「事務ミス」をナメるな! (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334036027

感想・レビュー・書評

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  • 色々な改善や再発防止策を実施しても、事務ミスを起こしてしまう人たちの思考や行動パターンを理解するために購入。
    かなり納得感のある分析が書かれており、事例でさらに分かりやすい。
    再発防止策を立てる方法なんかが載っており、事務作業員を動かす自分の立場からすると、かなりためになった。
    結局のところ、うまい人員配置と横断的なチェック機能を設けるしかないんじゃないかという気がした。
    また、事務ミスを起こす人起こさない人の違いは、マインドの問題という気がしなくもない。

  • 中田(亨)さん、こんな本も書いているんだ。

  • どうしてミスが起きるのか、どうしたらミスをなくせるのか。図解や例をたくさん取り入れて分かりやすく(でも文章はかたい)説明している。

  • 仕事術について書かれた本。中でも、ヒューマンエラーのうち、「事務ミス」について書かれている。
    つまりは「手順」や「書式レイアウト」「報告」等についてのミスについての解説である。本書ではこれらで発生するミスをなくすための処方まで書いており非常に参考になると感じた。
    本書で著者は文系的なミスと書いているが、技術者であっても一般的な事務処理は行うのであり、理系人でも読む価値はあると思う(特に私を含む公的機関の理系の人に取ってである)。

  • 事務ミス防止のTipsが体系だてて豊富に盛り込まれている良書。これから業務改善屋さんになる人の学習のため、業務改善に携わってきたかたの頭の整理のためなどにオススメ。

  • 去年、冷蔵庫を買い替え、古い冷蔵庫を下取りに出しました。通販だったので、エコポイントの申請を自分でやったのですが、まあ提出書類のややこしいこと。あれをここに貼れ、これはコピーじゃだめ、この場合はこうしろ、当てはまるものにチェックしろ、ここに書け、ここには書くな、折り曲げろ、折り曲げるな……もうやめようかなと思いました(がんばり抜いて14,000円の商品券をもらいましたが)。対応する一般ピープルの能力を超えて仕組みがややこしくなっていて、それが帳票やコンピュータの入力画面のややこしさに表れています。

    消えた年金記録に関するニュースに接するたびに、ああいう制度を正確に運営することは人間の能力を超えているという思いに沈みます。本人が忘れるでしょうし、窓口の人がミスるでしょうし、想定外の事象に接したときのイレギュラー処理が不揃いでしょうし、インクが消えるでしょうし、紙が貼り付くでしょうし、コンピュータがバグるでしょう。「何よ、この字、1なのか7なのかわからへん。1にしとこ」。はい、6年分消えました。「この期間はこうで、あの期間はああだけど、これがこうだからそうはならなくて…どうしたらいいの? 所長に訊いたらイヤな顔するし、だまってこう処理しておこうっと」。はい、受給資格がなくなりました。

    笑い事ではありません。本書にも出てきますが、僅差となった2000年のアメリカ大統領選挙で、フロリダの選挙区の投票用紙がおバカなレイアウトだったために、ゴア候補に不利になりました。あれがまっとうな書式の投票用紙だったら、ゴア大統領が誕生していた可能性があり、どう考えたって世界はもうちょっとマシな世界になっていたでしょう。まさに「事務ミスをナメるな!」です。

    事務って各種業務の中で軽く見られているし、小さなことを変えるのにもエネルギーと手間ひまがかかるし、変えようとしても喜ばれないし、変えられるポジションの人は事務がわからないのが組織の常だし、事故をふせいでも誰も気づかないし感謝もされません。もう言い切ってしまいますが、ふつうのレベルのヤル気や責任感ではモラル維持は難しいし、ましてやカイゼンなどできる業務ではないのです。「1にしとこ」。はい、6年分消えました。そんな大小さまざまなミスが組織と社会に潜在し、ある日突然、福島原発の事故となって人類を襲うのです。

    妙に熱くなってしまいましたが、本書は「ヒューマンエラーの研究者」による、良質なビジネス書、問題指摘型とっかかりポイント指南書です。なぜ人間は間違うのか、そもそも間違いとは何か、ミス撲滅のための方法(6方面からのアプローチを提唱)、ミスの起りにくい手順や書式レイアウトなどがコンパクトにまとめられています。楽しく読める工夫もされていて好感が持てます。ビジネスマンならだれもが、自分の会社のシステムや伝票や手順のことを思い起こすことでしょう。

  • 事務屋の永遠の課題です。

    製造業に勤める者として、自分も含めて、現場と比較すると、事務のミスの多さはすごく気にかかります。

    かと言って、現場と同じレベルでの品質管理はなかなか難しいのも現状です。

    ミスを防ぐ方法が広く浅く紹介されています。しかし、実態としては、どれも取り組んでいるようなことが多いのも事実。
    定常作業では発生は抑えれていても非定常作業で事務ミスを減らす方法が紹介してあればよかった。

  • 「クリック一つで大損失」の時代、、、という副題がある。かねてより、製造現場や開発などにおけるミスをなすく活動は盛んにおこなわれてきたが、事務ミスは、何となく笑ってごまかしてきたふしがあるので、この本の注目点には興味を持って読んでみた。

    確かに、コンピュータとネットワークの発達により、1つの間違いが、拡散するスピードと範囲はひと昔と比べ物にならないものになっている。最近でも、ネット販売商品が「0がひとつたりない」ことにより格安で販売された商品に注文が殺到し、大きな損害が発生するというニュースも記憶に新しい。

    製造・生産・開発の現場以上に、このネットワークとコンピュータ化は事務処理の便利さとリスクが表裏一体となり、危険性を増していることはまちがないし、なによりも「うっかりミス」をリカバーするための事務時間もバカにならないものになりつつある。

    この本では、いくつかの興味深い提案がある一方で、「それは製造現場の解決策だろう」と思われるようなものも混じっているので、評価を1つ下げてしまったけど、事務にこだわらず、「なぜミスをするのか」という点に視点を当てて読むと大変参考になりいいかもしれない。

    なかなか難しい話もあるので、この本自体を事務員さんに読ませようかと思ったけど、入社3年くらいではちょっと無理があり、もう少し時間がかかるかな。

    人間には、情報に乱れがあっても、自ら自己修正し取り除いてしまう能力があるらしい。
     みれだや あやまりを じどうてきに とのりぞける

    というように、上の文章を普通に読めてしまう能力のある人と、普通に読めない能力の人がいる。普通に読めない人の方がミスをしなのだが、(私も普通に読めてしまった)読めてしまう人は自らに都合のいい解釈を行うことでミスが発生する可能性をはらんでいると言うことだろう。

  • 工業系の現場では一般的に行われている事故防止の手法。
    一方で事務系の仕事ではそのような手法があまり行われていない。
    本書は、その「事務ミス」を減らす手法について述べている。
    事務ミスについて書かれている本が珍しくて、手に取ってみた。

    人がミスをするメカニズムは千差万別。
    一方で正しいやり方は1つ、あるいは少数であることが多い。
    マニュアル化をする際は正解が1つの場合はそのための手順を。
    正解に幅がある場合は何が間違いかを定義する方法で手順を書く必要がある。


    ミスが起こりやすいのは作業が初めての初心者の時と、作業に習熟した熟練者の時。
    初心者のミスは軽微なものが多いが、熟練者のミスは大きな損害を出すことが多い。
    →自己の防止に役に立つのは実際に失敗して痛い目を見た経験。
     しかし、職場で実際に損害を出すことはできないので事故事例を使った訓練をすることが有効。
     また、人に仕事を教えることも役に立つ。
     教える際は初心者が「どのように考え」「間違えたか」を客観的に見ることで仕事の要点が整理できる。

    通達を無力化する4つのない(ARCS理論)
    ①つまらない
    ②関係ない
    ③自信がない(理解できない・実施難易度が高い)
    ④楽しくない(実施した際の達成感がない)

  • 記入書式の話はなるほどと思えて業務改善に活かしていけそう。でもそれ以外は期待していた程ではなかったかな。

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著者プロフィール

1972年神奈川県生まれ。国立研究開発法人 産業技術総合研究所 人工知能研究センター 副連携室長。中央大学大学院 客員教授。内閣府消費者安全調査委員会専門委員などを兼務。専門は、ヒューマンエラー(人間の間違い)、安全工学、認知心理学。カリフォルニア大学サンタバーバラ校への交換留学を経て、東京大学大学院工学系研究科修了。博士(工学)。著書に『「事務ミス」をナメるな!』『「マニュアル」をナメるな!』(ともに光文社新書)、『ヒューマンエラーを防ぐ知恵』『防げ! 現場のヒューマンエラー』(ともに朝日文庫)、『多様性工学』(日科技連出版)など。

「2023年 『テストに強い人は知っている ミスを味方にする方法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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