江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者 (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (740ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334737160

感想・レビュー・書評

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  • 『二銭銅貨』
    強盗団の隠した5万円の行方。「私」が手に入れた2銭銅貨に興味を持った松村武。2銭銅貨に隠された暗号。発見された盗賊団の5万円。松村のいたずら。

    『一枚の切符』
    富田博士の妻の死。汽車による轢死と思われたが黒田刑事の捜査ににより他殺の可能性が浮かび上がる。逮捕される富田博士。左右田が拾った一枚の切符から博士の無実を証明するが・・・。

    『恐ろしき錯誤』
    対立する北川氏と野本氏。北川氏の妻・妙子の焼死事件。彼女が助かったにもかかわらず再び火の中に駆け込んでしまった秘密。彼女の耳元に囁いた謎の男の言葉の罠。妙子の持つペンダントにかくされた秘密。誰の写真?

    『二廃人』
    温泉宿で出会った2人の男。斎藤氏と井原氏。井原氏の語る自らの過去。夢遊病者として数々の盗難事件を起こしてしまい、殺人事件まで。井原氏の夢遊病を目撃したただ一人の目撃者の秘密。

    『双生児』
    死刑囚が語る自らが犯した犯罪。財産を相続し自分のかつての恋人を妻にした双子の兄を殺害した男。兄を殺害し自分は朝鮮にいった事にして兄の生活を乗っ取った男。兄の所持品から指紋を取りだし、犯罪を犯してはその指紋スタンプで捜査を撹乱していた。ある強盗殺人での逮捕。警視庁の探偵が調べた指紋の秘密。

    『D坂の殺人事件』
    明智小五郎シリーズ

    D坂にある古本屋の主人の妻が殺害される。喫茶店からの目撃者、裏の目撃者からの証言で現場に出入りしたものがいない。妻の持つ全身の傷の秘密。ソバ屋の妻の身体の傷の秘密。

    『心理試験』
    明智小五郎シリーズ

    大家の老婆の隠し持つ金を狙った藍屋。大家を殺害し大家の財布の金を半分盗み財布を拾ったと届け出た。翌日、大家殺害犯として逮捕された親友・斎藤。事件に疑問を持った判事・笠森の心理試験。心理試験の結果から犯人を推理する明智小五郎。

    『黒手組』
    明智小五郎シリーズ

    「黒手組」と名乗る犯行グループに誘拐された冨美子。身代金を支払ったにも関わらず解放されない登美子。受け渡しを担当した牧田の秘密。父親に禁じられた恋の謎。牧田の持つ手紙にかくされた暗号。

    『赤い部屋』
    誰にもわからない方法で99人もの人間を殺害したと告白する男。おもちゃのけん銃で会合の参加者を脅し、給仕の娘に自らを撃たせるが・・・。

    『日記帳』
    死んだ弟の日記帳を読む兄。日記帳に書かれたある女性との恋の物語。日記帳に隠された暗号。

    『算盤が恋を語る話』
    自分の助手であるS子に恋するT。しかし女性に対して奥手で伝えるすべを持たない。算盤に秘めた暗号。S子からの返信。

    『幽霊』
    明智小五郎シリーズ

    自分を敵として狙う辻堂の死。安心した平田の前にあらわれる辻堂の幽霊。怪しい写真。辻堂の戸籍にかくされた秘密。

    『盗難』
    ある宗教団体に勤めている時分に盗難された金。警官に化け金を盗んだ盗賊。犯人をつけた男。贋金をつかまされたと告白する盗賊。

    『白日夢』
    散歩中に私が見かけた男。道の真ん中で演説をする薬屋の真柄太郎。妻を愛するあまり他の男に奪われないように殺害してしまったと告白。妻を5つに切断し屍蝋を作り店先にマネキンとして飾ったとの告白。誰も信じないが私が近づいて見てみると…。

    『指輪』
    電車の中で出会った男。拾った指輪の話。

    『夢遊病者の死』
    会社を辞め停職に付かない彦太郎。伯爵邸に住み込み働く父親との対立彦太郎の夢遊病。ある朝庭で殺害された父親。自分の犯行と思った彦太郎の自殺。

    『百面相役者』
    先輩であるRから見世物小屋に誘われた私。あまりに腕のよい百面相役者。Rが見せる墓から首を盗む泥棒の記事。首を盗まれた遺体の写真とそっくりな百面相役者の変装。百面相役者は首泥棒か。

    『屋根裏の散歩者』
    明智小五郎シリーズ

    人生に退屈した男・郷田三郎。明智小五郎との出会いにより犯罪というもに興味を持つ。引っ越したアパートの屋根裏に侵入し人々の生活を覗き見るが・・。次第に起こる殺人への誘惑。

    『一人二役』
    僕の友人Tは遊び人で終始遊びほうけている。ある日自分の妻が他人に恋をするスリルを味わいために他人に変装して寝床に入り込む。狙い通り回数を重ねていくたびに妻は変装した自分に心をひかれていく。計画が上手く行き過ぎ嫉妬し始めたTは自分の存在を消すことにするが。

    『疑惑』
    酒乱の父親の殺害事件。何者かになたの様なもので頭を割られている。妹や母親の怪しい行動。事件現場近くの祠にかくされた秘密。

    『人間椅子』
    圭子に送られた手紙。椅子職人からの告白。自ら作った椅子の中に潜り込みホテルに侵入し盗みを働こうと計画した男。思惑通りホテルに侵入したが、女性に座られる快感にとりつかれ数ヶ月を過ごす。ホテルから払い下げられた椅子を購入した夫婦の妻に恋した男。2通目の手紙。

    『接吻』
    新婚の妻が写真に接吻する所を見てしまった山名氏。疑惑を向けた相手は上司である村山課長。疑いのあまり辞表を出してしまった山名氏。

  • 江戸川乱歩初期の短編全22話。
    海外の推理小説が好きで好きで仕方がないのが溢れ出ている。「心理試験」ではドストエフスキー「罪と罰」まで取り込んでいる。
    作品としては既読のものも含まれているが、既読の有名作の出来はすこぶる良い。その反面、初めて読む作品群の中にはいまいちな作品もある(本人解説で愚痴ってる作品は特に)
    そんな中、「赤い部屋」「白昼夢」などで怪奇さを見せ、世間で評判も良かった事。後者では、本人曰く『純粋推理小説から離された一つの動機』との事。同じく動機として触れている「屋根裏の散歩者」「人間椅子」に関しては再読でも魅力を感じる名作。

  • 続けて読んでみると結構ストーリー構成ってパターン化されてるんだなあ、という発見。 推理する側と罪を犯した側の心理戦、罪を犯す人の心内…そういう人間味がおもしろい。科学や技術で「正しく」解決するのとは違う魅力。

  • 2023/10/9 読了

  • めっちゃ分厚いけど満足感がすごい。満たされる

  • 日記帳のみ

  • 『娯楽』★★★★★ 10
    【詩情】★★★★☆ 12
    【整合】★★★☆☆ 9
    『意外』★★★★☆ 8
    「人物」★★★★☆ 4
    「可読」★★★☆☆ 3
    「作家」★★★★★ 5
    【尖鋭】★★★★★ 15
    『奥行』★★★★☆ 8
    『印象』★★★★☆ 8

    《総合》82 A-

  • 明智小五郎の初期連作5篇「D坂の殺人事件」「心理試験」「黒手組」「幽霊」「屋根裏の散歩者」のみ、読了しました。
    他に収録されている作品については未読ですが、明智小五郎の短編作品については、「がっかりした」というのが正直な感想です。
    語り口や文章には魅力を感じるものの、肝心な推理パートがお粗末に感じます。具体的な物的証拠に基づいた推理ではなく、状況証拠から犯人を心理的に追い詰めて自白させるという方法は、アンフェアであるように思いますし、中には「トラップ」というような探偵本人が仕込んだウソの証拠で犯人を揺さぶって自白させるというものもあり、探偵小説としてルール違反であるようにも感じました。
    時代が下るにつて、読者のニーズに合わせて冒険的な要素が強くなりヒーロー探偵として活躍を広げていくようですが、初期の段階の科学的な検証を軽視する姿勢はどうしても好きになれません。

  • 2004/10/29読了

  • 「二銭銅貨」「一枚の切符」「恐ろしき錯誤」「二癈人」
    「双生児」「D坂の殺人事件」「心理試験」「黒手組」
    「赤い部屋」「日記帳」「算盤が恋を語る話」「幽霊」
    「盗難」「白昼夢」「指輪」「夢遊病者の死」「百面相役者」
    「屋根裏の散歩者」「一人二役」「疑惑」「人間椅子」「接吻」収録。

    乱歩氏の初期作品をデビュー作から順番に収録。
    また本人の自作解説が全作品に色々付いているので、
    当時どんな気持ちで執筆していたか、背景が分かって興味深い。
    暗号、密室、本格推理。
    日本のミステリ開拓の軌跡の書である。
    ※そうやってがんばってきたけど、
     怪奇趣味とかの方が喜ばれてしまう、という筆者の愚痴も見受けられる

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著者プロフィール

1894(明治27)—1965(昭和40)。三重県名張町出身。本名は平井太郎。
大正から昭和にかけて活躍。主に推理小説を得意とし、日本の探偵小説界に多大な影響を与えた。
あの有名な怪人二十面相や明智小五郎も乱歩が生みだしたキャラクターである。
主な小説に『陰獣』『押絵と旅する男』、評論に『幻影城』などがある。

「2023年 『江戸川乱歩 大活字本シリーズ 全巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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