暇と退屈の倫理学

著者 :
  • 朝日出版社
4.20
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  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784255006130

感想・レビュー・書評

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  • 今年のベスト5にはいるな。

  • 果てしない消費のサイクルから抜け出す行動=浪費=贅沢→満足

    まえがきとあとがきがちょっと気持ち悪い。

  • 言葉にならないことを言葉にしてもらえるというのが読書の一番の効能かもしれないととても高慢なことを感じることがしばしばあるのですが、これもそういった意味で傑作でした。

    森に居た方が幸せだったのに、と山っこの自分は小さい頃から思っていて、山遊びをしていたときの充実感、あれを知っているから多分毎日わくわくしたりそれを追い求めたり出来るんじゃないかという胡乱な予感はあったので、ああこれかあと膝を打ちました。

    すべては暇つぶしだよなあというのもありふれた論ですが、じゃあなぜ、いつから、どのように暇になったのか、きちんと論じられることが重要なのだと思います。とにかく勉強になった。

    噛み砕いてお子らにも話をしています。これは是非、早いうちにぶち当たって、どんどん一緒に考えていきたいこと。

    これまでの分析というのは明確なのですが、これは人類が抱える宿命のようなものだけに、作中後半はぼんやりしておりました。答えを出す指針を示そうというものかと思いますが、そこはなんかこう…自分でやってるからいいよ、というか、自分でやってる以上に良い方法を提示されたわけではなかったというか。のであまり記憶に残っておりません。理解が出来なかっただけという可能性も大。

    死が終わり過ぎて本当に嫌だ!と思いながら日々生きてる人間の戯言なのですが、およそ退屈したことはないです。全てのことは無意味なのだと確信しているのですが、その上で面白いってのがいいんじゃないか!いや、「こいつ/これ、つまらねーな!」はよくあるなしかし。

    でもこれ、多分きちんと言葉にできないと、あるいは言葉にできなくても表現できないと、伝染させられないんだというのがいつまでたっても宿題です。

  • 初めて哲学に触れました。

    あらゆる言葉を駆使し、その現象を説明しようとする姿は、とても興味深いものがあります。他の哲学者の本も、たくさん読んでみたいと思わせてくれました。

    価値観の変わる本だと思います。
    http://www.tv-aichi.co.jp/bp/wadatti/?p=9799

  • 現代人がなんとなく抱えている「退屈」という不安定な感情を、社会学や人類学、哲学など様々な視点から切り込み、新たな視野を開こうとするまさに「インフォリッチ」な哲学書。

  • 普段思いもしないテーマを扱った本。結論はいまいち理解できなかったが、認識を整理するとても良い機会となった。大切なのは、動物になる、とらわれること。

  • 疑問に思ったことあったから、ノートを取りながらもう一度しっかり読んで、疑問点を洗い出したいと思ってる。
    抜群に面白い。

  • 課題図書

  • 消費社会のからくりを歴史的な観点から論じる傑作

  • 暇と退屈の論理学
    大変平易に、様々な疑問に解を示してくれる、良書だと思う。

    例えば人間の欲望の正体を、パスカルを引用し、欲望の対象・欲望の原因と分けて説明し、
    結局人は欲望の原因を満たしたいのであって、欲望の対象が欲しい訳ではない。ということが述べられている。(例:ウサギが欲しいのではなく、うさぎ狩りによる苦労をしたい)

    また、幸せとは何か、については、ラッセルを引用し、熱意を傾けられる物の有無である、と説明している。(例:発展中の国と先進国の若者はどちらが幸せか)

    時間とは何か、については、ユクスキュルを引用し、瞬間(人にとっては1/18秒)の連続である、と言い切っている。(ちなみに1/18秒とは、人間の視覚・聴覚が感知しうる最小の時間と言っている。映画のコマ数やCDのサンプリング周波数の元になっていると思う)

    このように、日常の言葉について、様々な人の文献を引用しながら、根源的な悩みに答えを出している事がわかると思う。

    図書館で借りて読んだが、購入してもよいと感じた。

  • 現代社会が兎に角速く、もっと速くとコトを推し進めてきた弊害が、なぜ起こったのか、その原理がわかる気がする。

  • 暇と退屈の違いや、贅沢さ、豊かさとは何かについて言及している一冊。人間の生活様式に着目し、遊牧生活から定住生活に変化するうえでの退屈が発生してきている、という考えは非常に納得できました。

  • ■人間行動

    A.現代人は自分が何をしたいのか自分で意識することができなくなってしまっている。
    広告やセールスマンの言葉によって組み立てられて初めて自分の欲望がはっきりする。

    B.現代は、供給が需要に先行している。
    いや、それどころか、供給が需要を操作している。
    つまり、生産者が消費者に「あなたが欲しいものはこれなんですよ」と語りかけ、それを買わせようにしている。

    C.人類の肉体的・心理的・社会的能力や行動様式は、遊動的生活にこそ適している。貯蔵は移動を妨げる。
    遊動的生活がもたらす負荷こそ、人間のもつ潜在的能力によって心地良いものであったはずである。

    D.レジャー産業とは何をしていいのかわからない人たちに、したいことを与えることだ。
    レジャー産業は人々の欲求や欲望に応えるのではない。
    人々の欲望そのものを作り出す。

    E.何かによって退屈させられているとき、その何かがもつ時間にうまく適合していないことになる。

    F.18分の1秒位内で起こることには人間には感覚できない。

    G.新しい環境は人に考えることを強いる。
    そうやって考える中で、人は習慣を創造していく。
    習慣が獲得されれば、考えてたいおうするという繁雑な過程から解放される。
    習慣を創造するとは、環境を単純化されたシグナルの体型に変換することだから。

    H.人間は考えてばかりでは生きていけない。
    それはひどく疲労することであるから。
    だから人間は、考えないですむような習慣を創造し、環世界を獲得する。

  • 暇と退屈について数々の哲学者からの引用を交えながら解説していき、最後には作者の意見で締められる。
    こういった本を読むと読むことに夢中になってフムフムなるほどで終わってしまうから、再度読むときは少し考えながら読んでみたい。

  • たぶん人生最良の読書経験になった。退屈の第三→第一に逃げるのをやめて、皆に暇を許す社会への変革に貢献したい。ガルブレイスやコジェーヴの甘さへの批判が痛快。

  • なるほどなと思った

  • 哲学書に分類されると思うのだが、哲学に関する知識を全くもたない自分でも楽しく読むことが出来た。過去の哲学者の主張や著者の意見を説明する場面では、論理的つながりのわかりさすさに注意を払ってくれており、読んでいて置いてけぼりをくらうような事態はまず無いと思う。

    人間は木の実を採取し、狩りを行うという移動型の生活を長い間続けてきた。ところが最近になって農業という技術が発明されると、定住型の生活に切り替えてしまった。自由に、しかし命賭けで毎日の狩猟生活を続けてきた人間が、ある日を境に定住生活なんて送り始めて、「退屈」を感じないわけがないのである。

    このように、本書は人間は退屈を感じるのが当たり前の生き物であるという前提に立ち、人間が「退屈」という感情とどのように向き合っていくべきかについて考察している。

    「暇」「退屈」に関する過去の様々な研究に触れながら、少しずつそれらに対する理解を深めていくという本書の流れは、様々な視点から自分の中の「退屈観」と向き合う機会を提供してくれ、面白い。
    一方で、一貫して「暇」「退屈」というキーワードと向き合ってはいるものの、あまりに多くの話題について触れているため、一読して本書の内容を体系的に理解することは出来なかった。また、著者の結論もあまり印象に残るものではない。

    興味がある人は読んで損をしないと思うが、興味を示していない人にこちらから薦めるほどではないかな、という感想。

  • 人間が生きていく上でどうしたって突き当たる問題を、「暇」と「退屈」という独自の視点でまとめあげ、難解なものを平易でわかりやすく解説されている。

  • ゲンロンサマリーズで要約を読んで、気になったので読んでみた。論文・専門書と一般書の間を行ったり来たりしている、そんな印象を受けた。文体は平易で分かりやすいが、内容は専門的(時に専門的過ぎる?)で、テーマである「暇と退屈」に対する深い考察は素晴らしいと思う。まさに「なんとなく退屈だ」と普段感じている人に、是非一度手に取って読んでみてもらいたい。

  • 図書館で借りて読んだのだが、読むのが遅いもので読み切れなかった。
    この本はちゃんと買って読もうと思う。なんかCD売らなきゃ。

  • 新宿の紀伊国屋だったか?のフェアで紹介されていて、読んでみました。
    大学の講義がもとになっているらしく、章が新たになるたびに、それまでのおさらいをしてくれるので、非常に読み進めやすい。
    パスカル、ニーチェ、ラッセル、マルクス、ハイデガーなどなど沢山の哲学者たちの説が引用され解説されている。自分ではそれぞれ通読できそうもないけれど、その若干しつこいんじゃないかってくらいのおさらいがあったお陰で、最後まで挫折することなく読み通せたと思う。
    また、始めの方に、特に注は読む必要なし!と書かれていて、心強かった(笑)
    こんな先生が大学にたくさんいればいいのに。

  • 「暇と退屈の倫理学」を読ませていただきました!私は「仕事は生きてる時間の格好の暇つぶし」と思っているので、その裏付けを突きつけられ、驚きました。私は仕事もその周囲の人も好きですが、夢中が現実逃避という考えに腑に落ちました。あと、誕生日も同じ7/1で勝手に共感させていただいてます。

    人間であることを楽しみ、動物になることを待ちかまえる

    疎外の意味が読み取れなかった

  • こんな分厚い(自分にとっては)本、一気に読んだの久しぶり。
    何度も読み返し、咀嚼して、自分の中で対話させたい内容でした。
    古今の哲学者を、熱く、時にバッサリ切り捨てていく論述は、國分センセイの江戸っ子なキャラを思い出すとより面白い(笑)

  • ★2012年SIST読書マラソン推薦図書★
    ★図書館だよりNo.42山庄司先生紹介図書★

    所在:展示架
    資料ID:11102087

    本を読んで読書マラソンに参加しよう!
    開催期間10/27~12/7 (記録カードの提出締切12/13)

  • ハイデッガー哲学を方法論に哲学・心理学・生物学を使って文明の発生までを説明する。知的興味に溢れている。

  • 先日帰省して飲んでいた時に、戦国武将マニアの友人がポツリともらした
     「戦国時代は主君に仕えていればいいので、今よりもある意味楽な時代だったよな」
    という言葉が、自分の中でずっと引っかかっていました。

    そんな時に
     「その先にあるのは大義のために死ぬことではないのか」
    というこの本の宣伝文句に惹かれ、読んでみましたが、なぜこう考えてしまうのかという構造が明快に説明されていてとてもスッキリしました。

    下記のように感じている方は一読されることをオススメします。
     ・自分で選んだ会社で忙しく働いているのになんか満たされない
     ・壊れてもいない、普通に考えればまだまだ使えるiPhoneを
      なぜ自分はこんなに早いペースで買い換えているのか
     ・休みが欲しいのに、休みになると何をすればいいのか分からなくなる

  • 著作のユニークさもさることながら、國分さんのべらんめえ調の熱量のある話しぶりには引きつけられます。

  • 思考の強制を待ち構える

  • 2012/10/07 購入
    2012/10/20 読了

  • 素晴らしい本。間違いなく、私に影響を与えてくれた一冊に入りそう。

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著者プロフィール

東京大学大学院総合文化研究科准教授

「2020年 『責任の生成 中動態と当事者研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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