- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309030159
感想・レビュー・書評
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とんでもない本を借りてしまった。意味不明で理解できる次元を遥かに超えていた。
ホコリダケをパフパフ踏み歩いて山中胞子だらけにして歩き回るパフ屋とゆう秋限定の仕事があるとゆう。確か主人公は女子だったような気がしてたのですが、胞子が脳細胞に寄生したあたりから、無自覚の行動に導かれるまま山奥の怪しい世界に踏み込んでしまいました。粘菌あたりの話になって擬羽がびっしり生えてきて空を飛んでるあたりから降りてくると男になってる!?
無秩序な矛盾だらけの世界。
単調で意味をなさない文脈に寝落ちしてしまいました。
もう意味なんか考えて読む必要もないし、常識に囚われる必要も感じなくなって終わりからパラパラ読んで投了しました。
私には難解すぎて疲れました。恐ろしくもあり気色の悪くなる記述、特に繁殖に関するあたりはなんとも悍ましい。
そう思うのは私が人としての自覚、尊厳を持っているからだと思いますが、そういったものまで手離してしまったら人が人でなくなってしまう。
恐らく菌類の不思議な生態について擬人化して描いてあるのだと思いますが勘弁してください。菌類に寄生され共生しなければこれ以上前に進めませんでしたorz詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
笑えない土壌から面白さがひょっこり生えてくるような感覚。
しーーんという沈黙が、
ずーーっと鳴っているようなざわつき。
まるで音もなく胞子が舞うような、静かなる侵食。
脳内で絡み合う菌糸。
魅せられる、独特な世界。
ヒグチユウコさんの装画が絶妙にマッチ。
ほーっと呆けてるうちに、悪びれもなく菌は蔓延し、
それに対してこれといって危機感を持つ訳でもなく、
まぁそれはそれでいっか〜みたいな妙なゆるさが変に心地良い。
人々がなかなかどうしてきのこに魅せられるのは、
もしかしたら菌人化が進んでいる兆しなのかもしれない。
自分もなんかちょっときのこなのかも。
そんな風に思えてきて、
それでいて、
まぁそれもいっか〜なんて思えてくる、
不思議で可笑しな幻想小説。
ばふんばふんとページを歩んで
貴方も胞子を浴びたらよろし。 -
ばふん、ばふんときのこを踏んで胞子を拡散する「ばふ屋」という職業のある世界。人類は着々と菌に侵食され、山を歩いて空へ飛び立ち胞子をふりまいていく。『マタンゴ』的世界を消極的なユートピアとして描いたきのこSF。
きのこって確かに知れば知るほどこんなもの本当に食べてていいのかと思うよなぁ。そんなぼんやりした不安を抱きながらも美味しくきのこを食べている私たちの未来を描いた作品。複数視点の断章が次から次へと連なるように書かれていて、たまに視点同士が合流してストーリーらしいものが語られることもあるのだけど、それぞれの視点人物は個性が希薄で、全員がゆるやかにひとつに繋がり、思想を共有しているように思える。語り自体が菌糸を模しているのだ。
心地良いけれど気味が悪い。気味は悪いけれど抵抗するほど厭じゃない。そんなふうにして人類は地上の権限を静かにきのこに明け渡していく。地下の菌糸体を思えば、人間がきのこより繁栄したことなんて一度もないのかもしれないけれど。
『エイリア綺譚集』よりずっと好きだった。山白朝子の和泉蠟庵シリーズのようなしとっと浸透してくる語り口で、人間から生えるきのこは生食しても腹を下さないとか、そういうディティールがキモくていい(笑)。きのこを両性具有として書いているのも面白かったし。最後、腐女子と絡めたギャグだけ何?と思うんだけど、この人は女オタクに文学的な居場所を与えたいと思ってるんだろうな。 -
最後までわからなかった。
難しすぎるのか、深読みができなかったのか、、、。
時系列も難しく、やはり最後までわからなかった。 -
人間がきのこに寄生されて、共生するのが当たり前の世界。
かなり奇妙で奇怪な設定だけど、登場人物たちがみんな「この世界はそういうもの」という前提でいるせいか漂う雰囲気は呑気で穏やかなような。
むしろこれって現実よりも理想的な世界なのでは……って錯覚しちゃうよね。怖いね!
物語を楽しむというより、色々な人ときのこの関わり合いのワンシーンごとを味わう小説。 -
ヒグチユウコさんの挿画に「きのこ」と来たらこれは手に取るしかない。失礼ながら高原英理についてはゴシックハートとかエッセイ系読んでちょっと(ゴシック好きだけど自分とは合わない…)と思ってしまっていたのだけど、本書はとても面白かったです。
粘菌類が繁殖し、人類と共生…どころかほぼ人間が菌類に乗っ取られ「菌人」と化してしまった世界のおはなし。菌人にはさまざまなタイプがいて、空飛べる系とか面白い。おおきなひとつのストーリーではなく、いくつものさまざまな登場人物の短いエピソードの詰め合わせ状態。たまに繋がるエピソードや、再登場するキャラもいる。
擬音が独特で、粘菌世界とマッチしていて良かった。基本ファンタスティックなのだけど、実はグロテスクでもある。あと全然関係ないけど、子どもの頃なぜか自分にとって異常に恐怖の対象だった怪人キノコルゲ(※超人バロムワンに登場)のことを思い出しました。今見ると笑っちゃうんだけど、子供の頃は夢に出てきてうなされるほど怖かった…。
※収録
所々のきのこ/思い思いのきのこ/時々のきのこ -
存在する共存する抗う侵食する増殖する
きのこに満ちた幻想的で退廃的な世界で
人と きのこの境がぼんやりしていく
薄れていく意識と
残された個が向かう先を思う
どこまでもきのこの
まさに、なんたる きのこ -
一言で言うと。
意味は分からない。でも好きだ。
菌類が人に寄生し、人としての生を終える前に、どんどんキノコの苗床と化していく人間たち。
恐ろしい状況でもあるのに、それを淡々と受け入れて、なんとなく楽しんでもいるような感じが好き。少し不気味に感じつつも、ほっこりしてしまう不思議な本。 -
『きのこのなぐさめ』をよみおえたばかりで、きのこには果たして、宇宙的思考があるのではないか(あるいは宇宙人なのではないか。そんなことをいうと差別的かもしれなけれど)、と想っていたところだったので、まるでそのつづきのような物語にいたく感動してしまった。
菌類たちのための、わたしたちの躰。そんなことをおもうと、男根と茸のカタチがにていることのつじつまが、合うようにおもえるのだ。きのこ心が沸いちゃった、わたしも。
きのこたちがみせてくる脳内映像は、アピチャッポン。とけてゆく。きもちのいい。
「全世界が安心と不安の斑模様になっている。その渦の中心に、透きとおった、それがある。ある。」
「当時に比べると今は何もかもが明瞭にみえるように思えます。わたしが地上にいた頃は、そうですね、すべてが手探りの感じでした」
「何によって動いているか。何によって動かされているか。わたし、は。」
「茸たちは今も胞子を吐き、また撒いている。それは私の意識のように減らない。少し重荷だ。自分の考えというものが、局所的な都合から世界を類推し続ける営みが、面倒で煩いのに止められない。」