戻り川心中: 傑作推理小説 (光文社文庫 れ 3-4)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334740009

感想・レビュー・書評

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  • 素晴らしいの一言。

    花が謎解きのキーとなる推理短篇集。各篇が不義と悲哀に溢れた物語なのだが、どれを読んでも抒情性に満ちている。
    なにより詩情をたっぷり含んだ文章が美しく、ほんのりと余韻を残す文体に謎解きよりも夢中になってしまった。特に「藤の香」。
    まるで和歌で綴られたミステリーのようで推理小説の枠に納まり切らない幽玄さがあった。
    傑作との誉れ高い理由が分かる。

  • 自分の中で、連城ブームがきている。
    その中でもこれは面白かった!特に表題作が。
    あえて詳細は書かないので、読むべし。
    完全版はハルキ文庫になるらしい。
    あまり知られていないような気がするから、広めていきたい一冊。

  • どのお話も味わい深い恋愛小説に見えるが、その実、とても巧妙なミステリーになっている。

    特に、表題作「戻り川心中」は傑作です。
    いかにも小説家が考えそうな結末なのに、やられてしまいました。
    トリックだけでなく、作中の歌がまた素晴らしく、岳葉という歌人は本当にいるのではないかと疑ってしまいました。

    他のお話もとてもいいです。
    欲を言えば、種明かしの仕方にもう少しインパクトがほしいかな。

  • 文章が、言葉の運びがとにかく美しい。
    「藤の香」の最後の一文なんて、自分には生涯ひねり出せないだろう。

  • 友達の父親に薦められて初めて知った連城三紀彦。
    ミステリーであり、恋愛小説であるというのが非常にわかる。
    ミステリー要素と恋愛要素のどちらも兼ね備えているが、本質は文学だと思う。文の美しさを感じた。
    どの短編の作品も、すごく情景が思い浮かび、殺人が起こっていても、なぜか静寂な感じがしていて、なんていうかすごい雰囲気のある本だなと思った。
    文学好きな人は好きだと思うけど、ミステリー好きな人は嫌いなんじゃないかと思う。

  • どうしたらここまで流麗な文章を書けるものか。
    一文一文を論理的に結んでいきながら、
    ストーリーを暴いていくさまは、
    まさに花の散るごとし、無駄なく美しい。

    主人公は花。
    その花に見あった話を通じて、
    見事に花を散らせてみせましょう。

    ここに詰め合わされた5編は、
    技巧的でありながらも
    散ったあとの余韻も深い。

  • どれもせつなくて、しっとりとして、少し翳がある。
    その中でも、桔梗の宿、せつないなぁ。
    戻り川心中~表題作なだけあって、読み応えがすごかった。

  • なんとも綺麗なミステリ。

    かなり文学的ですね。
    詩情あふれる感じというか、雰囲気とかが和風な香りです。
    短編集ですが、どれもレベルは高めです。
    特に表題作が印象的。

  • 花をモチーフにした短編集で5編が収録されています。
    色町で男女の情によって起こった事件が儚さや切なさを秘めつつ解決していくという形です。
    綺麗な文章で純文とミステリがとても魅惑的に融合しています。
    美しき文体で綴られた情緒溢れる人間模様が素晴らしいです。
    読み終わった後に思わず溜息が出てしまいました。

  • 近頃あまりミステリは読まない私が薫り高い作品との評判に手にとった一冊ですが、期待に違わぬ作品集でした。冒頭の二作の美しさと哀しさが特に素晴らしかったです。

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著者プロフィール

連城三紀彦
一九四八年愛知県生まれ。早稲田大学卒業。七八年に『変調二人羽織』で「幻影城」新人賞に入選しデビュー。八一年『戻り川心中』で日本推理作家協会賞、八四年『宵待草夜情』で吉川英治文学新人賞、同年『恋文』で直木賞を受賞。九六年には『隠れ菊』で柴田錬三郎賞を受賞。二〇一三年十月死去。一四年、日本ミステリー文学大賞特別賞を受賞。

「2022年 『黒真珠 恋愛推理レアコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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