古書の来歴

  • 武田ランダムハウスジャパン
4.12
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感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (508ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784270005620

感想・レビュー・書評

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  • 文章を辿っていて、何気一文にぞわっとする瞬間がある。
    読んでいるうちに毛穴が開き、そこに冷気が入り込んでくる。
    一見その感覚は恐怖に近い。だがそれは紙一重で感動へと繋がっている、得がたい徴だ。
    その感覚は既に何度か経験がある。
    たとえば『8(エイト)』の停車場のシーン。
    前後の文脈は覚えていないが、あの情景はいまでもありありと目に浮かんできて、彼の声が耳元に蘇る「スラーヴァ!」
    この作品でもそんなシーンに出会えた。

    こういう本に出合えるから、やはり読まずには居られない。

  • ●サラエボ紛争を乗りこえたユダヤの祈祷書ハガダーの修復を依頼された女性研究者の母親や恋人との葛藤と、残された虫の羽や染みから推測されるハガダーの流転の歴史とが交錯しながら展開。主人公視点以外は、おおむね1時代で1エピソードの連作っぽいつくり。

    ●途中まで快調に読んでたのだが、1609年の登場人物の心情描写に細胞て単語が出てきたところで急に(いまさら)違和感が。なんだ歴史のかわをかぶった他のなにかだったのかーとようやく気づいて自己解決。←それまで何だと思ってたんだと言う・・・・。
    タイトルのカタさのわりに読みやすいと思います。意外に重量感がないんだよなあ。描かれた個々の人生は重いのに。(小声で)最後の展開が余計な気がしたりしなかったり・・・・。

  • 主人公がバンバン謎解きをするのかと思いきや、神の視点?からの謎解き(というか、ネタばらし?)でちょっと肩透かし。
    これまでの遺留品は偶然の産物だったのに、ちゃっかり自分で後世向けに謎を仕込む主人公。いいのか?

  • 「書物逍遥」のカテゴリに入れましたが、実はミステリ。実在の「ハガダー」が題材なので許して。

  • 100年前に行方がわからなくなった"ハガダー"(ユダヤ教の祈禱書)が、内戦直後の90年代のサラエボで発見。
    本来なら偶像崇拝を禁止したユダヤ教の聖典に、大量の挿絵があるのは何故?
    主役の豪州人女性古書保存修復家が分析し、発見した幾つかの痕跡ににまつわるエピソードが語られる。
    500年間生き抜いた奇跡の書物は、どのように作られ、関わった人々をどのような運命に巻き込んだのか?
    アルプスに生息する蝶の羽から、パルチザンのユダヤ人少女とイスラム教徒の学芸員が。
    付いていたはずの銀の留め金から、ウィーンのユダヤ人医師が。
    ワインの跡に混じった血から、イタリアの異端審問の聖職者が。
    海塩の痕跡から、スペインのユダヤ人製本師の家族が。
    そして挿絵の顔料に混じった猫の毛から、アフリカ人の奴隷が・・・
    原題の"People of The Book"が示す通り、一冊の書物に関わった人々の物語が語られます。
    ユダヤ教の書物なので、やはりユダヤ人の苦難の歴史が描かれます。
    そして本論の主役もまた、この"サラエボ・ハガダー"との関わりによって、恋人の裏切り、母親との確執、実父の存在など、運命の変動に翻弄される。

    キャサリン・ゼタ・ジョーンズが映画化権を獲得した作品。

    ニン、トン♪

  • やや文章の雑さが気になるものの、読み進めるうちに、物語に引き込まれて、気にならなくなる。
    『サラエボ・ハガター』とそれにまつわるユダヤ人の物語、そして、本の中の物語について思いをはせる。

  • 2010.03.28 朝日新聞に紹介されました。
    購入後、しばらく読まずに温めていた?!本。
    全体的にどんよりした雰囲気の中、
    話は章ごとに違う場所・人物について描かれていて、
    それでも全て「1冊の本」と関わりがあるものでした。
    表現の自由に制限がある国・時代・宗教の社会は
    こういう感じなのかな・・・と思いながら読み終えました。

  • 20100328朝日新聞書評

  • 古書鑑定家の主人公が、「サラエボ・ハガダー」と呼ばれる幻の古書の鑑定を依頼されたところから始まる物語。
    いくつもの時代を巡るハガダーの遍歴の物語と、その証を見つけようとするハンナの物語が並行して描かれていて、読み応えがありとても面白かったです!
    ハンナの人物像には正直なところあまり魅力を感じなかったのですが、ハガダーと関わった人たちの、いくつもの物語がとても愛おしく、
    もちろんそれらはフィクションですが、サラエボ・ハガダーは実在するそうで、ぜひ一度見てみたいなあと思いました。

    そしてどうやら、映画化されるみたいです。
    わたしの頭の中ではハンナ→モーラ・ティアニー、オズレン→ゴラン・ヴィシュニックでしたが、誰が演じるのかなあ(*´艸`)

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