半島を出よ 上 (幻冬舎文庫 む 1-25)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 327
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  • Amazon.co.jp ・本 (509ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344410008

感想・レビュー・書評

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  • 北朝鮮の武装コマンドに占拠された九州。日本の政府の情けなさと、日本国民の削がれた防衛本能が実にリアルに描かれる一方、村上氏特有の殺伐とした非現実的な人物描写に寝る間も惜しんで読んでしまった。
    特に、日本人からすれば想像を絶する非情な訓練を受けた北朝鮮の兵士たちと、村上ワールドの猟奇的な少年たちが対峙するということで、一体どんな戦いになるのだろうと、待ち望んだのだが、上巻では、少年たちは動き出さんのかい!と、読み終わってから突っ込んでしまった。
    しかし、北朝鮮はとても他国における北朝鮮の情報に敏感で、テレビなどで北朝鮮が取り上げられると諜報部が必ず目を通していると聞いた。この小説もきっと読んでいるはずで、真似されたらどうしようとひやひやしてしまう。

  • 3.5
    経済的に弱くなった2011年の日本が舞台。国際的孤立を含める日本に北朝鮮の反乱軍として特殊部隊が福岡に攻め占拠した。ハングリー精神なり日本の危機感のなさが如実に描かれる。一方で、北朝鮮の兵士はよく訓練され、よく考えられた発言など対照的。銀行の名簿を強引に入手し、金持ちの不正を無理やり暴き拷問による自白に基づき財産を没収して資金にするなどやり口もなかなか興味深い。スリョンを使った融和政策もよく考えられている。拷問の部分も戦時中のような描写でなかなか壮絶。全てが紐づいた住民票コードの危うさも出てくる。

  • 巻頭に記載の登場人物のあまりの多さに尻込みし、積読こと3年…。
    気合いを入れて読み始めてみたら、意外にスンナリと人間関係も整理出来て、グイグイ読めました。

  • 2018/5/2

    北朝鮮が福岡を占領し、日本から独立させるという物語。
    けっこうグロいシーンがリアル。
    けど、素人集団のところで、どうも読む気がなくなった。

  • 前から気になってた本。表紙をデザインした人を追いかけた番組があって、そこでこの本を知った。もう何年も前の事だけどね。

    んー、ダラダラ長い。でも、無さそうで有りそうな?少しリアリティがある。最後のドンパチだけ良かったな。下巻に上手く続けたと思う。このドンパチが無ければ読むのやめてたわ。まぁイシハラ軍団が気になるけどね。

    しかし北朝鮮の軍隊が素晴らしく、日本人がダメダメに書かれてあるのが納得出来ない。北朝鮮の軍隊ってそんなにスゴいのかな?とりあえず下巻に続いてみる。

  • 上下巻とも読了。
    あまりにも強烈かつ鮮烈な物語でもあったため、途中で、頭の中にイメージが残りすぎて、現実に浸食するところもあって困るほどだった。
    今、北朝鮮との関係性が複雑でもあり、さらに複雑な思いで読んだ。フィクションではあるけれど、詳細に構築されている世界は、ある一面において、日本と北朝鮮の違い、北朝鮮という国そのものの本質について知る機会にもなった気がする。日本政府に関しては、もし、実際に似たようなことが起こったら、こんな程度なのではないか。そこが一番、苦々しい。
    次々に代わる語り部の人物も、それぞれに思いがあり、言い分があり、背景(過去)があり、人生がある。思い入れに度合いはあるが、どの人も嫌いにはなれない。
    でも、主人公は「イシハラグループ」だろう。
    どのメンバーもクセがあり、「集団」からはみ出してしまう者たちの言動・行動は、時に滑稽でもありつつ、どこまでも真面目で、真剣。彼らが一つの目的を持った時、物語が大きく動き出す。
    壮大な物語、圧倒的なイメージと疾走感、人物造形、多様な人間の本質、罪と罰、正義と道徳…。
    世界を壊し、救えるのは、結局、走り出せる者だけなのだ。

    やはり、村上春樹よりも、村上龍のほうが、圧倒的に好きだなあ…。

  • 面白いです。下巻でどうなるかな?

  • 読了日2010/02
    やっとやっとやっと、上巻読み終えました。長かった~
    すごい情報量と登場人物の多さに圧巻!
    所々流し読みしないと、すべてを理解しようとしたらわけわかんなくなっちゃいそう。

    でも、舞台が福岡で、実在する建物がたくさんあるので、リアリティがありすぎて、ちょっと怖い。
    自分が住んでる住所もでてきてビックリ!

    プロ野球の開幕戦が行われている福岡ドームが北朝鮮の兵士9人に乗っ取られる。
    平和ボケの日本人は戦う事を知らず、あっさり占領されてしまう。
    そして、日本の政治家たちは福岡を封鎖し切り離してしまう。

    本の舞台は2010年!今年なんです。
    ここまでひどい経済状態にはなってないけど、近いものがあって、ほんとにあと数年後には、この本のように、失業者があふれ、町中浮浪者だらけになりそうで怖いなぁ。
    そして、全く頼りにならない政治家たち・・・
    アメリカに見放され、中国に嫉妬し、北朝鮮に乗っ取られる。哀れな日本。

    下巻で、日本がどんな抵抗をするのか。
    楽しみだけど、あと半分かと思うと疲れちゃうな(笑)

    あと、本中の福岡弁はひどい・・・
    福岡弁じゃないと思うんだけど。こんな方言つかわな~いって言う所がいっぱいで許せないな!

  • もちろんフィクション作品だが、妙にリアリティがあり、北朝鮮が実際攻めてきたら起こり得ると思う。そんな予言書的な印象でした。

  • とても面白いです。福岡県民なので、土地勘があり、物語のリアリティーが増して怖いです。北朝鮮軍の動向も、日本政府の対応もあり得る…。上巻ではイシハラグループがまだあまり関わってこないので、下巻が楽しみです。しかし、登場人物が多過ぎてちっとも覚えられません。。そして、わたしと同じ名前の登場人物がいるので、活躍するのかも楽しみです。

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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