対訳 21世紀に生きる君たちへ

  • 朝日出版社
4.08
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本棚登録 : 755
感想 : 76
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  • Amazon.co.jp ・本 (48ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784255990521

作品紹介・あらすじ

司馬遼太郎が小学校用教科書のために書き下ろした「21世紀に生きる君たちへ」「洪庵のたいまつ」および小学国語編集趣意書「人間の荘厳さ」を対訳で収めた新しい時代への道しるべ。

感想・レビュー・書評

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  • 司馬遼太郎さんから21世紀に生きる子供たちへのエールとも言えるメッセージ
    大阪書籍の6年の国語の教科書用に書き下ろされたものとのこと

    子供たちのみならず、中学生、高校生の青年にも読んでほしい
    大人が読んでも、背筋がスッと伸びる気がする

    自然への畏敬
    自分は生きているのではなく、大きな力によって生かされているんだという謙虚で素直な気持ち

    他人の痛みを感じる気持ちを持つ。この気持ちは本能ではなく、日頃の訓練によって身につけなければならないこと。そうすることによって他民族へのいたわりの気持ちも湧いてくる

    さらに、それらのことを訓練して身につけたくましい自己を確立していくこと

    私などこれから生きていく子供たちは、本当に大変だろうなと思ってしまい、暗澹たる気持ちになる時があるのだが

    「私は、君たちの心の中の最も美しいものを見続けながら、以上のことを書いた。
    書き終わって、君たちの未来が、真夏の太陽のように輝いているように感じた」

    という司馬さんの温かい希望に満ちたエールとも言える最後の文章にほっとした

    子供たちが未来に希望を持てるような世の中をつくり、バトンタッチしてやるのが大人に務めだなと感じさせられた






  • 世界文化社の方の実物を手に取った事がないのですが、こちらは安野光雅さんの絵が素朴でいいです。子ども達全員に読んでおいてもらいたい一冊。

  • 2018年のNHKの番組「日本のジレンマ」で、歴史を信じない、という発言があった。誰が書いたものかわからないのに、ひとつの歴史を信じるのはおかしいと。色んな人の歴史を見て、自分で歴史を選ぶと言う。なんて現代的な考え方なんだろうと思った。その答えに対して、歴史と向き合うアカデミア(学者チーム)は、自分の好みで歴史を選ぶのは危険だと言う。

    歴史に絶対はない。過去に戻って確かめられないからだ。でも、歴史に学ぶことはたくさんあると思う。それを、どう説明したらいいんだろうと思っていた。司馬遼太郎さんは、この本で素晴らしい答えを書いていた。「それ(歴史)は大きな世界です。かつて存在した何億と言う人生がそこに詰め込まれている世界なのです」と。そして、歴史の中に友がいると。歴史を愛していると。そう、これまでの歴史があるから、今がある。それを忘れてはいけない。

    あと、この中で心に残ったフレーズが二つ。ひとつは「人間は、人なみでない部分をもつということは、すばらしいことなのである。そのことが。ものを考えるばねになる」。もう一つが、洪庵が開いた適塾。「すばらしい学校だった。入学試験などない。どのわか者も、勉強したくて、遠い地方からはるばるとやってくる。〜ここでは、学問をする、というただ一つの目的と心で結ばれていた」。適塾は、のちの慶応義塾大学の創設者、福沢諭吉を育てた。学校の在るべき姿は、やはり歴史の中にあった。

  • レビューを書こうと思ったけど書けなかった。陳腐になってしまいそうで。

    おそらくぼくの人生になくてはならない作品。

  • 我におぼれず、信念を持つ、凛とした、古きよき日本人の姿。
    司馬さんからのメッセージとして、
    こころに入ってきやすいように文章にされている。
    どんなに時代や環境が変わろうと、
    人としての心構えだけは、変わらないものである。

  • クリスマスにもらいました
    母さんタに

  • 金大生のための読書案内で展示していた図書です。
    ▼先生の推薦文はこちら
    https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=18412

    ▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
    http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BA43956409

  • 歴史小説を書いてきた司馬遼太郎だからこその言葉が並んでいて、深く納得したし、伝えたいという強い気持ちが読み手の惹きつけるような文章だった。
    私たち一人一人が時代の担い手なのだから、のうのうと生きててはいけないなと思い知らされる。

  • ・2018/12/29読了。
    ・日本語だけなら30分で読み終わる。
    ・人間の荘厳さ、21世紀に生きる君たちへ、洪庵のたいまつの3部構成。
    ・荘厳さとは何か気になります。1ページに凝縮して書かれています。
    ・自己の確立、助け合うこと、たのもしさ、たかだかとした心、ずっしりとしたたくましい足どり。
    ・世のためにつくした人の一生、名を求めず理を求めず。

  • 綺麗ごとに触れたくて。
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    噂通りの名随筆。晩年、小説を書かなくなった司馬遼太郎は、この、小学生に向けた短い文章の執筆に半年をかけたという。

    大作家が語りかけていうるというのに、子供に向けた目線は低く、語り口は平易。奢りは、ない。過去に縛られず前をみて。でも過去との繋がりを感じて欲しい。
    大人が読んでも考えさせられます。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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