- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334740009
感想・レビュー・書評
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東西ミステリ第12位。人間の"想い"や"痴情"を物語のベースに据えた佳作です。あっと驚くようなトリックと言うよりも、あっと驚く動機、真実に重きが置かれています。
この時代(大正〜昭和初期)の暗い世相を背景に"心中"や"自殺"が描かれます。今の自由な時代からすると縁遠い価値観ですが、不自由な時代の人の想いが情緒たっぷりに描かれます。
本のタイトルの戻り川心中は少し独りよがりな気がしたけど、全部良いです。500ページ位の小説を読んでいる気分になりました。
☆×3.8詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
桐の柩がとても良かった。それはそれとして繊細かつ大胆な登場人物たちを見て、連城三紀彦に女性向けシチュエーションCDのシナリオを書いてほしいと思った。
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美しい大人な文章や描写なのもあって高く評価される本だとは思うんだけど、全体的に暗い。名作と言われるのも頷けるんだけど、私にはあまり合わなかったです。
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心情描写が好み。どこか漂う仄暗さもいい。
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花葬シリーズのうちの短編5篇。大正から昭和初期の退廃的、破滅的な世界観を持ち、推理小説と恋愛小説を見事に融合させた不朽の名作。まずは「戻り川心中」。2度の心中未遂事件で2人の女性を死なせ、その情死行を歌に遺して自害した天才歌人、苑田岳葉。その死の理由が明らかになる。そう来たかあ!太宰治の事件もそうだけど頭の中では単純化して思い込んでしまうからね。これは盲点。主役は苑田ではない。道連れにされた女たちの悲哀なのだ。しかし恋愛小説としては「藤の香」が好きだ。色街で起きる連続殺人。死体は顔を潰され身元がわからない。隣家の代書屋が疑われて…という「藤の香」。どれもトリックがしっかりした推理小説なのだ。
これらの小説では主役は花である。華やかに咲き儚く散る花を犯人や被害者と重ねて描く。そして人の命よりも大切なものに焦点が当てられる。命より大切なもの…こういう感覚が好きですね。
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最高傑作
女性の美しさ、恋の美しさに満ち溢れていた。文章も美しく、全く飽きなかった。特に桔梗の宿を美しく思う。 -
最高傑作
女性の美しさ、恋の美しさに満ち溢れていた。文章も美しく、全く飽きなかった。特に桔梗の宿を美しく思う。 -
再読。「あんたにはまだ早いと思うけど」なんて言われながら、親の本棚から読んだのは中学生だったか高校生だったか。
いま読むと、ミステリーとしてもすごく面白い。どの短編も最後に思いもかけなかった結末があらわれる。そして文章の美しさ。散ったり手折られたりする藤、桔梗、萩などの花々の美しい描写はまさに花葬。
時代小説風味の「藤の香」「桔梗の宿」が好み。 -
1.9
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もう一度読む必要がある。一度目読んで一番好みだったのは『白蓮の寺』だった。