勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版 (文春文庫 ち 9-1)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167914639

感想・レビュー・書評

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  • ■勉強を有限化するは面白かった。やや哲学的。

    ・一先ずこれを勉強したと言える経験を成り立たせる。
    ・勉強のメリットデメリット
     深く勉強するというのは、ノリが悪くなる事。
     ノリが悪くなる段階を通って「新しいノリ」に変身する。
     来るべきバカに返信する、自己目的なノリ
    ・勉強は無限に広がるため、「ここまででいい」と言う有限化を設定する必要がある。
    ・教師は「このくらいでいい」と勉強の有限化をしてくれる存在である。

  • ●勉強の目的とは、これまでとは違うバカになることなのです。その前段階として、これまでの様な馬鹿ができなくなる段階がある。
    ●純粋にたった1人の状態はあり得ません。自分は「他者によって構築されたもの」である。
    ●言語習得の過程でも私たちは、他者から物の考え方の基本的な方向付けを受けてしまいます。
    ●言語偏重のひてぬれな

  • 書くこと、勉強することに関してアクティブになれる本。卒論書く前に読んでおきたかった。

  • 抽象的な表現や独特の比喩が多用されており、理解が難しかったです。一度読んだだけではよくわからなかったので、また後日読み直してみようと思います。

  • 2021.2.14. 古書汽水社にて購入。

    学校の勉強に限らず、知識の習得に必要な、意識の持ち方から実践に使えるツールまで述べられている。学習意欲のある人や、社会人としての教養を身に付けたいという人向けではあるのかも知れないが、実は今の世の中で全般的に感じ取れる「勉強不足」に対する警鐘も込められている気がする。




    先ずは自分の所属する環境のノリにあえて乗らない。逆に言えば環境のノリに乗っていると「勉強モード」にはならないという事だろう。ネット・ニュースやSNSなどに絶えず流れる情報に乗ってしまうのも悪例として上げられている。



    環境のノリに乗らず立ち止まる姿勢をアイロニー(ツッコミ)と名付け、環境から大きくずらす姿勢をユーモア(ボケ)と名付けて「ノリの悪い人」を目指すのが深い勉強の始まりであると。




    更に、言葉の意味や使い方を正確に行う「言語偏重の人」になる事。自分自身が無意識に拘っている「享楽的こだわり」をあぶり出す為に「欲望年表」を作成してみる事。自分の感覚だけで取捨選択しないよう、小説的な描写を心がけた日記の作成。入門書や専門書の選び方からノート術など、多岐に渡り、徹底して論じられている。




    私個人としては、年表作成をスタートしてみたが、まだまだ。手書きのメモ活用や日記に至っては中々進まない。取り敢えずは「言語偏重」を意識した読書等試みている。

  • ドゥルーズガタリ生成変化、ラカン派精神分析過程に類似するような勉強のプロセスを構造的に描き出した著書。深い勉強とは、「統治への抵抗=非意味化する芸術的プロセス」。付記にあるように、専門的な語彙を経ず、哲学概念への橋渡しがされる自己啓発書と入門書の間のような本。
    環境に制約されて、可能性を狭くしか考えられない状態から抜け出すために、言語をもっと自由に使う=言語偏重になる。環境のノリによって即断せず、立ち止まって環境をメタに眺め、言語をアイロニー的・ユーモア的に使って、別の可能性をたくさん考える。これは、「賢く」なるということ。
    欲望年表作成、自己精神分析がおもしろい。
    ・メイン欲望年表
    生まれた時から学校就職などで区切る
    興味のポイント書き込む
    背景出来事商品作品人物
    20世紀より前に遡って、自分を歴史に位置づける
    ・サブ欲望年表
    妙に思い出されるこだわっていたこと、印象深いこと
    ・メインとサブを接続するキーワードをわざと作る
    それが人生のコンセプト
    専門分野はまず入門書。どのくらいのことを知っておけば「ざっと知っている」ことになるのか範囲を把握する。入門書は複数比較するべき。入門書の他に辞典としての教科書的な基本書を買っておく。〜の教科書、それの参考文献が基本書。
    自分のだいたいの理解と、正確な「文言」を分けて認識し、自分の理解をテクストの特定の箇所にきちんと「紐づける」こと。ある概念や考え方が「誰のどの文献によれば」なのかを意識し、すぐに言えるように、読書ノートをつける必要がある。勉強の経過をノート(アプリ)に書くことは、勉強の継続にとって重要。何を読んだのか、どこまで考えたのか、何がまだわからないのかなどを書き、いつでも簡単に開けるようにしておく。ノリの悪い友と、キモい友と、語りたくなる。 自己目的的なノリを楽しんでいる、来たるべきバカ同士の、互いの奥底の無意味を響かせ合うような勉強の語り合いへ。
    勉強しながら何かを制作することは、生活を楽しくするための間違いないやり方。何かを作りながら暮らしていくのが楽しい暮らしである。
    プラス、マイナスどちらかに決めつけようとするのではなく、両義性あるいは多義性の状態を許容する──なかなかそれに「耐える」ことができない人もいるかもしれません──のが文学的態度。
    重要なのは、言語に対して意識的であること。言語をそれ自体として意識することで、言語の操作性を高める。言語は、思考の可能性を広げてくれるものであると同時に、自由な運動を抑圧するものでもある。だから、言語に対して意識的であるということは、言語との闘い。

  • ポストモダン思想の成果と今の私たちが使っているリアルな言語に基づき、私たちが内面化している価値観(著者は「ノリ」と表現)を相対化した上で、新しい価値観に出会い、深く知るための勉強の考え方とその考え方に基づく具体的指南書。

  • 補章が日常生活に当てはめられていて、分かりやすかった。まさに勉強の哲学の本であった。哲学的なところは少々難しく感じたが、読み進めるにつれてつながってきて、なるほどなと思った。具体的な勉強法も書かれていて良かった。別途ポイントをまとめておきたいと思う。

  • 私が頭が悪すぎるせいか難しい内容だった。

    佐藤優さんの解説がこの本の要点をまとめていて
    とても分かりやすかった。
    本文を読む前に解説を読むといいかも?

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著者プロフィール

1978年生まれ。立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授。
著書に『意味がない無意味』(河出書房新社、2018)、『思弁的実在論と現代について 千葉雅也対談集』(青土社、2018)他

「2019年 『談 no.115』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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