- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309462295
感想・レビュー・書評
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建築をする方法、都市をつくる方法を考える。
こういう方法もあります。 -
いくつかの都市はいまもなお教訓的で示唆に富んでいるが、個人的には「連続都市」のような「ものの捉え方」にまつわる内容のものが面白いと思った。一文が一息で読むには長すぎて瞬時に理解できないことも多かったが、おおむね文章の美しさと多様な姿の都市の面白さに助けられて読み進めることができた。
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言葉の選び方が秀逸。
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フビライ・ハンの部下のマルコ・ポーロが、皇帝の領土の街を観察していろいろ報告するよ!あれれ、その街しってる...それってきのう夢でみた街!その街はアレにでてきたアレじゃないっすか...?私の街、そこ!!そうだね、都市の性質、性格ってそういうもの! そもそも二人が会話してるのかすらあやしい、いろんなギミック搭載の入れ子式モザイク式幻想小説。飽きないおもちゃみたいに、しょっちゅう読みかえしたくなる。
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以前レビューした「冬の夜ひとりの旅人が」のカルヴィーノの、代表作の一つ。
アジアでの経験を書いたマルコ・ポーロの「東方見聞録」のパロディ。
まだモンゴルにいる若き日のマルコが、フビライに聞かれるまま、旅の途中で見てきた都市について語ります。
各都市についての記述はそれぞれ1~3ページくらい。
その間にマルコとフビライの描写があって、コミュニケーションとは、都市とは、文明とは、と言ったテーマがあるようでもあり、それを深読みしすぎないほうがいいようでもあり。
凝った構成といい、すごく計算しつくされているようでもあり、でもたぶんその計算をすべて読み説くことを著者は求めてない感じでもあり。
つかまえようとすると指の隙間からにげてしまう、砂漠の幻のような読後感です。
原文のイタリア語がわからないけれど、ちょっと古めかしい敬語調が、雰囲気にあっていていい感じ。
折にふれて読みなおしたい一冊。
そうそう、この前読んだ「アメリカの鱒釣り」の解説で、柴田元幸さんが、「アメリカの鱒釣り」「百年の孤独」と並んで文庫になるべきと思う三大外国小説(?)にあげていました。
たしかにこれを持って旅に出たいかも。 -
マルコ・ポーロがフビライ汗に、自分が旅してきた都市の話を聞かせるという設定で、架空の都市の見聞記と、各章の最初と最後に挿入されるマルコとフビライの対話で構成されている小説です。短い章節の集合体なので読みやすいかと思いきや、結構話が抽象的で読みづらい部分もあった……
でもすごく面白かったです。最初のうち、登場する都市はお伽話のような不思議な都市、ありそうもない都市ばかりなのですが、物語がすすむに従ってだんだん不気味な都市が多くなり、ディストピア小説のようになってゆきます。
印象に残るのはやはり最後の方の都市。「まるい頬を動かして木の葉や草を噛んでいる呑気な笑顔」が増殖し続けるプロコピア、廃棄物に取り囲まれてデオドラントな生活をするレオーニア、占星術師の計画にしたがって完璧につくられたはずのおぞましいペリンツィア、などです。
あとマルコとフビライの関係がなんかいかがわしい。彼らの対話はやがて緊張していき、「(フビライが)そしてついにマルコを窮地に追いつめ、馬乗りになり、片膝をマルコの胸に押し当て、髭をつかんで問いつめるのだった」というフレーズさえあらわれます。
物語終盤では時間も空間も定かではなくなり、彼らが宮廷で向かい合って話をしているという前提も揺らいできます。
私がこの作品でいちばん好きな場面はマルコとフビライのこのやりとり。
「『まだ一つだけ、そちが決して話そうとしない都市が残っておるぞ。』
マルコ・ポーロは首を傾げた。
『ヴェネチアだ』と、汗は言った。
マルコは微笑した。『では、その他の何事をお話し申し上げているとお思いでございましたか?』」 -
かなり好み。視覚的。
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09/05/04読了。都市について語りながら都市を形作る権力や政治について語っているような気がする。自分の部屋の隅に段ボールで囲いを作って、そこに国の名前、通貨、宗教などを考え出すような子供のような想像力を発揮しまくり。自分としては一つ一つの都市について想像が広がるというよりピンセットで作られた都市を俯瞰して眺めている感じに近くて、少し物足りない。
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謎めいた書物。都市の情景が目に浮かぶと楽しいです。