掏摸(スリ)

著者 :
  • 河出書房新社
3.34
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本棚登録 : 1746
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  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309019413

感想・レビュー・書評

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  • 芥川賞作家の話題作。
    身よりもなく恵まれない幼少期を過ごし、そのまま大人になった主人公は、掏摸を生業として夢も希望もなく暮らしている。裏社会の人間に弱みを握られ、否応なしに虫けらのように運命を弄ばれる姿は、あまりにも悲しくやるせない。
    他の登場人物も含め幸福感の漂う余地が皆無で、読後はいつまでも重苦しい気分に。だが反面、心の奥底に強烈に響く印象的な作品だ。
    英訳されて世界10ヶ国で読まれ、アメリカでは文学賞の候補にもなったそう。力量のある作家なので、他の作品も読んでみたい。

  • スリをして生きてきた主人公。
    繋がりを持たずに生きてきた彼がある子供と付き合うようになり、
    子供を質に裏の世界の仕事を手伝わされる事になる。

    哲学的な内へ内へ向かう内容で、
    終わりが唐突で続きが気になる。

  • いろんな著名人が絶賛してたので、気になってた作者。

    なるほど。
    単純に芥川賞、直木賞と分けるとするなら、
    完璧に純文学より大衆小説派の私には「これが純文学か~」という第一印象。

    こういうのを「待ってました!」と思ってる人がいっぱいいるんだろうな。

    私には雲を掴むみたいな…正直難しい(´・_・`)
    でも他ももっと読んで、中村文則の世界に触れてみたいと思う。

  • 本屋で平積みされて店員さんの随分熱心な手書きのお勧めまであったから読んでみることに。
    読みやすい文章とちょっと先もどうなるか分からないドキドキ感、一般人では(多分)関わらない世界観で一気に読んだ。
    けど…何故か何にも残らない。結局、何が言いたかったのか?伝えたかったのか?うーん、もう少し若い時に読んだらまた違ったのかなぁ。

  • スリは犯罪。悪いことだとわかっているけど、母親から万引きをさせられている子供を助けてみたり、主人公のやってることがちょっと正義に思えてしまった。でもいくら見かねたからとはいえ、子供に万引きの仕方を教えちゃダメでしょう。

    木崎から理不尽な仕事を依頼されて、失敗でも成功でも救いがないのが、闇の世界のコワさだと思った。

    あの子供の母親の言葉遣い「無理だし」「わたし全然悪くないし」「最悪だし」と知性が感じられないし、子供に万引き強要するなんて。こういう母親見ると、つい「神様は子供を授ける人を間違ってるんじゃないかなぁ」と思いたくなる。何でこんな人が母親になれるんだろうって。

    闇社会に生きているから、あの子供をそういう世界に落ちていくことを心配したのかな。あの子供、その後どうなったかな。何とか母親やDV男から離れて、児童相談所に保護してもらえていればいいんだけど・・・それが気がかり。

    私の場合、スラれてもスリを喜ばすほどお金持ってないんけど、それでもやっぱりスラれると色々と困るので、手荷物はしっかり持ってます。でもあんなに鮮やかな手口でやられたら、きっと気づかないだろうなぁ・・・。もっと気を付けなくちゃ。

  • 全体的にどことなく薄暗い雰囲気の漂う物語でした。それを逃れられない理不尽さが覆い尽くすような。
    木崎の計画はどこまで周到なのでしょう。
    ラストの西村の行動で、何かしらの綻びを作れていたらいいと思ってしまいました。

  • 評判になる理由が分からない。
    感覚的な内容が多く、理解する事が難しい。

  • 臨場感がありスピーディーな展開。結末が不可解。

  •  スリと言うと、時代劇での縁日のシーンしか思い浮かびませんでした。大店風の男に、ヤサ男がぶつかるような感じ。
     現代に生きるスリたちが、朝から晩まで笑って暮らせるような話かと、勝手に想像して読み始めました。最後まで、救いの無い内容でちょっと自分には合いませんでした。

  • すご腕のスリ登場! そのスリルは、まるで自分が盗んでいるようなドッキドキを味わえる!しかもなんかいいやつじゃん(笑

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著者プロフィール

一九七七年愛知県生まれ。福島大学卒。二〇〇二年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。〇四年『遮光』で野間文芸新人賞、〇五年『土の中の子供』で芥川賞、一〇年『掏ス摸リ』で大江健三郎賞受賞など。作品は各国で翻訳され、一四年に米文学賞デイビッド・グディス賞を受賞。他の著書に『去年の冬、きみと別れ』『教団X』などがある。

「2022年 『逃亡者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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