恋愛前夜 (キャラ文庫)

著者 :
  • 徳間書店
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本棚登録 : 624
感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784199006432

感想・レビュー・書評

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  • せつない幼馴染みもの。「隣の猫背」というのが表題作の前に入っていて、これはトキオとナツメが10歳で出会って隣同士に住むようになってから、高校生になって別れが来るまでの年月が描かれています。
    とても詳細に二人の間の出来事が描写されているので、肌感覚でトキオとナツメの気持が理解できます。片親同士で、恵まれた環境とは言い難い子供時代を送ってきた二人だけど、良い事も嫌な事も互いの絆の一部になっていて、その積み重ねがあるからこその愛なんだなと感じさせられます。トキオのナツメに対する気持が単なる恋じゃないのが伝わってくる。なのに、ナツメには友情以上の関係がわからなくて、トキオと離別してはじめて彼の存在の大きさに気がつくのが悲しいです。身近な人への片想いの辛さが半端なく伝わってきます。失ってはじめて分かる大きさです。

    この前フリがあるので「恋愛前夜」は、二人重ねた年月の重さがとてもよく理解でき、読むと切なくてたまらなくなります。
    もう一度トキオとやり直せると思い勇んで上京したナツメの前に、辛い現実が重なっていくところは痛かった。新しい恋人との仲むつまじさを目の当たりにしたナツメに、思い切り感情移入してしまいました。何よりヤコ先生がステキで憎めなくてナツメには太刀打ちできないくらい良い人だったのが大打撃です。おまけにヤコ先生は情が厚くて、かわいらしさもあって、マンガ家としての実力もあって、恋敵であるナツメに優しかったりするし。
    三角関係でも、こういう誰も悪くないというのは結局誰かが最後に辛く悲しい思いをしなくちゃいけないので、後味がちょっとよくなかった…皆を幸せにしてあげたいと思うのは一読者のわがままですが。

    二人の想いが通じ合ったのはすごく良かったと思いました。ほっとしました。「死ぬほど好き」な気持を封印し続けたトキオの心の葛藤も伝わってきたし、両想いになれてよかったと感じます。互いをよく知るナツメとならば、平穏で幸せな人生を送れるんじゃないかと言う期待を感じさせます。心残りはヤコ先生。トキオは何もなかったように、以前どおりの師弟関係に戻れるんでしょうか。

    イラストが甘くて優しくてぴったりで、口絵もステキでした。

  • 幼なじみモノ。
    出会ってから、ずっとお互いがかけがえのない存在の2人。
    ある事件がきっかけで、受けの側を離れて、先に夢に向かうことになる攻め。
    攻めの想いを知って、受けは混乱するがそれでも離れたくない。

    体をよせあうけれど、結局分かれてしまう1話目。

    離れたことで、自分の恋に気付いた受けは、今度こそと上京するが
    仕事先は倒産、攻めには恋人が…。
    彼らが再び通じあうまでの2作目が表題作。


    元々、アップダウンの激しいお話を書かれない凪良さんの
    さらに緩やかに切なく進む。

    当て馬、すごく良い人なんで、人によっては素直に萌えられないかも?
    ぜひ彼が幸せになる続編を!

    報われなくても、攻めを応援し、当て馬さんを思い泣き
    自分の現状に凹みながらも頑張る受けのキャラは、凪良さんらしいです。


    攻め目線もちょっと見てみたい。
    しかし、優勢順位は当て馬さんの幸せ物語です。何よりそちらを!

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著者プロフィール

1973年生まれ、京都市在住。2007年、BLジャンルの初著書が刊行され、デビュー。17年『神さまのビオトープ』を刊行し、高い支持を得る。19年『流浪の月』と『わたしの美しい庭』を刊行。20年『流浪の月』で「本屋大賞」を受賞する。同作は、22年に実写映画化された。20年『滅びの前のシャングリラ』で、2年連続「本屋大賞」ノミネート。22年『汝、星のごとく』で、第168回「直木賞」候補、「2022王様のブランチBOOK大賞」「キノベス!2023」第1位に選ばれ、話題を呼ぶ。翌年、同作の続編にあたる『星を編む』を刊行した。

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