屍者の帝国 (河出文庫 え 7-1)

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (525ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309413259

感想・レビュー・書評

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  • ところどころ難しくて挫折しかけたけれど読み終わって振り返るととても面白かったような気がする…特に後半の怒涛のラストスパートが圧巻だった。読み終わってもまだ疑問が残るがそれもまた面白くて良いのかもしれない


    整理&疑問

    菌株は人間の意識の正体であり、人間の脳と共生している。人間の意識は、菌株の活動によって形成される。菌株の中にも複数の意識がある。大きく分けて二種類。

    拡大派→屍者化の受け入れ
    保守派→屍者化に反対、撲滅を望む

    人間の意識は、菌株の敵対する複数の意思のせめぎ合いにより生まれる多様さからなる。

    これらは本当??

    ザ・ワンの本当の目的は花嫁?花嫁が復活したなら他の死者は?
    ワトソンの頭に埋め込まれたものとは?
    ハダリーは何者?ハダリーもワトソンと同様石(バベル)を埋め込まれた?
    バベルを埋め込まれた→以前と異なる意識、以前とは異なるXに支配された別の人間になる?(ハダリー(アドラー)は昔のワトソンとは別種の言葉つまりXで構成された意識を持っていたと書かれている)
    フライデーは魂(自分の意識)を手に入れた?それはバベルの影響?屍者の意識にバベルが入り込んだ?

  • わたしたちは個別に物語を保持し、自分の意思と信じるものに従って行動している。意思を信じるとさえ感じる必要がないほどに。科学は確かに「何故」を問うことはないわけだが、わたしたちは屍者とは異なる。わたしたちは物質的な現象だが、同時に意味を上書きしながら生きている。ほんの二十一グラムほどの魂が、そんな上書き機能を担う。物語による意味づけを拒絶したなら、わたしたちは屍者と変わるところがなくなるだろう。

  • 面白かった
    円城氏の色が出てる感じがした
    伊藤計劃の世界観とはまた違った感じがした

    個人的には伊藤計劃のあの世界観の方が好き
    もう読めないのが悔やまれる

  • 初伊藤計劃は絶筆。そして円城塔も初。
    世界観も設定もかなり好き。最初は凄く引き込まれて、一気に読めると思ったのだが、途中からごちゃごちゃしてきて、結局なんだったのか分からなくなって、スッキリせずに終わってしまった。
    わたしの集中力が落ちたせいなのか、途中から一気に減速。
    伊藤計劃、円城塔、それぞれの作品も読んでみようと思う。

  • 三作品目。
    ただのSFではなく、歴史改編ものというべきか、死者が普通に歩いている世界で、なんというか、別の形でIT化が早期に進んでいる感じ。
    不気味の谷がロボット以外に使われるとは…
    壮大なエンタテインメントだが、意識とは、生命とは何かと、そういう問いかけが続く。
    私にもわからないが、バーナビーの「性交渉により感染する致死性の病」という表現は好きだった。

  • 伊藤計画っぽさは設定のみ

  •  プロローグの語り手はワトソンですが、本編はワトソンが語ったことをフライデー(記述者)が書き留めている設定です。プロローグと本編で著者が代っていることを配慮したのでしょう。著者(伊藤計劃)の作品の主題の一つ「意識」は、この物語でも重要な要素ですが、今作ではそれの導入が唐突だと思います。
     この物語は「歴史改変もの」で、死者が労働力(屍者)として動いています。さらに物語に他の物語人物たちがたくさんでてきます(『カラマーゾフの兄弟』、『シャーロックホームズ』、『フランケンシュタイン』などなど)。「物語(フィクション)」の舞台が「歴史改変もの(フィクションの要素が強い)」で、その舞台に「他の物語人物たち(架空の人物たち)」がでてくるので、今作には三重の虚構性があります。物語舞台を死者が動く設定にしたことで、作品の主題の「意識」や「魂」、特に魂についてより深く掘り下げることができています(作中で魂が物質として登場しています)。

  • フライデーは意識…魂を得るんだよね?いつ?いつなの?
    それだけが見たくてなんとか読み終えた。
    話の流れはわかったけど、たぶん、肝心なところが理解できていない。

    けど、
    ワトソンの「言葉」によって意思を得たフライデー
    というのが答え。ということでいいのかな…

    エピローグの「ありがとう」からのあとがきでグッときた。

    このはなし自体がフライデーの手記であり、ワトソンはその時点で物語になった。ということ?



  • 2009年に逝去した伊藤計劃氏。
    『虐殺器官』『ハーモニー』に次ぐ一冊。手掛ける途中にあの世へ旅立ち、円城塔氏が引き継いだ。

    屍者復活技術が用いられ、労働力として死者を活用する。歴史改変ものにカテゴリされるSF作品。
    ただ、題材が屍者だけに、キリスト教義やイスラム教義と宗教的、哲学的要素が多分に溢れる。
    イデア論の講義でも受けてるようでした。

    人は生前と死後直後では重さが21g軽くなる、と。
    魂の重さはつまり21g.

    ただ、この屍者のワードをAIに変えるとあながち...怖い一冊でした。

  • 世界観や文章はすごいと思うけど、ラストが何となく釈然としない。時間をかけてよみすぎた。

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著者プロフィール

1974年東京都生れ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』でデビュー。『ハーモニー』発表直後の09年、34歳の若さで死去。没後、同作で日本SF大賞、フィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞。

「2014年 『屍者の帝国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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