- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167908942
感想・レビュー・書評
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前作『いとしいたべもの』に続く森下典子さんによる食べ物エッセイ。今回も味わい深いイラストと共にとても面白かった。
この本を読むと、食べ物というのは思い出と深く結びついているんだなぁと。わたしは森下さんが子供時代を過ごした1960〜70年代を知らないが、昭和の古き良き時代ってこの辺りの年代なんだろうなと思う。
学校から帰って日の当たる縁側で読書をしながら食べたおやつのこと、夏休みに田舎の岩手の祖父母の家にひとりで行って親戚の子たちと毎日楽しく遊んだことをふと思い起こさせた和菓子『沢辺の蛍』、中学受験のほろ苦い思い出と共にある横浜元町の老舗洋菓子店嬉久屋のチョコレートケーキ、小説『風と共に去りぬ』の古き良きアメリカ南部の農園主の暮らしぶりの中で描かれていた朝食のワッフルを自分が初めて食べたときのこと、どれも美味しい食べ物と共に幸せでときに切ない雰囲気を感じられるお話ばかり。
晴れた日曜の午後、陽当たりの良い部屋でお昼前に和菓子屋から買って来たばかりの鶯餅とほうじ茶を愉しみながらこの本を読んだ自分(日曜日最高!)も、鶯餅にまつわる思い出として、何気ない今日のことが後から懐かしくなったりするのかなぁと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ペヤングにホットケーキ、柿ピー
潮干狩り、カレーにダックワーズ
いちいち あー、あるある
あのねあのね、私はね
って いちいち言いたくなる本だった
思い返すと
食べ物に纏わる思い出って
特別な、何処ぞのナンチャラとか
高級レストランだったり
流行りの食べ物のじゃなくて
その辺に 今もすぐあるものだし
自分が子供のころだったり
娘が小さかったころだったり
家族絡みが多いんだなー ってね
イラストも可愛いかった
てか、こっちが続編なのね?
前編の いとしいたべもの
もう手元にあるから
読むことといたしましょう
(*´艸`*)
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「いとしいたべもの」に続く、美味しいイラスト入りの、森下典子さんのエッセイ。
この、イラストがとても好きだ。
食べものの描写を読めば、鼻腔に香ばしい香りが流れ込み、舌の上には甘くとろける、あるいはホロホロと崩れる美味しいものが出現する。
思い出と共に語られる味は、とくに胸がジーンとするものが多かった。
単なる懐かしさに加えて、帰らない物への哀惜の念が込められているからだろう。
おわりに書かれているように、平和が続くことを願ってやまない。 -
メモ
太宰府 清香殿 卵白の半生菓子 梅の時期
6月 末富 上生菓子 沢辺の蛍
7月 琥珀色の寒天 ハマグリ 京都
9月 清水五条 高台寺観月茶会 虫の音
大船軒 鯵の押寿し 紫と黄緑縞模様 鎌倉駅
横川駅 峠の釜めし
横浜元町 喜久屋 チョコレートケーキ -
森下典子『こいしいたべもの』文春文庫。
『いとしいたべもの』に続く、著者の自筆カラーイラストと共に綴られる食べ物に纏わる22編のエッセイ。食べ物の記憶と、著者がこれまで生きてきた証が温かい文章で綴られる。
著者は『典奴どすえ』を書いた方。何とも懐かしいが、あの頃に比べると文章に円熟味が増している。 -
日常の食の中に出会いや別れが書かれていて
前作に続き、ほっこりした作品。
今作はお菓子の描写多め。
和菓子から洋菓子まで美味しいものばかり。
日常で食べるものをこんな風に
表現できることに改めて感動。
前作の『いとしいたべもの』で
どハマりし、今作も絶対読みたいと
思ってたので大満足!!
前作よりは今作の方が切なさが
多い感じがしたかなと!
個人的には1番最初の
読書のおとも、が好きでした( •̤ᴗ•̤ )♡
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「いとしいたべもの」に引き続き、とても素敵な本だった。とにかく読んでいてよだれが出てきてしまうような、そんな食べ物の描写がたくさん。今回は食べ物よりも森下さんの思い出によりフォーカスを当てているような感じがして、作者の人となりをエッセイを読みながら感じるのが好きな自分にとってぴったりの本だった。おすすめ。
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美味しそうな文章とイラストが私の五感を刺激します。
食べ物とその当時の経験がほとんど私も同じというのがちょっと感動的で、まるで自分のことのようで随所「そうそう」とう頷いたり共感したりしながらあっという間に読んでしまいました。 -
こんなに匂いのする文字、他にないと思う。
身近な食べものについて、こんなに柔らかく匂いや温度の感じる描き方ができるのは、本当に素晴らしいなぁ。
特に「ダックワーズ。名前そのものが食感になったようなお菓子」ということば選び、すきだなぁ。