- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334740009
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
ちょっと胸焼けしてしまった。
一編だけ読む分には楽しいんだけど、並べて読むと疲れる。
全部加害者側に同情的に書かれているから
殺人の言い訳をあの手この手でされているような気分になりました。
加害者の生い立ちによる減刑と似た不条理を感じる。
動機が直接的な恨みとかじゃないから余計に…
一編ずつ読めばエモくて良いミステリーだと思えたんじゃないかと思います。 -
久しぶりに素晴らしく美しい小説を読んだ気がする。短編集だが全て物語に美的暗さがありつつ、どれもトリックや動機、どんでん返しに工夫がありサスペンスとしても十分読み応えがある。大正から昭和初期という時代設定も◎。
-
1983年の作品です。
1997年に発売された「本格ミステリ・ベスト100」のベスト10です。
本格ミステリかどうかは判断に迷いますが、どの話もミステリではあります。
どれも、壮絶で哀しい物語ばかりでした。
特に、最後の「戻り川心中」は、どんでん返しがあり、物語に引き込まれました。 -
どの短編も静かで流麗な語り口が印象的で、推理小説だけど美しい純文学を読んでる気持ちになった。「桔梗の宿」が全体を通して一番好きかも。読者のミスリードも素晴らしかったし、犯人の動機も切なくてたまらなかった。ほかのお気に入りは「桐の棺」と「白蓮の寺」。「桐の棺」は主人公とヤクザの男の関係が良かった……。「白蓮の寺」のどうにも理解し難い夢(この夢がまた不気味かつ美しい雰囲気で良い……)を紐解いていく話の展開が好きだった!
-
悲しい物語ばかりだ…
-
どのお話もただ美しい純愛としてだけ了解できるものにはなっておらず、濃淡の違いはあれど底の方にエゴの奔流が流れている。いくつかの事実の断片を手がかりに事件の真相を解き明かすにつれ、そのどす黒い流れが垣間見える仕掛けになっている。そして、偽善であろうと自己満足であろうと情は情であり、純粋なエゴイズムであるがゆえに美しく見えることもある。
個々のエピソードについて話すなら、2つ目の「桔梗の宿」が1番よかった。この話も広義には恋愛をテーマにした短編ではあるが、それらは自由恋愛ではなく、他にすべもなくただ生存本能として選びとらざるをえない恋愛だ。他の恋愛小説のように華々しくなく、重苦しく切実なものだ。花が、そこがどんな荒れた土地であっても自分では咲く場所を選ぶことができずただ種の落とされた地に根を張り芽を出すことしかできないように、花町という土地に、しいてはその時代の日本に生まれついてしまったがゆえの美しさなのだ。愛は美しいが、この物語を美しいと感じてしまう読み手の私のうちにもエゴイズムがある。荒れ野の花はそこが荒れ野であるが故に際立ち人の目には美しく見えるが、初めからそんなところに咲くべきではない。 -
苦手な書体でも全く気にならないほど文体が美しい。「桐の棺」の雪の描写に感動した。