泣かない女はいない

著者 :
  • 河出書房新社
3.31
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本棚登録 : 454
感想 : 103
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  • Amazon.co.jp ・本 (171ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309017051

感想・レビュー・書評

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  • こういう日常の、なんでもないようなことをうまく書くひとだなあやっぱり。表題作がすごくすきだ。桶川さんに惹かれていく主人公の様子が、劇的なことなどひとつもないのに手にとるようにわかってしまう。そのぶん、最後がすごくせつない。ほんとうにいいたかったことがいえなかった。さびしいなあ、こういうの。また、とか再び、とかそういった類のものが一切ないからなおのこと。あたらしくはじまってしまったこと、けっきょくうまく収まることができなかったのかなあ。主人公がいままで生きてきて泣いたことがないみたいなことをいっていたけど、桶川さんとの最後のシーンで少しずつほろりほろりと空気に感情を溶かしていくさまはすごく泣けた。ひさしぶりにいい恋愛ものを読んだなあと思った。
    ところで、この本カバー裏にもう1本話があるらしいのだけど、図書館で借りてしまったから読めなかった。文庫には収録されているのだろうか。

    (171P)

  • 物語全体に漂う空気感・雰囲気がよい。ラストの切なさがよい。
    全般的によかったな。

  • ラストシーン好きすぎる。男の子の服装まで浮かぶ。読み終えたて吐いた息の濃さ、閉じたページの手触りは一生モノ。読み直すたびにそういうのが薄れていってるのでもう読まない。クローズ。

  • 大宮駅からニューシャトルに乗っているところから、懐かしい気持ちと
    その時代と主人公の年齢が重なり感情が入る。
    作者は男性だが、女性目線で睦美の若い女子社員になじまない心情を描く。
    樋川さんを好きになってから、最後まで何事もなく淡々としてゆく感覚が
    逆にリアルで、寂しい情景が細かく描かれる。

    センスなし(短編)
    聖飢魔�の大ファンだったことを隠して、主人公は大人になり
    もう結婚もしている。
    前編もそうだったがキン肉マンの詳しい話が出てくるから、
    やっぱりこの作者は男性だったのを意識する。

  • ピサの斜塔は完成する前から既に傾き始めていたという。よくみれば塔の上部は辻褄をあわせるように少しずつ角度を変えて、なんとかまっすぐにみせようとしてある。

  • 作品全体のひんやり感、登場人物たちの孤独な雰囲気にぐっと心が締め付けられた。好きです。

  • 大下物流の事務に就職が決まった睦美。

    通勤途中で見かける、壁に落書きされたただことではないうまさのキン肉まんの絵があったり

    仕事の合間に10分間の「おやつ休憩」があったり
    昼休みは会社付近を散策して公園を見つけたり

    社長の横田さんが突然リストラされたり
    だらだらとした付き合いが続いていた四郎との関係や
    気になっていた樋川さんも仕事を辞めたりと

    些細なことだらけのなんてことない日常だけど、その一つ一つが淡々と書かれることによってゆるやかに読める。

    他2つの短編あり。
    「二人のデート」は付録みたいですぐ読める)^o^(

  • 全体的に、温度が低い。ふーん、という感じ。それで?というか。それでも日常は続いてゆく、というタイプなのだろうけれど。
    それよりも、奥付に書かれている書きおろし「二人のデート」が収録されていないのは一体何の間違いなのかしら。

  • なにか大きなインパクトのある、特別なことがあるわけではないけれど、平凡な日常の中にある確かな「変化」を丁寧にえがいている。
    個人的には樋川さんにすごく魅力を感じました。
    ラストシーンの切なさが、じわっとくる。

  • 静かな作品。
    屋上と地上で手を振るっていいな。
    ホイールが落ちてる理由が分かる場面が好き。
    樋川さんに惹かれた。

    2作目はもやーっと終わった印象。夫嫌い(苦笑)

    どちらも淡々と進む地味な日常(決してドラマとしては成立しないだろうな)
    もうちょっと女性としてたくさん経験してから読みなおしたい。

    「二人のデート」なんてどこにもないじゃないかと頭に?浮かべたまま図書館に返却してしまったけれど表紙裏にあったのか(唖然)

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著者プロフィール

小説家、俳人。「猛スピードで母は」で芥川賞(文春文庫)、『夕子ちゃんの近道』(講談社文庫)で大江健三郎賞、『三の隣は五号室』(中央公論新社)で谷崎潤一郎賞を受賞。近作に『ルーティーンズ』(講談社)。句集に『新装版・ 春のお辞儀』(書肆侃侃房)。その他の著作に『俳句は入門できる』(朝日新書)、『フキンシンちゃん』(エデンコミックス)など。
自選一句「素麺や磔のウルトラセブン」

「2021年 『東京マッハ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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