アメリカにいる、きみ (Modern&Classic)

  • 河出書房新社
3.69
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本棚登録 : 216
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309204796

作品紹介・あらすじ

アフリカの若き俊才、最年少オレンジ賞受賞作家のO・ヘンリー賞受賞作を含む初の短編集。アメリカにわたったナイジェリアの少女のふかい悲しみをみずみずしく綴った表題作ほか、いずれも繊細で心にしみる珠玉の短編全10編。

感想・レビュー・書評

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  • オレンジ賞、O・ヘンリー賞を受賞したナイジェリア出身の作家の短編集。
    それまでわたしが抱いていたアフリカのイメージが、なんて薄っぺらな一面的なものだったかを知らされる。ビアフラ戦争なんて知らなかったし。ナイジェリアのセレブなんて想像したことさえなかったし。
    そして一方当たり前のことをも再認識する。人種も貧富も関係なく、人はだれしも嘆いたりさげすんだり、愛したり嫉妬したり、喜んだり哀しんだりすることを。
    だからこれは遠い国の話しであるとともに、まったく自分が同じように感じることのできる話でもある。
    救いようのない、悲惨なストーリーが多いのに、読後100%どっぷりと暗い気持ちにならないのは、登場人物たちが決して生きることをやめようとはしないから。彼らは希望を捨てない、ということではなく、その生き方がわたしにはせつない希望になるのだ。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ナイジェリアのセレブなんて」
      アフリカ=貧困みたいな図式しか持っていない日本人が殆どでしょうね(自分のコトを棚に上げて)。それ故に感じる違...
      「ナイジェリアのセレブなんて」
      アフリカ=貧困みたいな図式しか持っていない日本人が殆どでしょうね(自分のコトを棚に上げて)。それ故に感じる違和感もあるのですが、今のところ他に頼るソースと言うか、本を読んでいないので、何とも、、、←まどろっこしい言い方
      何かで「半分のぼった黄色い太陽」の映画が、今年?公開(日本じゃなく本国で)されると読んだ。さて日本では公開されるのだろうか?
      (スミマセン全部独り言です)
      2013/02/07
    • ajiねえさん
      nyancomaruさま
      この人の書いたものはこれか読んでいなくて・・・「半分のぼった黄色い太陽」、読んでみようかな。
      nyancomaruさま
      この人の書いたものはこれか読んでいなくて・・・「半分のぼった黄色い太陽」、読んでみようかな。
      2013/02/07
  • 2020.10.14 図書館

  • BBC Best books of 2013からリファレンス。短編小説集。

    チママンダの文を読んでいると渇いたパーカッションのリズムの様に感じる。

    ビアフラ共和国の独立戦争について、兵士が妊婦を殺し胎児の頸を掻く描写、渇いたリズムは崩れない。

    祖国ナイジェリアを逃れるようにアメリカに留学した少女が辿り着いた先のホストファミリーが、逃げ場の無い少女を辱しめた描写、渇いたリズムは崩れない。

    この短編小説集に流れる祈りが、アフリカの平和と尊厳のために記されていることをヒリヒリ感じて、涙が乾いた頬を伝う。だが、渇いたリズムは崩れない。

    こんなに強いリズムは他に無い。

  • ナイジェリア出身で、大学でアメリカに渡り精力的に作品を発表、数々の文学賞も受賞している、現在30代半ばという著者。
    本作は日本向けに特別に編纂された短編集なのだそうだ。

    著者自身、周囲からの妙な固定観念というか「アフリカ」という先入観から受け止められることも多くて、面白くない思いをしたことも多かったのだろう。やはりその出自からか、外国(特にアメリカ)に暮らす移民という主題が多いようだ。
    私自身、アメリカに暮らしたことがあるので、その異国へいきなり生活を移した時の、独特の戸惑いや不安、なぜか感じる自身の卑屈さのようなものはすごくよく共感できる。

    とても繊細な文章でありながら、鋭く切り込む先鋭さも持ち合わせ、読んでいて惹きつけられる。
    直接的でない物言いの中に、故郷を思い、失ったものを思い、得られたものもありながら、どうしても拭いされない移民の哀しさが溢れる佳作。

  • アフリカの国、種族、政局など無知に等しい私でも、
    この作品を通して、人間の感受性はどの国のどの民族も
    同じであると再認識させられた。
    忘れたくない作家だと思う。

  • アフリカの知らない世界の話。
    違う文化背景の一旦が垣間見えて良かった。
    もしかしたら訳者の人の、日本的な表現が加わっているから読みやすいのかな。なんか、日本の生活の延長にあるような気がする。
    戦争とか、男性優位の話は嫌なんだけと、「ここでは女の人がバスを運転する」が一番良かった。
    小説という毒を浴びるの書評で手に取った本、自分では選べない本。

  • 文学

  • 短編10編。アメリカとどう折り合って暮らしていくかは、日本をはじめ様々な国の文学テーマになっているが、そんなナイジェリア人(主に女性)がいくつもの作品で描かれる。自らに向けられる母国の視線とアメリカの視線、母国に向けられるアメリカの視線と自らの視線。どれも交わり難くやるせない。ナイジェリアを舞台に、飢餓で腹の膨らんだ子供の写真と筒井康隆の短編で知るビアフラ戦争(ナイジェリア内戦)が、ビアフラ人女性の目線で次第に変化する生活を通して語られると、これまで出会ったことのないアフリカがそこにあった。同作長編あり。

  • ナイジェリアからアメリカに渡り遠い親戚と暮らし始めた女性、アメリカへ難民ビザ取得に来た女性、長く暮らすアメリカからイギリスを訪れた女性などが主人公の短編集。日本帰省中、電車の中で読んだのですが、読みながら意識がナイジェリアやアメリカに飛びました。まるで自分がそこにいるような錯覚になり、苦しさや悲しみが押し寄せて来て泣きそうになった。電車の中でここまで本の中に入り込んだのは久しぶりな気がします。

    私は20年近く前に日本からアメリカに移住しました。日本は先進国だからアメリカに行った時もそれほどカルチャーショックは無かったものの、この本でアメリカに来たナイジェリア人が感じたことの描写は十分想像出来るし共感も出来る。外国人目線で描かれた小説が好きなのは、自分もアメリカで外国人として生きているからかな。

  • 行ったことのないアフリカの国、住んだことのないアメリカの街、そこを行き来する知らない彼女。なのにただの知らない彼女ではなく、どこかどこかの気持ちでつながっているような気がする物語。

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