テレヴィジョン・シティ 上 (河出文庫 な 7-17 BUNGEI Collection)
- 河出書房新社 (1996年7月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309404790
感想・レビュー・書評
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面白いです。長野まゆみさんの作品で上下巻とは…読みごたえがあります。
〈環の星〉にあるビルディング、窓はテレヴィジョンを映し、A号区からP号区まで1000階以上あるビルディングを〈生徒〉たちはサーキュレで走る。。好きな世界です。
主人公のアナナスが、同室のイーイーや、友人?のシルルから「覚えていないんだね」とよく言われるので、何も分からない彼と一緒で、掴めそうで掴めないお話です。少年たちも、たくさん居るようで、でもこの3人とジロしか出てこない。
生きている感じが稀薄な少年たちと、硬質なビルディング…少年たちに認識番号が付いているのも何かぞわぞわしたものを感じます。
そして仄かな諦念と、終わりの予感。
先が読めないです。続きも読みます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
*再読*
私が長野まゆみ作品にハマるきっかけになったのが、この『テレヴィジョン・シティ』でした。読んでいた当時、美しく繊細な海の描写と、それを眺める少年たち。全貌が掴めないビルディングの内部。数字と記号の入り混じった暗号。それらのすべてが私には新鮮で、魅力的でした。
『テレヴィジョン・シティ』を読んでから、私の物に対する考え方や趣味嗜好が一変したと言っても過言ではありません…。なので、『テレヴィジョン・シティ』は、私が今まで読んできた本のなかでも特別な作品です。
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改めて読み、初めて読んだ時とはまた違った印象を受けました。
それでも、イーイーは本当に魅力的な少年だなぁ…。以前読んだ時にも彼の言動や動作、美しい菫色の睛、細長くて白い手脚には、とても惹かれていたことを思い出しました。
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文庫版にしか収録されていない長野まゆみ先生のあとがき(インタビュー)を読みたくて、今回は文庫版で読みましたが、……これは、下巻を読んでいない人に対したらネタバレを大いに含むし、何のことを話しているのかもわからないだろうしで…下巻も読み終わってから、読むべきですね……。
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本編の感想は下巻の方に書きます。 -
こんなのを嬉々と読む人の顔を見てみたいと思いながら、時々読み返す一冊。
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理由とかどうしてかとか喩える言葉がないくらい純粋に好き。切ない読後感を味わいたい為に読み返したくなる一冊。
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再………読。何度読んでも面白いです。相変わらず謎は解けないままですが。
緩やかに日常が崩壊していく不安感がまた。いつもどうにかハッピーエンドになりますようにと、ありえないコトを願わずにはいられない。……本当に、ありえないのだけれど。 久々にじっくりあとがきを読んで、上巻にこれはネタバレばっかじゃん……って、いいのと今更。下巻で読みたい内容ではありました。 -
10数年前から何度もチャレンジしつつもどうも数ページも読めずにいた作品。
長野まゆみ作品の中でも合う合わないは当然あるが、その中でも読みづらい部類だった。
ここは我慢して読むべきだろう、と読み始めたら面白かったんだなこれが。
こういう作品は他にもいくつかあり、
忍耐で読みやっぱりしょうもなかったとか、合わなかったというものの方が多いが、その分途端面白くなるものには傑作が多い。 -
10年くらい前にすっごく好きで、突然思い出したので久しぶりに読んでみたら、相変わらずすっごく良かった。
何かしらこの作品の幻想性。どこまでもただ無機質なまでの、楽園。
その中で暮らす、心を持った少年たち。
彼等の関係や葛藤や感情や。
何もかもが素晴らしい。
長野まゆみの描写ってどこまでも独特で美しくて、この作品にも彼女だけの文章がふんだんに詰め込まれている。
初期のころ大好きだったんだけど、どんどん男の子同士の恋愛の話みたいになって、読まなくなってしまった。
でもでも、このテレヴィジョンシティだけはやっぱり何度読んでも面白い。夢中になって、読み切ってしまう。
特に夏の日差しにじりじりやられながら、青い楽園を思って読むと更に素敵。
どの子にも、幸せになって欲しいんだ。 -
長野まゆみ作品としても数ある書籍の中でも一番影響を受けた作品。
世界観や独特の言い回しがとても好きで引き込まれる。
好みがハッキリと別れる作品。 -
監視をされて自由に出来ない窮屈な生活を送る子供達。この子達は普通の人の子なのかもロボットなのかどうなのかもよくわからない。イーイーやシルルは何か事情を知っているよう。アナナスは記憶を消されたのかな。
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【あらすじ】
パパとママが住むという「碧い惑星」を信じ、ビルディングからの脱出を夢みるアナナス人。
美しいすみれ色の晴をもつ同室の少年イーイーは何者なのか。
ビルディングの出口をもとめ、広大な迷路をひた走る二人が見たものは。