な凶悪殺人犯という役どころでしたが、
    今回娑婆に出て嬉々として動き回る姿は、
    なんだかやんちゃ坊主のようで思わずにんまり。
    不謹慎かもしれませんが、
    ジェレミーの過去の犯罪に至る経緯が明かされて、
    衝撃の(?)事実も判明したのでそのせいもあるんでしょうね。
    反対にカーソンは大ピンチで手に汗握りました。
    何しろ舞台はニューヨークで完全アウェイ。
    捜査陣に容疑者の弟だと告白しなくちゃいけないけど、
    そうしたら捜査からは外されて、
    誰よりもジェレミーを理解しているのに、
    間違った方向へ行く捜査を正すことができなくなる。
    泣きたくなる様な罪悪感とか吐きそうになるくらいの緊張感が、
    読んでいて伝わる気がしました。
    結末はカーソンとジェレミーに甘い感じがしないでもないですが、
    この兄弟がまた何かやってくれそうな予感を残しています。

  • 連続殺人犯のお兄ちゃんの名前がジェレミーだったから買ったという不順な動機。

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