戻り川心中: 傑作推理小説 (光文社文庫 れ 3-4)

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  • 光文社
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感想 : 180
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334740009

感想・レビュー・書評

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  • 動機が論理的!嬉しー

  • ちょっと胸焼けしてしまった。
    一編だけ読む分には楽しいんだけど、並べて読むと疲れる。

    全部加害者側に同情的に書かれているから
    殺人の言い訳をあの手この手でされているような気分になりました。

    加害者の生い立ちによる減刑と似た不条理を感じる。
    動機が直接的な恨みとかじゃないから余計に…

    一編ずつ読めばエモくて良いミステリーだと思えたんじゃないかと思います。

  • 久しぶりに素晴らしく美しい小説を読んだ気がする。短編集だが全て物語に美的暗さがありつつ、どれもトリックや動機、どんでん返しに工夫がありサスペンスとしても十分読み応えがある。大正から昭和初期という時代設定も◎。

  • 1983年の作品です。
    1997年に発売された「本格ミステリ・ベスト100」のベスト10です。
    本格ミステリかどうかは判断に迷いますが、どの話もミステリではあります。
    どれも、壮絶で哀しい物語ばかりでした。
    特に、最後の「戻り川心中」は、どんでん返しがあり、物語に引き込まれました。

  • どの短編も静かで流麗な語り口が印象的で、推理小説だけど美しい純文学を読んでる気持ちになった。「桔梗の宿」が全体を通して一番好きかも。読者のミスリードも素晴らしかったし、犯人の動機も切なくてたまらなかった。ほかのお気に入りは「桐の棺」と「白蓮の寺」。「桐の棺」は主人公とヤクザの男の関係が良かった……。「白蓮の寺」のどうにも理解し難い夢(この夢がまた不気味かつ美しい雰囲気で良い……)を紐解いていく話の展開が好きだった!

  • 悲しい物語ばかりだ…

  • どのお話もただ美しい純愛としてだけ了解できるものにはなっておらず、濃淡の違いはあれど底の方にエゴの奔流が流れている。いくつかの事実の断片を手がかりに事件の真相を解き明かすにつれ、そのどす黒い流れが垣間見える仕掛けになっている。そして、偽善であろうと自己満足であろうと情は情であり、純粋なエゴイズムであるがゆえに美しく見えることもある。

    個々のエピソードについて話すなら、2つ目の「桔梗の宿」が1番よかった。この話も広義には恋愛をテーマにした短編ではあるが、それらは自由恋愛ではなく、他にすべもなくただ生存本能として選びとらざるをえない恋愛だ。他の恋愛小説のように華々しくなく、重苦しく切実なものだ。花が、そこがどんな荒れた土地であっても自分では咲く場所を選ぶことができずただ種の落とされた地に根を張り芽を出すことしかできないように、花町という土地に、しいてはその時代の日本に生まれついてしまったがゆえの美しさなのだ。愛は美しいが、この物語を美しいと感じてしまう読み手の私のうちにもエゴイズムがある。荒れ野の花はそこが荒れ野であるが故に際立ち人の目には美しく見えるが、初めからそんなところに咲くべきではない。

  • 藤の香、桔梗の宿、桐の棺は割と好き。
    後半二篇はあんまり好みじゃなかった……
    戻り川心中、創作者(表現者)の業の話だった……

  • 苦手な書体でも全く気にならないほど文体が美しい。「桐の棺」の雪の描写に感動した。

  • 面白かった。米澤穂信が薦めていたのと評判が良かったので読んでみた。

    「藤の香」
    代筆屋という伏線。故郷への文と目の前の少女の行く末を考えて、さらに己の寿命まで考えると成敗したくなるのもわかるな。お縫の心情を推し量ろうとするまなざしが良かった。

    「桔梗の宿」
    二階の窓から花を散らすという仕草になんともいじさらしを感じてしまう。言葉にして直接伝えられない感情を感じる。福村も人形を操ることで何かを伝えていたとしたらそこが二人の共通点になるのかな。

    「桐の柩」
    主人公がなんか百合の間に挟まる男というか、二人の愛の渦中にいるというか、面白い立ち位置。
    主人公のありようがあまりにも希薄なのが良い。
    桐の棺というダイナミックな小道具、大道具?の使い方が良い。画面映えしそう。

    「白蓮の寺」
    花を埋めるという動作について考えたことも無かったので、そんな場面を見たら忘れられないし怖さも覚えるだろうなと思った。
    前半の夢の部分はどうにも退屈だった。他人の夢ほどどうでもいいというがほんとそれ。映像化したら美しいだろうが。
    なんとも奇妙な出来事を聞いたり覚えていたりで、じゃあ真実は?と探求していくのが面白かった。
    母親が目の当たりにした春のあぜ道で女が突然死んだのは、母親の面影に誰か(女の夫か知りあい)を感じたからでは、という考察を見たが、なるほどと思った。それなら、母親も自分の子供が宗田に似てくるかも、似ていると感じるのもわかる。

    「戻り川心中」
    丹念に過去の場所を訪れて振り返るのが現場百篇って感じで面白かった。また、苑田の在り方が、とんでもすぎて西尾維新を思い出した。己の才のために人生を賭ける。そのまんますぎてすごい。すごいから常人ではないんだろうけど。それに付き合わされての心中はむごいな。トリックのために人を殺す麻耶雄嵩にも通ずるな。

    全体的に花をモチーフにしてるが、説明てきではなくさりげなく小道具として、背景や形、匂い、色として登場しているので品があって面白かった。文体も読みやすい。大正時代も感じられて面白かった。

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著者プロフィール

連城三紀彦
一九四八年愛知県生まれ。早稲田大学卒業。七八年に『変調二人羽織』で「幻影城」新人賞に入選しデビュー。八一年『戻り川心中』で日本推理作家協会賞、八四年『宵待草夜情』で吉川英治文学新人賞、同年『恋文』で直木賞を受賞。九六年には『隠れ菊』で柴田錬三郎賞を受賞。二〇一三年十月死去。一四年、日本ミステリー文学大賞特別賞を受賞。

「2022年 『黒真珠 恋愛推理レアコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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