交換殺人には向かない夜: 長編推理小説 (光文社文庫 ひ 12-5)

著者 :
  • 光文社
3.53
  • (124)
  • (292)
  • (289)
  • (81)
  • (16)
本棚登録 : 3004
感想 : 238
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334748449

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 4.1

  • 東川さんの作品はロジックも完璧だけど題名から面白そうで手に取りたいと思わさせられる。場所を山荘に移し伏線バリバリ回収のミステリでした。

  • シリーズものだと知らずに読んだ。
    急にギャグ暴力シーンがあるような、コメディパートがちょっと苦手だった…。
    作中作の「映画監督サイコ」が邦楽の「カメラを止めるな!」に似てると思った。

  • ⚪︎全384p
    ⚪︎烏賊川市シリーズ4作目
    ⚪︎タイトル通りの交換殺人

    ⚫︎短編集で東川篤哉氏を知り、読み易い文体とほどよいコミカルさに好感度◯だった為、古本屋のセールで安価だった際衝動買い
    ⚫︎まさかのシリーズもの
    ⚫︎短編で読んだ時とは異なり、全編このギャグノリでいくと若干の胃もたれ
    ⚫︎カッコいい探偵という印象はあまりなし
    ⚫︎陰鬱とした作品が苦手な人には楽しめるかな?個人的にはもう少し堅い方が好き
    ⚫︎時系列が同じじゃなかったという定番かつ王道
    ⚫︎彩子氏が印象を変えている点、それぞれの彩子氏に別々の人間が会っている点など別人かのようなミスリードが上手い
    ⚫︎終章付近でも触れられていたとおり、犯人が逮捕されるわけでもないし、ネタバラシをされてもあまりスッキリとは終わらない

  • 交換殺人というトリックを知ってるのに全然どうやったかわかりませんでした!

  • ■感想■
    今回は手も足も出ませんでした。もともと推理しながら読もうとはしてないのですけどそれにしても事件の真相がまったく想像できなかった。まあ、あれはこうなんやろなというとっかかりくらいまでは感じてたんやけど。みんなアイツが悪いんや~

    ■要点■
    (1)交換殺人、誰と誰が誰と誰を? そして、いつ?
    (2)鵜飼&朱美、流平&さくら&新キャラの水樹彩子、刑事たちには新キャラ和泉。
    (3)いつも通りの漫才的会話と地の文と、事件。

    ■キーワード■
    交換殺人、浮気調査、別荘、才能ない画家、金髪青年、怪奇映画風西洋館、関西弁女子、大雪、八ミリカメラ、彩子、和泉刑事、探偵と大家、探偵弟子と再登場のお嬢さま、謎の美女殺害事件、白骨死体、悪徳リフォーム業者、伝説のホラー映画。かんじんなキーワードは書いてません。

    【一行目】――つけられている。

    ■設定■

    基本的にはおかしなキャラクタたちのおかしなセリフや行動(と地の文)をおもしろがるギャグ小説だがちゃんとミステリしておりしっちゃかめっちゃかにはならないので安心して心地よく楽しめる。著者は楽しそうでないシーンは省略する方針のようでストレスもあまりない。読書の楽しみを得やすい作品。

    ■キーワード■

    【烏賊川市】千葉の東、神奈川の西にあるそうだ。異次元? かつては年に数回海面が盛り上がるほど烏賊がやってきていて烏賊御殿とかあったようだ。烏賊の運搬に使っていた川が現在一級河川の烏賊川だった。探偵鵜飼杜夫やビルオーナー二宮朱美や探偵助手戸村流平たちがいる。烏賊川市警察の砂川警部は日々クラゲを眺めて天気予報をしているくらいヒマ。映画館は一軒もない。大学には映画学科がある。《大したことない事件には事欠かないのが烏賊川市なのである。》撃て!p.26。近隣に盆蔵山を抱く奥床市などがある。

    【鵜飼杜夫/うかい・もりお】探偵。中肉中背で目立たない顔。ルノー・ルーテシアに乗る。なんか似合わないイメージ。金がないくせに仕事を選り好みする。タウンページに記載されているキャッチコピーは「Welcome trouble」。《なんだ、刑事さんか。ちぇ、敬語で話して損したな》密室の鍵p.160。「猫は」では報酬の金額に逆らえず(朱美に逆らえず)豪徳寺さんちの三毛猫探しに乗り出すことになった。ちなみに猫に好かれやすいタイプのようだ。《まあ、この探偵の行動は、どれをとってもあまり理解しやすいものではない。》猫p.368

    【二宮朱美/にのみや・あけみ】黎明ビルの若きオーナー。修羅場をくぐった根っからの大家。四階に住む。客観的に美女。愛車はベンツ。家賃滞納しがちな鵜飼は朱美に頭が上がらない。嫌味はちょっと言ったりするが。意外なことに鵜飼とは互いに憎からず思っているフシがある(「猫は」あたりでは)。戦闘能力は高い。「密室の鍵」では白波荘のオーナーだった(白波荘は後になくなった)。まだ鵜飼たちと知り合いではなく故障中のオートバイの整備(破壊?)にせいをだしていた。《ただいじり回しているのが楽しいからいいの。》密室の鍵p.151。同アパートの住人茂呂とも知り合いだった。死体を見ていちおう悲鳴を上げた。

    【黎明ビル】二宮朱美がオーナーで彼女自身四階に住んでいる。鵜飼杜夫の探偵事務所が三階にある。歓楽街の外れにある。

    【戸村流平/とむら・りゅうへい】鵜飼杜夫探偵事務所の探偵助手(弟子)。また、鵜飼は流平の姉の元夫らしいので元義兄(赤の他人ともいう)。事務所のキャッチコピー「Welcome trouble」は流平が考えた。烏賊川市大映画学科中退。かつてホームシアターを舞台にした密室殺人事件に巻き込まれ鵜飼に救われ弟子になった。ミステリ映画は好きだが原作は読まない。両親は夢を諦めさせるために大学に入れたようだ。しかし探偵助手にもなってほしくはなかっただろう。烏賊川市でもっともアロハシャツが似合う男かもしれない。虎キチ。酔っぱらうと何を言い出すかわからない恐ろしい男。

    【十乗寺さくら】お嬢さま。高校生くらいに見えるが二十歳。ちょっと天然系のふしぎなタイプ。三人の花婿候補を持つ。なぜか流平に惚れる。《このお嬢様は冗談をいうタイプではない。存在そのものが冗談みたいな――》撃て!p.275。『現代用語の基礎知識・最新版』や『烏賊川市近郊職業別電話帳』やフランスパンを武器に使う。《つまり《重いもの》さえこちらの手で握っておけば、あとは安心して付き合えるというわけだ。》交換殺人p.83

    【烏賊川市署】砂川や志木がヒマをもてあましている。

    【砂川/すながわ】烏賊川市署の自称エースで警部。素直ではなく右を向けと言えば左を向く扱いにくい性格。アホっぽいがたまにシャープなところも見せる。特技は運河を流れるクラゲを見て天気予報できること。ミステリ好きだが探偵は嫌い。《モテる男にはとりあえず反感を覚えるのが砂川警部の特徴的なメンタリティーであることを、志木はよく理解していた。》密室の鍵p.162。「猫」の十年前は刑事。彼が高林警部にしたアドバイスのせいで? 事件は迷宮入りした。和泉いわく《あの人はな、やる気がなくて優秀なんだ》交換殺人p.166

    【志木/しき】刑事。烏賊川市署の自称ホープ。同乗すると命を大事にしたくなるような運転技術の持ち主。昔はワルでブイブイ言わせてた。どんな罪状であれ、犯人逮捕に喜びを感じる。《僕は、拳銃を撃ちたくて撃ちたくてたまらない、どこにでもいる目立たない普通の刑事です。》撃て!p.239

    ▼烏賊川市についての枝葉末節(適当にメモしてっただけですが、後から見てみると結果的にネタバレなってたかも)

    【IKA映画社】教育映画をつくる地味~な映画制作会社。地元のテレビ局の系列会社。茂呂耕作が勤めている。ほぼブラック。
    【烏賊川市】舞台。どうやらシリーズになってるようですね。「猫は何匹」から読みはじめてしまいました。
    【烏賊川斎場】収容人数の多いところが取り柄。要人が死んだときはここを使う。
    【烏賊川大学】若者の減少に危機感を抱いた市長ががんばって設立した。理系学部はない。まあ、そこそこの大学。最近では映画学科が注目されている。烏賊川市に映画館はないが。
    【和泉/いずみ】刑事。志木の先輩。女性。ショートカット。美人。オートバイの運転はたぶん車を運転する志木並みかと。上司の前では「結構いけてる女刑事」を演じ、後輩の前では「相当いけない女刑事」の本性を剥き出しにする。一人称は「おれ」。
    【井上カメラ商会】烏賊川市のシャッター商店街にあるカメラ屋。美女を見るとモデルにして撮りたがる。店には高級カメラといっしょに古い八ミリカメラがあった。
    【依頼人】《一説によると、探偵というものは、依頼人を殺されてはじめて半人前なのだそうだ。》猫p.175
    【岩村敬一/いわむら・けいいち】通称なんでも屋の岩村。
    【馬ノ背海岸】烏賊川市の外れにある複雑な海岸線の一帯で観光地化の話もあったが地形が険しすぎてボツ。
    【魚丸武司/うおまる・たけし】漁師。
    【映画監督サイコ】彩子が学生の頃監督して撮ったアマチュア映画。問題作として話題になって流平も名前だけは知っていた。内容は、「シャイニング」の映画監督版のような「カメラを止めるな」のような。
    【エルザ】野良猫だったが桂木がエサをやったりしているうちに豪徳寺家によく来るようになった。三毛猫だが小柄でミケ子とは似ても似つかない。
    【奥床市立大学】烏賊川市の隣と思われる奥床市にある大学。映画研究会があり水木彩子が所属していた。
    【外注】《無闇な外注は自殺行為! よーく覚えておきなさい》撃て!p.110
    【桂木】豪徳寺家の使用人。執事であり、料理人であり、庭師でもある便利な男。達磨さんのような丸っこい身体。
    【加藤信夫/かとう・のぶお】交番勤務の警察官。
    【河内龍太郎】映画監督。「殺戮の館」「戦慄の島」「復讐の村」などB級の巨匠。この著者の他の話でも名前を見かけたことがある。特に「殺戮の館」の題名はよく出てくるかも。映画好きとしてはイヤな予感はしつつ怖いもの見たさの一本。
    【神崎隆二/かんざき・りゅうじ】さくらの花婿候補のひとり。二十五歳。市会議員神崎隆太郎の次男でコネにより現在烏賊川信用金庫勤務。フォードに乗っている。右手の甲に烏賊川市の地図に似た古傷(火傷のあと?)がある。鳥ノ岬の飛魚亭で射殺された。
    【教養猫】烏賊川市大教養部の喫茶室の周辺で暮らす数匹の猫のこと。
    【キンゾー/金蔵】松金正蔵。通称「金蔵」。鵜飼の知り合いのホームレス。鵜飼を「兄貴」と呼ぶ。烏賊川の西幸橋の下の段ボールハウスで暮らしている。何の誇張もなく頭がいいらしい。登場した次の巻で拳銃で撃たれ死亡。
    【桑田一樹/くわた・かずき】流平の同級生で映画好き。ビデオ屋「アトム」でバイトしている。「殺戮の館」は駄作だと言う。紺野由紀の最後の恋人。
    【剣崎京史郎/けんざき・きょうしろう】豪徳寺家の居候。招き猫狂。暮らしている土蔵の中には招き猫がぎっしり。異常によくしゃべるが会話という言葉のキャッチボールはほぼできない。
    【豪徳寺真一】豊蔵の長男。前の妻との間にできた子ども。二十八歳。
    【豪徳寺豊蔵/ごうとくじ・とよぞう】回転寿司チェーン「招き寿司」の創業社長。無類の猫好き(というより招き猫狂)で自宅の玄関に人間サイズの招き猫が二体置いてある。経営する回転寿司店にもある。豪徳寺さんやもんね。養子なのでもしかして豪徳寺という名前が欲しくて昌代と結婚した? また自宅にビニールハウスがある。いかつい顔に紳士らしい服装と物腰。十条寺十三の知人。自宅のビニールハウスで殺人事件があった十年後鵜飼に猫探しを依頼してきた。その後ビニールハウスで死体となって発見された。
    【豪徳寺真紀/まき】豊蔵の娘。十九歳の美人女子大生。豪徳寺豊蔵の殺された夜ビニールハウスに呼び出されうかつにも誘いに乗って捕まり豊蔵殺害現場を見てしまった。と証言している。
    【豪徳寺昌代】豊蔵の奥さん。三十代に見えるが四十三歳。
    【豪徳寺美樹夫/みきお】豊蔵の次男。二十二歳。映画好きで矢島達也とときどき映画鑑賞会をやってる。
    【権藤一雄/ごんどう・かずお】源次郎の長男。折り合いが悪くいつも取っ組み合いの喧嘩をしている。出奔中。
    【権藤源次郎/ごんどう・げんじろう】水木彩子の別荘のご近所さん。建築業「権藤ホーム」を営んでいるらしい。悪徳リフォーム業者。
    【権藤英雄/ごんどう・ひでお】源次郎の息子。折り合いが悪く取っ組み合いの喧嘩をしていた。
    【紺野由紀/こんの・ゆき】流平の学生のときの彼女。流平がIKA映画社に内定したとき失望して別れ話を切り出した。
    【彩子/さいこ】水樹彩子(みずき・さいこ)。ゴージャスな美女。さくらの友人。女優。映画研究会時代は監督経験もあり。愛車はBMW。「サイコ」とはまた意味深な名前で。
    【佐野/さの】十乗寺家の執事兼ボディーガード。流平は十乗寺家のオッドジョッブと思った。
    【執事】名前こそよく聞くが実際に出会ったものはあまりいないという希少な職種だがいるところにはいる。
    【収支】《殺人にだって収支という概念はあるだろうに》撃て!p.251
    【十乗寺家の屋敷】馬ノ背海岸の鳥ノ岬にある。重厚ではなく軽快で開放的。
    【十乗寺十一/じゅうじょうじ・じゅういち】さくらの父。十三の息子。十乗寺食品の社長。
    【十乗寺十三/じゅうじょうじ・じゅうぞう】七十歳、物心ついてから六十年、いまだ自分の名前がいいにくい。十乗寺食品の会長。かつて自らの屋敷を舞台にした拳銃乱射事件の謎を鵜飼に解決してもらった。
    【十乗寺道子】十一の妻。さくらの母。
    【白波荘】茂呂耕作が住んでいたボロアパート。もう維持管理する気もないようで建物を壊さなければかなり部屋の改造をしてもOK。ちなみにオーナーは二宮朱美。
    【白熊郡猪鹿村】烏賊川市に隣接する山村。人口一千七百人。畑作と酪農と林業。盆蔵山(ぼんくらやま)がシンボル。
    【真実】《そもそも掛け値なしの真実など世の中にそうはない。》撃て!p.94
    【鈴木のマー坊】荷台がちょっと大きめでわりとカッコいい車でした。昔はよく見かけてたけど。吉岡宗助の愛車。
    【スルメ】本名はサクラスルメオー。十乗寺さくらの飼い犬。ゴールデンレトリバー。
    【善通寺咲子/ぜんつうじ・さきこ】鵜飼の依頼人。春彦の妻。冷めたあと二回レンジでチンするとさらに美味しくなる料理をつくる。
    【善通寺春彦/ぜんつうじ・はるひこ】画家。咲子の夫。紳士っぽいが芸術家のオーラはいっさいない。父親の善彦(よしひこ)も画家でそちらは教科書にも載っている超メジャー。最近浮気がアヤシイ。
    【逮捕】犯人逮捕の基本、それは《形》だ!(撃て!p.10)
    【高梨孝太郎/たかなし・こうたろう】女が落ちてきた事件の目撃者。
    【高林】凄腕警部。今は現場からは離れているようだ。
    【田野上秀樹/たのうえ・ひでき】さくらの花婿候補のひとり。二十七歳。烏賊川市立大学経済学部教授で次期学長候補の田野上秀彦の三男。現在烏賊川市立大学経済学部講師。赤いフォルクスワーゲンに乗る。
    【探偵】《探偵は事件の渦中にいるうちは眠くならないんだ。》p.261
    【椿ビル】オンボロ雑居ビル。岩村敬一が暮らしていた。オーナーの老人はなかなか楽しい。
    【田園】豪徳寺真一の行きつけのバー。友人の田代俊之がマスター。
    【盗聴】《盗み聞きは変質者の趣味。盗聴は私立探偵のお仕事だ。》交換殺人p.61。盗聴器には盗聴特許許可局が認知すると丸Tマークが入るらしい。
    【遠山真里子/とおやま・まりこ】善通寺春彦の遠縁の娘。就職活動のため善通寺家に下宿している。関西弁。レギュラーの品揃えのため欲しい人材。車の車庫入れは苦手。善通寺春彦の浮気相手かもと夫人は考えている。鵜飼は彼女がアッケラカンと関西弁をしゃべるので浮気相手ではないと断じた。大雑把すぎる性格。
    【友子】佐野の妻。十乗寺家の料理はすべて彼女がまかなっている。
    【鳥ノ岬】馬ノ背海岸にある。鳥のように嘴状に突き出している部分がある。そこには十乗寺家の離れ(飛魚亭)が建っている。本当は屋敷を建てたかったらしいが嘴の強度の問題で不可能だった。
    【内出血密室】凶器によって即死や動けないわけでない場合被害者自身が密室を作ってしまうことということのようだ。
    【中谷SV8】昔の8ミリカメラ。さくらが買おうとしている。
    【中山章二/なかやま・しょうじ】四十一歳独身。金属パイプ等を加工する町工場経営者。腕はいい。酒癖はわるくあるときチンピラ二人を殴り倒したら被害届を出されてしまった。偶然、拳銃密造をしていた。
    【ニャーネルニャンダース】「招き寿司」の入り口に置かれている招き猫の人形。ほぼ人間サイズ。地元の子どもたちは「ニャーネルニャンダース」と呼ぶ。
    【猫】ミユキには漁師がエサをやっていた。教養猫は大学教養学部の喫茶室におり猫舌は壊れている。黎明猫は黎明ビルの近くに最近来た。ニャーネルニャンダースは招き寿司チェーンと豪徳寺さんちの玄関を飾っている。猫のお面の誰かは豪徳寺豊蔵を殺した。ミケ子は豪徳寺豊蔵の死体のあったビニールハウスにいた(かもしれない)。剣崎京四郎が暮らしている豪徳寺家の土蔵には招き猫がぎっしり。エルザは桂木がエサをやってるうちに豪徳寺家によく来るようになった。十年前矢島医院に怪我で死にかけた三毛猫が来て洋一郎が手当てして生き延び「マオ」と名付けられた。
    【恥】相手に恥をかかせるのは紳士のおこなうことではないらしい。流平はそれを「勝利の方程式」だと思っていたが。
    【原田】刺された女性をひきかけたがなんとか回避したものの女性はすぐ死んだので結果的に第一発見者になった銀行員。淡々と説明的に説明する。
    【ビニールハウス】豪徳寺さんちの庭にある蒲鉾型のビニールハウス。農家のものよりは小ぶりな感じだがけっこう大きい。頑丈な作りで少し揺すったくらいではびくともしない。すりガラスのように半透明なビニールが張られており中はほぼ見えない。特に何も栽培されていない。なんのために庭に建てたのだろう。よからぬことに使うのが目的? 殺人事件の被害者と思われる死体が二度発見された。単純なつくりなのでトリックには使いやすそう。
    【ひまわり荘】盆蔵山の別荘地にある水木彩子のセカンドハウス。山小屋ふう。
    【盆蔵山】奥床市にある山。環境がよく別荘地などがある。
    【本陣殺人事件】ATG製作の映画。ミステリ映画ブームの火付け役かとこの小説(密室の鍵貸します)では書いてあった。原作横溝正史。ぼく的にはけっこう好きです。
    【牧田裕二/まきた・ゆうじ】戸村流平の大学時代の友人。
    【升村光二郎/ますむら・こうじろう】さくらの花婿候補のひとり。二十六歳。居酒屋チェーン「升むら」を経営する升村家の次男。商才はあるが長男もそうなので立場は微妙。黄色いポルシェに乗る。
    【松金正蔵/まつかね・しょうぞう】→金蔵
    【招き寿司】豪徳寺豊蔵さんが創業し経営している回転寿司チェーン。
    【ミケ子】豪徳寺さんちの三毛猫。可愛げがなく大きい。脱走したミケ子をなぜ豊蔵さんは金に糸目もつけず探すのか。家族にもさわらせず猫部屋に「保管」していたようだし。その辺になにかありそうだとは思う。財宝の隠し場所がどっかに描かれてるとか。それはま、冗談ですけど。
    【三毛猫】この話(猫は何匹)には多くの三毛猫が登場する。招き猫も登場するが招き猫が三毛猫なのかどうかはよく知らない。三毛猫は遺伝子かなにかのせいで基本的にメスなのだとはよく知られていることだがオス三毛猫もまれに誕生するらしい。その場合の価値がどれくらいになるのかも知らないけど豪徳寺豊蔵さんが金に糸目をつけず探しているのはそのせいかもしれない?
    【水樹彩子/みずき・さいこ】→彩子
    【水沼/みずぬま】善通寺春彦が訪れた別荘の表札にそう書かれていた。
    【ミステリ作家】午前三時に散歩しているときあるものを見た。《なんだミステリ作家か。それじゃ深夜の散歩も無理ないな》猫p.114。そういや『深夜の散歩』という福永武彦、中村眞一郎、丸谷才一著のミステリエッセイ集を持ってます。
    【ミユキ】魚丸が三毛猫につけた名前。別れた女房の面影を見て。
    【茂呂耕作/もろ・こうさく】流平の映画学科地代の三年先輩。二十五歳。ボロアパート「白波荘」で暮らしている。改築ほぼ自由なので茂呂は一室を完全防音に改造しホームシアターとして使うためにあえてこのアパートで暮らしている。聴く音楽はエアロスミスか藤あや子。志木刑事の高校時代の友人。
    【矢島達也】洋一郎の息子。父の死んだ十年後、三十一歳のときには豪徳寺家の主治医になっている。豪徳寺真紀に気があるようにも見える。傷を見たら縫いたくなる。
    【矢島弓子/やじま・ゆみこ】洋一郎の妻。車椅子を使っているいう設定にわざわざしてるってことは視点の低さになにかあるのかもしれない?
    【矢島洋一郎/やじま・よういちろう】開業医。豪徳寺家の主治医。十年前豪徳寺家のビニールハウスで腹部を刺されて殺された。死亡時四十八歳。妻の弓子と二人暮らし。息子の達也は某有名大学の医学部の学生で東京暮らしだったが、十年後には豪徳寺家の主治医になっている。
    【安木理絵/やすき・りえ】豪徳寺豊蔵が殺された夜恋人とともに招き猫を目撃した一人。どうやら画像として記憶を保持できる能力を持っているようだ。
    【山村良二/やまむら・りょうじ】剣崎京四郎の麻雀仲間。
    【吉岡宗助/よしおか・そうすけ】椿ビルに暮らすプロのカメラマン。岩村敬一の呑み友だち。愛車は鈴木のマー坊。
    【黎明猫(仮称)】黎明ビルの近くにいる三毛猫。名前は特にないが体形からデブと呼ばれたことあり。
    【ルノー・ルーテシア】鵜飼の愛車で精一杯の見栄。《見かけは国産のハッチバックと大して変わらないのだが、その実、価格も装備もやはり国産と大して変わらないという、すこぶる個性的なフランス車である。》撃て!p.59
    【連続殺人】《実際、連続殺人を描くミステリに人間ドラマが本当に必要なのだろうか、という疑問は以前から流平のなかにあった。》密室の鍵p.67

  • 「発端の部」
    何気ないことばかり。
    結婚してから変わっていったのではないとなると、関係性を疑うのも仕方ないのかもな。

    「昼の部」
    出会っているはずが。
    いくらボーッと歩いていたとしても、人通りのない場所ですれ違った者は記憶にないか。

    「夜の部」
    身元を確認出来ない。
    いくら凶器が刺さったままだとしても、衣服に染み込んだ血液が道に垂れなかったのか。

    「深夜の部」
    白骨死体を掘り当て。
    目印の下にあるはずが、どこまで掘っても見つからなかったらパニックになるだろうな。

    「夜明けの部」
    名前が違う一人とは。
    旧姓でもなく全く別人のように呼び名を変え、見た目すら違うなんて訳が分からないな。

    「解決 -引き裂かれた夜の果てに」
    時を超えた交換殺人。
    全て同じ時系列で起きていると錯覚していたからこそ、答えが見つからなかったのだろ。

  • 交換殺人のミステリーかと思いきや、、、

    まさかの叙述トリック

  • 東川篤哉の長篇ミステリ作品『交換殺人には向かない夜』を読みました。
    『完全犯罪に猫は何匹必要か?』に続き、東川篤哉の作品です。

    -----story-------------
    不倫調査のため、使用人を装い山奥の邸に潜入した私立探偵・鵜飼杜夫。
    ガールフレンドに誘われ、彼女の友人の山荘を訪れた探偵の弟子・戸村流平。
    寂れた商店街で起こった女性の刺殺事件の捜査をおこなう刑事たち。
    無関係に見えた出来事の背後で、交換殺人は密やかに進行していた……。
    全編にちりばめられたギャグの裏に配された鮮やかな伏線! 
    傑作本格推理。
    -----------------------

    2005年(平成17年)に刊行された、架空の地方都市・烏賊川市を舞台に繰り広げられる本格ユーモア・ミステリ・烏賊川市シリーズの第4作です。

     ■プロローグ
     ■【発端の部】
      ・鵜飼杜夫探偵事務所(鵜飼・朱美)
      ・十乗寺さくら再び(流平・さくら)
     ■【昼の部】
      ・善通寺家への侵入(鵜飼・朱美)
      ・ひまわり荘への道のり(流平・さくら)
     ■【夜の部】
      ・鶴見通りの死体(刑事たち)
      ・善通寺春彦への電話(鵜飼・朱美)
      ・露天風呂の悪党(流平・さくら)
     ■【深夜の部】
      ・扇町通りのアクシデント(刑事たち)
      ・真夜中の穴掘り(鵜飼・朱美)
      ・『映画監督サイコ』(流平・さくら)
      ・掘り返された過去(鵜飼・朱美)
      ・泥のついた死体(流平・さくら)
     ■【夜明けの部】
      ・『見知らぬ乗客』(鵜飼・朱美)
      ・真実にいたる小道(流平・さくら)
     ■【解決――引き裂かれた夜の果てに】
     ■エピローグ
     ■解説 佳多山大地

    不倫調査を依頼され使用人を装い善通寺邸に潜入した名探偵・鵜飼杜夫(うかい もりお)と二宮朱美、

    恋人?の十乗寺さくらに誘われ、さくらの友人・水樹彩子(サイコ)のセカンドハウスひまわり荘を訪ねた鵜飼の弟子・戸村流平、

    鶴見通りで上品な女性が刺殺された事件を追う烏賊川市警察の砂川警部と志木刑事、そして和泉刑事、

    この3つの視点でパラレルに物語は展開しますが、同一人物と思っていた人物が別人物だったり、別人物と思っていた人物が同一人物だったり、平行して語られる物語のひとつだけが過去のエピソードだったり、巧くミスリードさせられる叙述トリックが仕掛けてあって愉しめました… 3つの物語が、巧く一つの物語として溶け合う瞬間が印象的でしたね。

    交換殺人の使い方も秀逸… コミカルな展開とミステリとしてのクオリティを両立させる抜群のバランス感覚が良いですねー 面白かったです。

  • シリーズものと知らずに読んだ。烏賊川市シリーズの4作目らしい。
    タイトルから、これとこれの交換殺人なのかなと予測しつつ読み進めると、まんまと裏切られる。ドタバタが収束していくのが楽しい。

全238件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

1968年広島県生まれ。岡山大学法学部卒業後、2002年、光文社カッパノベルスの新人発掘プロジェクト「KAPPA‐ONE」にて『密室の鍵貸します』が有栖川有栖氏に推薦されデビュー。11年『謎解きはディナーのあとで』が第8回本屋大賞第1位に輝き、大ヒットシリーズとなる。「烏賊川市」シリーズ、『館島』、『もう誘拐なんてしない』、「探偵少女アリサの事件簿」シリーズなど著書多数。

「2023年 『谷根千ミステリ散歩 中途半端な逆さま問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

東川篤哉の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×