おまえじゃなきゃだめなんだ (文春文庫 か 32-11)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167902759

感想・レビュー・書評

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  • 好きな感じの短編集だった。本当に短いストーリーがいくつも入っている。指輪にまつわる2組のカップルのストーリーがいちばん好き。婚約指輪。離婚指輪。自分の婚約指輪とか結婚指輪とか、結婚式を挙げたこととか、そういうのが全部、より大切に思えるようになった。

  • 最後の消えない光の二組の話が本当に好き。
    私も結婚指輪いらない、式も、旅行もいらない。そんなのなくていい派なんだけど、耕平のいう「永遠であってほしいと願っている正真正銘今の気持ちを、変形しないうちに、かたちにしたかった。」とか武史の「自分たちの日々の区切りとして、もしそういうとくべつな何かがあったとしたら、きっと今俺達の気持ちはそこに戻っているんだろう」という気持ち。
    そういうのを確認するための結婚指輪なのかもしれない。
    第二話の『扉を開ける』の紀子のように、「漠然と消えてしまいたいと思ったあのときに、見つめるものがあってよかった」「見つめ返す強い光があってよかったって」と言うように。
    ただの形だけの指輪ではなく、結構私が思っているよりも意味のあるものなのだと、説かれている気がした。
    縋りたいときに縋れる記憶、思い出があるというのは、心の支えになるのかもしれない。
    角田光代の文章はあっけなく私の気持ちを優しく揺るがしてしまう魔法がある。
    素敵な宝石のような一冊でした。

  • 短編集。いいなぁと思えるものと、なんだこれと思ったものと、落差が激しい短編集だった。

  • 何かの冊子などに寄稿したような短編の集まり。
    「消えない光」は良かった。結婚について考えさせられる。
    また、山田うどんの話や家にまつわる話もいくつか良かった。ここら辺は青春の回顧がテーマ。

    初めの方に載っている、ジュエリーや宿の話は内容が浅く、まるでケータイ小説に感じた。

  • うーん、まあまあ。最後の消えない光が良かったです。途中ちょっと飽きてしまった。

  • ショートショートみたいな超短編は物足りない。
    最後の比較的長めの話は良かったけど。

  • 初出の雑誌のテーマやコンセプトに沿って書かれているものも多い。
    ジュエリー絡みのお話が多いのもそのため。
    それにしても、さまざまなカップルの形、場所に関する思い出の形が、丁寧に繊細に描き分けられている。
    日常、フッと心をよぎること、男女の考え方、感じ方の違いなど、大袈裟でない事を拾い上げて文章にしているのはさすが。

  • 恋愛についてうだうだ考えながら
    飛行機と新幹線と誰もいない部屋でひたすら読んだ。

    そのときにしか感じられない感情とか
    あとになってから見えてくることとか
    そんなことだらけだよなー、恋愛って。

    どの道を選んだら幸せとか、
    確実な正解なんてないんだよなー。

    結局、そのとき後悔しないように迷いに迷って自分で決めることなんだよね。

    表題作である山田うどんのお話が、今の自分には刺さってきた。

  • 恋愛がテーマの短編集で、連作みたいになっている作品もある。
    何も心に響かない作品も多かったけど、注文を受けて、それにきっちり答えて書き上げるのだから、やっぱりプロだなあと思う。
    表題作に出てくる「山田じゃなきゃだめなんだ」と、飽きっぽくて習い事が長続きしない女の子のエマ・ヌマタ的な表現が面白かった。
    最後の離婚指輪には、じんとくるものがありました。
    お互い嫌いじゃないのに、すれ違ってしまう、何故と思うと切ないですね。
    ただ、私もルールに縛られた生活は息が詰まるなあと読みながら思ったけど。

  • 様々な媒体に発表した小さな物語たちをまとめたものらしい。全体的に小粒なので☆も少なめにした。ただそれはこれらの物語の掲載された場が影響していると思う。恐らくクライアントの要望、つまり宣伝効果を満たしつつ、"凄すぎない"一編であること。そんなわけで、この手の物は得てしてあまりにも特徴がなく面白みに欠けるわけだけど、さすが角田さんだなぁと思ったのは、そうした物語たちの中にもふと目に留まる光った箇所があること。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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