愛するということ 新訳版

  • 紀伊國屋書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314005586

感想・レビュー・書評

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  • 学生時代に読んでも恐らくピンと来なかったであろう本のひとつ。カトリックの環境で育ち「愛」という言葉は聖書などで身近に接していたものの、自分自身が「愛する」ということについて考える機会は今まで無かったように思う。異性関係に悩んでいる中、愛されるためのノウハウ的な情報ばかり目に入り辟易としていた自分にとってこの本を読むのは最適なタイミングだった。定期的に読みたくなりそうな良著。

  • The Art of Loving (愛するための技法)
    普段感覚的に伝えたり、感じている愛を、方法論として新しい角度からアプローチしてくれる本。良本。

  • 私の職場(急性期病院)には、愛があちこちにある。この本を読んで、それに気づいた。
    医師よりも、コメディカルスタッフの方が愛を与える行動を起こしている人が多いかな。特に看護師さん。つい先日も、病棟で患者さんに愛から発せられた言動をした看護師さんの、きらきら輝くオーラを感じながら電子カルテを打っていた。
    ぼんやりと、愛を与えたときみなぎる充足感なんかを経験していて、それにくっきりと言葉で形を作ってもらったかんじ。明日からも、仕事に私生活に、実践していきたいと思う。それが、私自身の生きがいに通じる。

  • 愛は技術である、という至言。あとは、すげー大切なことが書いてある気がするが、読了してまだ茫漠としている。うーん。もう一度よもうか。。

  • 「愛することは技術である」という著者の考えから、現代(といってもこの本が発行されたのは1956年)の恋愛の背景、歪んだ愛や愛の習練などなど……愛について深く掘り下げる哲学書です。

    かなり古い本であるにもかかわらず、2020年現在に読んでも全く違和感のない内容で驚きました。哲学書って時代を超えて通じるものなんだなあ、と改めて感じたのがこの本。

    恋愛をするための指南書のように思う方がいるかもしれませんが、著者も冒頭で述べているとおり、そうではありません。恋愛について効果的な行動が示されているわけではない代わりに、ハウツー本などでは味わうことのできない深みと余韻を以てこの本は愛について語っています。

    ブクログのフレーズ機能がびっしり埋まるほどの名言の数々でした。一方で痛いところを突かれているようであり、もう一方では今までモヤモヤと疑問に思っていたことがストンと腑に落ちるようでもありました。

    単純なことではないからこそ、それにじっと向き合って一つのことを掘り下げていく。哲学のもっとも大切で興味深い部分を味わったような心地のした一冊でした。

  • 原題は『The Art Of Loving』
    愛とは、特定の人間にたいする関係ではない。愛の一つの「対象」にたいしてではなく、世界全体にたいして人がどう関わるかを決定する態度、性格の方向性の事である。
    エーリッヒ・フロムの代表作で、言わずと知れたロングセラー。手元の単行本で2018年で第38刷。勿論恋愛の指南書のような軽い内容ではありません。
    「自分自身の人生・幸福・成長・自由を肯定することは、自分の愛する能力、すなわち気づかい・尊重・責任・理解(知)に根差している。」⇔利己主義(ナルシシズム)からの脱却。
    「集中力を身につけるためには、くだらない会話、つまり純粋な会話ではない会話を出来るだけ避けることが大事だ。…」
    「くだらない会話を避けることに劣らず重要なのが、悪い仲間を避けるということである。私のいう悪い仲間とは、単に悪意ある破壊的な人たちだけではない。そういう仲間は毒をもっていて、こちらを憂鬱な気分にするから、もちろん彼らを避けるべきだが、それだけでなく、ゾンビのような人、つまりは肉体は生きているが魂は死んでいるような人も避けるべきだ。また、くだらないことばかり考え、くだらないことばかり話すような人間も避けたほうがいい。…」
    自分が避けられないように気を付けなければなるまい。

    本書内で語られる宗教感は日本人のワタクシには縁遠さを感じざるを得ない部分が多々あるも、人間の内面を痛いほど考察しており、深層心理学のコーナーに置いてあってもおかしくない内容。
    煩悩の塊である自分を大いに反省を促させられる(笑)

  • 父という病系の本の元みたいな感じ。

    P47 与えるという意味で人を愛することができるかどうかは、その人の性格がどの程度発達しているかということになる。愛するためには、性格が生産的な段階にたっしていなければならない。この段階に達した人は、依存心、ナルシシズム的な全能感、他人を利用しようとなんでもため込もうという欲求をすでに克服し、自分の中にある人間的な力を信じ、目標達成のためには自分の力に頼ろうという勇気を獲得している。これらの性質が欠けていると、自分自身を与えるのが怖く、したがって愛する勇気もない。

    P76 愛とは、特定の人間にたいする関係ではない。愛の一つ「対象」にたいしてではなく、世界全体にたいして人がどうかかわるかを決定する態度、性格の方向性のことである。もし一人の他人だけしか愛さず、ほかの同胞には無関心だとしたら、それは愛ではなく、共生的愛着、あるいは自己中心主義が拡大されたものにすぎない。
     ところがほとんどの人は、愛を成り立たせるのは対象であって能力ではないと思い込んでいる。それどころか、誰もが、「愛する」人以外は誰も愛さないことが愛の強さの証拠だとさえ信じている。

    P138 しかしながら、愛は性的にひきつけあうことの結果である、とか、愛は性的満足と同じものであり、それが意識に投影されたものだ、といった考え方に対するフロイト思想の影響を過大評価してはならない。

    P143 いかに取り上げるのは、情緒的発達の面では母親への幼児的執着から抜け出ていない男たちである。~いまだ子供のような気分でおり、母親の保護・愛情・ぬくもり・気遣い・賞賛を求めている。彼らは母親の無条件の愛を欲しがる。つまり、自分がそれを必要としているから、自分は母親の子供だから、自分は無力だから、というそれだけの理由で無条件に与えられるような愛を欲しがる。

  • ・愛とは受動的な感情ではなく、能動的な活動。落ちるものではなく、自ら踏み込むもの
    ・もらうことではなく、与えるもの
    ・与えることは我慢することや、自分に見返りがあることを求めてするものではない
    ・与えられることが自体が裕福であることだと認識する。ひたすら貯め込み、失うことを恐れる人は貧しい人
    ・相手を自分の思い通りに支配するのではなく、相手を尊重する。相手の立場になってものを考える
    ・謙虚さと客観性、理性を育てる。どういうときに自分が客観的になれないかを理解しておく。自分の思う姿と、相手のありのままの姿は違うと認識しておく
    ・信じること。自分自身を信じているものだけが、他人に対して誠実になれる。

  • 「愛されたい」という自分の願望だけではうまくいかないことに気付かされた。
    恋愛、愛についてこれまでの自分の誤解と新たな見解に出会えた気がする。愛は与えることでしか生まれないし、一対一だけのものではないことを知った。

  • バレンタインの日に気になって衝動で購入。
    人を愛すると言うことを、論理的に教えてくれました。

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著者プロフィール

ドイツの社会心理学者、精神分析家。1900年、フランクフルト生まれ。ユダヤ教正教派の両親のもとに育ち、ハイデルベルク大学で社会学、心理学、哲学を学ぶ。ナチスが政権を掌握した後、スイス・ジュネーブに移り、1934年にはアメリカへ移住。1941年に発表した代表作『自由からの逃走』は、いまや社会学の古典として長く読まれ続けている。その後も『愛するということ』(1956年)、『悪について』(1964年)などを次々と刊行する。1980年、80歳の誕生日を目前にスイス・ムラルトの自宅で死去。

「2022年 『今を生きる思想 エーリッヒ・フロム 孤独を恐れず自由に生きる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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