あしたの君へ (文春文庫 ゆ 13-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167913779

感想・レビュー・書評

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  • 家庭裁判所調査官の新人大地の話し。
    新人の大地が悩みながら、本質に迫る大切さを学ぶ姿に共感できた。
    5話の短編になっているので読みやすい。
    どれも面白かったが、親権を争う後半2話の夫婦の話が良かった。

  • 主人公は家裁調査官に採用された望月大地。
    家裁調査官と言えば、「チルドレン」「サブマリン」の陣内と武藤もそうだったよな。

    大地は調査官の後ろに「補」がつき通称“カンポちゃん”。
    こちらは見習いなので、家裁で扱う少年事件と家事事件の両方を経験するということで、窃盗を犯した17歳の少女、ストーカーで捕まった16歳の少年、大地の同級生の離婚話を挟んで、夫からモラハラを受け離婚を申し立てる35歳の女性、最後は両親の離婚・親権争いにももみくちゃにされる10歳の少年といった、5つの事案が描かれる。
    同じ職業を描いても伊坂幸太郎とはタッチは異なり、正統派に描くとこうなるというところだが、いずれにせよこの仕事、本当に大変だ。
    筋書きとしてはよく練れているし、最後の話など情況が二転三転する運びも面白いが、主人公がイジイジしているのがいまいち面倒くさい。

    しかし、福森って福岡のことだよね。
    研修所がある和光が実在の地名なのに、こっちはわざわざ仮の街にした意味が分からないなぁ。

  • 悩みを抱えているものがいる。
    その悩みを、どう表現するのか?処理方法がわからない。
    そこから、いろいろな問題が発生する。
    家庭裁判所調査官補の大地自身も、悩みを抱えていた。
    第一話 背負う者(十七歳 友里)は、
    ネットカフェで母親と妹と生活していた。
    生活を担う役割を持っていた。
    第二話 抱かれる者(十六歳 潤)は、
    母親が、息子を愛する距離感がわからない。
    第三話 縋る者(二十三歳 里沙)は、
    家庭裁判所調査官補の大地が、思いを寄せていた。
    家裁の調査官に対して持っていた疑問を、
    理沙が理解を助けてくれた。
    理沙が離婚するときの相談相手として調停委員がいた。
    第四話 責める者(三十五歳 可南子)は、
    外から見るといい夫であるが、家庭に入るとモラハラを受け
    適応障害を受けるほどだった。
    どの実態は、家庭に入らないとわからない。
    家庭は、まさに密室なのである。
    第五話 迷う者(十歳 悠真)は、大地に
    親とは何か?を問いかけた。10歳であっても悩みは深い。
    少しづつ、家庭裁判所調査官補の役割を大地は理解した。
    著者の持つ 目線が、しっかりと心の中まで 
    見通していることに、素晴らしさを感じた。

  • 新人の家庭調査官補 通称カンポの愛称で呼ばれる主人公がさまざまな少年少女事件や離婚問題などを扱っていき、その事件の中で自問自答しながら成長していく主人公の姿が良かったです!
    短編5編の内容でしたが、どの短編も内容が濃くて良かったですね!続編も出るのかな?

  • 主人公は家庭裁判所調査官の見習いで調査官補なので、カンポちゃんと呼ばれる青年。
    仕事は、少年事件や離婚問題の背景を調査し、解決に導くこと。
    少年少女との面接、事件の調査、離婚調停の立ち会いと、実際に案件を担当するが、思い通りにいかずに自信を失うことばかり。
    青年の一途で一生懸命な姿が心を温かくしてくれる。
    家庭裁判所の前にある大きなクスノキが、じっと見守っている。

  • 子供に親権を決めさせるのが正しいのか。とは言え親の問題で子供に選択権が無いのもおかしい。全て親が悪い。今でも子供には申し訳ない気持ちでいっぱい。調停という場面が、過去の境遇を思い出せる。

  • 家庭裁判所調査官。人間模様。人は色んなものを背負っている

  • 家庭裁判所調査官補
    こういう職業を初めて知った。
    「カンポちゃん」と厳しく励まされながら
    真摯に向き合う主人公に好感をもった。

    それにしてもいろんな人が生きている。
    ふー

    建前と本音がぶつかる
    こういう人が必要なんだなあ

    好感をもった主人公だが、あと少し深みが欲しいな

    ≪ 全力で あしたの君が 歩くため ≫

    • アールグレイさん
      こんにちは!
      お久しぶりです!
      お元気でお過ごしですか?・・・梅雨、開けましたねぇ。
      水分、とっていますか?
      部屋の中も風通しや、エア...
      こんにちは!
      お久しぶりです!
      お元気でお過ごしですか?・・・梅雨、開けましたねぇ。
      水分、とっていますか?
      部屋の中も風通しや、エアコンをつけたり、涼しくして下さいね。
      私は、部屋の中ひとりで扇風機をかけっぱなしです。
      最近のかよこさんの読書、絵本がなくなりましたね。いろいろな分野に眼を向けているのかな?と思っています。
      読んでいると、異空間に行くことができる。
      (*^ー゜)♭♪☆
      2021/07/19
  • はじめての柚木裕子さんです。家庭裁判所調査官という、馴染みのない職業でしたが、困った人を支える大変なお仕事に心を打たれました。


  • 人間の心が1番怖い。
    でも、その心に触れたとき触れられたときが
    きっと心を動かすのだろうと思う。


    家庭裁判所調査官の仕事に一時期興味を持ってて、気になって読んでみた本。

    小説と言えど、自分には大地のような責任感や使命感はないかもなあと痛感した。
    大地の今後も気になるし、最後の離婚調停の行方も気になる。

    意外性はないけどすごく読みやすかった

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著者プロフィール

1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同作は白石和彌監督により、18年に役所広司主演で映画化された。18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の著作に『検事の信義』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオ咲く夏』など。近著は『教誨』。

「2023年 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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