若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334033705

感想・レビュー・書評

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  • 元富士通人事の城さんは、確か前著で現在世の中に蔓延している中途半端な成果主義の問題点を指摘し、正しい成果主義は年功序列制度と共存出来ると主張していたはず。
    本書では、年功序列を否定している訳ではないと言いながら、結局は年功序列を否定している様に思う。
    一人一人がみんなしっかりした考えを持って自分の道を進んでいけるような強い人ばかりなら良いが、日本人は白黒つけずもたれ合いながら組織として最大の成果を出してきた点が良いところではないのだろうか。
    そのインフラとしての年功序列制度の果たす意義は大きいのだと思うのだが、こう考える私自身がどっぷり「昭和的価値観」に浸かってしまって救いようが無いということかな。

  • 著者が言うところの「昭和的価値観」の説明書。
    社会人5年目で転職した私からすると、そうだよね〜、と思う内容の繰り返し。
    まあ、ひと昔前の本なので、いまの若者が読んでもそこまでぐっと来ないだろうな。いわゆる昭和的価値観にまだ囚われている管理職やボードメンバーには一読に値すると思います。

  • 八年ぶりの読み返し。なぜ高2の時にこれを読んだのか。
    概ねここに書かれた通りの現実であり、捉え方も主流なように感じるが、それは俺の読むメディアに偏りがあるからだろうか。反論も特になく。単線型のキャリアパスとあやふやな職務分担、それから職場の人員構成が原因で、解決策は複数の価値体系よるピラミッド(技術職の道、技術職でありながら営業でやる道、間接部門などなど)を並列させることだろうけど。あと単純作業のアウトソースだろうけど。結局、年寄りが全部死ぬか価値観を入れ替えないと変わらんわな。

  • 2006年の本。
    若者とあるけれど、主題になっているのは、本著を上梓した著者とほぼ同年代の30代のこと、かなと感じる。いささか感情論に流れているきらいもある。

    バブル世代こそが入社したのに年功序列神話が崩壊して割りを食っているというが、そもそも、その正社員にすらなれずに昇給もない非正規雇用にされたままの氷河期世代以降からすれば、不可解に感じる。

    分析には鋭い部分もあるので、まあ読んでいて損はない。上の世代への不満をするあたり、「高学歴ワーキングプア」と同じ匂いを感じるけども。その中高年ですらもリストラによって、「一部の残留組」のための年功序列の被害者だと説く。

    年金問題や非正規雇用、少子化、若者の採用抑制など、現在問題視されている諸々のテーマに触れている。いささか論点がぼやけた印象はあるが。

    最終章は読んで価値あり。
    大企業を辞めてしまった著者が自分を正当化するために旧来の年功序列企業を叩いているように思えたのだが、安易に転職はしない、と促すあたり、けっきょく自分も年功序列意識に囚われていると独白している。

    若者パッシングの本ではなく、むしろバブル世代に運良く就職できたが、終身雇用崩壊の煽りで転職の危機に晒されている中高年が読んでもよい内容。年功序列を批判してはいるが、だからといって、能力主義がいいとは限らない。

    残業代ゼロ法案で年収が頭打ちになることが見えている正社員に未来は明るくない。

  • 若者はなぜ3年でやめるのか
    初めこのタイトルだけ見ると先入観で若者を卑下するような内容なのではないかと思っていた。
    昨今、若者は「我慢出来ない」「ワガママ」などという風潮が取り巻いてるからだ。
    そしてこの本もそんな流れを汲むようなありきたりな若者批判の本なのではないかと。
    しかし、確かに冒頭部分ではそんな風潮にも少し触れていたのだが、大部分は違った。
    本書において辞める1番の原因は若者自身ではなく、企業、更には社会的構造にあると指摘していたのだ。
    本書の内容は少し考えれば誰にでも理解出来る問題である。年功序列制において、中高年層の権利は保持したままにすると高齢化社会の日本で、そのしわ寄せが若年層に来るというのは至極当然な話しだ。
    確かに今の若者はワガママだし忍耐力も足らないのかもしれない。
    ただ昔よりも、希望の職につける確立も、理想の給料を貰える可能性も少ない。むしろいつ解雇されるかもわからない恐怖に怯え、又はそれを想像しながら就活をしてる若者が沢山いる現状で、時代は変わったにも関わらず、自分達の価値観をそのまま形骸化したように押し付けるのは無理があるだろう。
    今のように企業の売上が伸び悩む一方で、上に立つ人間が自分達の権利だけは守ろうとするのでは、若者は上がいなくなり少ないパイを手にするまで永遠に我慢しなければならなくなる。
    逆に言えば、これは自分達世代のワガママを下の世代に押し付けているだけではないのか。
    確かに終身雇用制度は、安定を求める日本人の性質にマッチしてるかもしれない、が実情はそれは上の一部の人間にしか作用してなく、さらには安定とは程遠いものとなっているとしたら、雇用制度というものをもう一度抜本から見直す必要性があるようにこの本を読んで感じた。

  •  昔からよく、アルバイトは3日、3か月、3年が節目だと言われる。つまり、その時期に辞めてしまうという話だ。最初にこの本のタイトルを見たとき、そういう話の延長ではないかと思った。

     そういう私も、辞めてしまうことはないものの、3年ごとに職場を動いている。最初の学校は5年、その後3年、3年、3年と、偶然でも3校続くと不思議なものだ。

     一般的に言って、3年は短いと思う。最初の1年はほとんど思い通りの仕事ができない。2年目になってやっと慣れて、3年目でさあこれからという感じだ。異動してしまえば、また0からやり直しである。もっとも、私は3年の異動がちょうどいいように感じている。飽きてしまう前に、新鮮な気持ちで0からというのも悪いことばかりではない。

     もっとも、この本はそういう話ではない。私が一番印象に残っているのは、年功序列はネズミ講であるというフレーズである。公務員の私ですら背中が寒くなるような一撃だ。でも、本当は今までの社会が異常で、格差社会と言われるこれからが正常なのかも、と思わせてくれるだけの説得力がある。私は既に40なので、このままのレールを行きたい気もするが、就職活動がまだこれからという若い世代の方には、ぜひ一読をお薦めしたい。

  •  とくに前半部分が面白い。若者を覆う閉塞感の元凶を「年功序列」(をはじめとした日本的な雇用制度・雇用慣習)だと解き明かす手際は、パラサイトがどーしたとか下流がなんだとかいうよりよほどリアリティがある。
     就職活動が「自分探し」になった原因が、採用側の変化にあるという指摘は意外だった。そうして入ってきた新人が、(年功序列ゆえ)結局は下っ端仕事でこき使われるのだからやめて当然と言われると、なるほどなぁって感じ。あれ? それじゃ企業の採用戦略と、現場の意識とが乖離していることが「3年でやめる」原因というわけか。(そこらへんも、きちんと言及してあります)
     成果主義が行き詰まりを見せる中、「あのころはヨカッタ」と年功序列的な価値観を肯定する機運もなきにしもあらず。ニート、パラサイト・シングル、格差……といった問題を考える文脈において、この本の告発はとても意味があると思う。

  • 年功序列の問題。大事なことは問題を認識するってことだけど、それ以上に自分が何をしたいかですね。

  • 「銀行員のキミョ~な世界」を読んだ後に読む本としては正解だった。

  • 著者は元・富士通の人事部にいて内部告発的な本を書いた人であるだけに、かなり後ろ向きなトーンで企業社会・年功序列が崩壊し実力・成果主義になったとはいえ、厳然と年功序列が残っていることを強調しているようです。なぜ3年で辞めるのかという、若者の心理を分析した本であることを期待したので期待はずれです。若者へのメッセージというのですが、書いている目的がはっきり分りません。

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