察知力 (幻冬舎新書 な 4-1)

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  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344980815

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  • 仕事について、キャリアについて考える上で、学ぶべきことが多い一冊。

    :::::::::::::::::::::::::::::::::::
    【読書メモ】

    ●監督が代わり、サッカーが変わり、僕に対する要求やプレーするポジションが変わったとしても、引き出しが多ければ、そういう新しい状況に対処しやすいし、ポジションを得て、どんな監督のもとでも試合に出る可能性が高いんじゃないかと考えた。

    ●思うようにいかないことにぶち当たったとき、原因を察知する力。
    ●上司から自分が求められていることを察知する力
    ●目標へ到達するためにやるべきことを察知する力

    ●周囲の変化を「察知」して、臨機応変に対応できれば、状況や環境は変わっていく。空気を読むというのは察知することであり、それは人を思いやり、他人の気持ちを力でもあると思う。

    ●節目、節目には、短期、中期、長期という形での目標も、サッカーノートに書いた。目標を書いておけば、自然と、それを意識した日々を送ろうと努力するものだから。

    ●自分が立っている環境がどういうところなのかを知り、解決策を準備する。

    ●試合に出続けるためには、監督が描くサッカーを理解し、それに対応しなければならない。だからこそ、僕は多くの"引き出し"を持つための、準備をしなくちゃいけない。

    ●思うようにうまくいかないことがあっても、誰かを悪者にして、終わらせるのではなくて、未来の糧にしなくちゃいけない。ただ気持ちを切り替えただけでは、苦しんだこと、悔しかった思いも無駄になってしまう。

    ●もちろん、理不尽で解決できない壁もある。そういうときは、壁からちょっと逃げるというか、考え方を変えて方向転換する。「これだけ頑張ってもどうにもならないのか、だったら」と別に道を探すことが必要なときもある。そのあたりの空気を察知することも、大事な力なのかもしれない。

    ●ただ環境をかえるだけでは、ダメだと思う。「未来の自分」「なりたい自分」を想定し、そのために必要な環境を選ぶこと。

    ●ある能力が飛びぬけているのではなく、いろんなことができる選手というイメージ。そしてその"円"を大きく、太くしたいと考えていた。

    ●自分を周囲に理解してもらえる状況を作る。自分から望む方向へ状況を仕向けることも重要だ。しかも良好な関係を維持しながら、と考えれば、相手を知り、理解した上で、自分自身が工夫しなくてはならない。
    ●自分を知ってもらうためには、相手を知ることが大事だ。分かり合えなくては、いい関係は築けない。

    ●早く新しい環境に馴染み、自分を認めてもらい、課せられた課題をクリアーし、評価を得て、また新しい課題に取り組む。その作業をうまく運ぶために最初にしなくてはいけないのは、新しい環境を受け入れること。それが新しい環境で挑戦するということだ。

    ●大事なことは、自分を知ること。新しいサッカーのなかで、何ができ、何ができないのかと自分とサッカーとを照らしあわせながら、工夫していく。

    ●監督が何を望み、どんなプレーの選手を求めているかを察知し、要求にこたえられる準備をしなくてはいけない。

    ●味方を知るということは、重要なポイントだ。僕は足が遅いぶん、強い相手と戦うときは、相手よりも速く動き出さなくちゃいけない。そのためにはゲームの流れを読むことも必要だけど、味方をどれだけ理解しているかというのも重要なポイントだ。

    ●ミスを犯した直後はパニックに陥っている選手もいるから、その場でさらに指摘することがすべて、ベストかどうかはわからない。

    ●他人を妬んでいる人は、伸びない。自分の足りない力を分析せずに、他人を妬んでいても意味がないのだ。

    ●「頑張っているのに認めてもらえない」と不満を持つ前に、監督にその姿勢や思いが伝わっているのかを考える。伝えたつもりでも、伝わらなければアピールにはならない。

    ●どんなことであっても、大きな目で見れば「失敗はない」と思っている。確かに、"その瞬間""ある時期"は、失敗だったと思うかもしれない。でも、それを次へ生かすことができれば失敗にはならない。"失敗"にならないよう、"その後の未来"のため、必死で頑張るのだ。

    ●もちろん、監督の求めるプレーを忠実にやる、という意識も必要だ。けれど、土台ができあがったら、そこから先には、選手の"強引さ"が必要となる。

    ●連動性を高めるには、選手それぞれが空気を読み、お互いを察知し合うことも必要だ。技術や戦術だけでなく、それにプラスして、察知力で連動性を詰めていくことで、日本は世界と戦えるようになる。

  • 中村俊輔『察知力』(幻冬社)

    □ 歯が立たない、自分はまだまだと思えたら、それはそれで素晴らしいことだと感じている。だって、課題が見つかったってことだから。
    ラッキーだと感じる。その課題を克服すれば、「また自分の引き出しが増えるな」と。僕はそういう思いをしたくて、ヨーロッパに来たといっても過言ではない。
    □ 物事が起きるには、絶対に何か原因があるはず。自分の思い通りにことが進まないなら、その原因を察知して解決への糸口を見つけ出せばいい。
    □ 大事なのは常に未来を察知して、自分には何が足りなくて、何が必要なのか、危機を察知して準備すること。周囲の空気を読む、察知する力の重要性ということだ。
    □ 細かいことを感じるか、感じないか、考えるか考えないかで、人の成長は違ってくる。何も考えずにサッカーをやっていても巧くはならない。そして、海外のサッカーをたくさん見たとしても巧くはならない。同じ映像を見ながら、なにを察知し、感じ、自分のものにするかということが大事だと思う。
    □ 1対1では勝てない場面が絶対に出てくる。だからこそ連動性が必要となる。ボールを持っていない選手が動いて、見方をサポートし、相手を崩していく。そういうサッカーができないと日本は世界では戦えない。だからこそ、選手にはいろんな仕事ができる多様性、ポリバレント(一人の選手が複数のポジションや役割をこなすこと)な能力と機動力が求められる。
    □ 他人に興味を持つことで、いろんな人の経験を知ることができ、自分にフィードバックできるものを発見することもある。どんな仕事をしている人であっても、その人の持つ「経験」は貴重な財産だから。
    □ 察知力というのは、人が成長するためには欠かせない力であり、目標を達成したい、願いを叶えたいと思うなら、磨くべき重要な力だと思う。それはサッカー選手だから、アスリートだからというのではなくて、あらゆる仕事をしている人に当てはまるはず。思うようにいかないことにぶち当たったとき、原因を察知する力。上司から自分が求められていることを察知する力。目標へ到達するためにやるべきことを察知する力。周囲の変化を「察知」して、臨機応変に対応できれば、状況や環境は変わっていく。空気を読むというのは察知することであり、それは人を思いやり、他人の気持ちを感じる力でもあると思う。
    □ 僕にとってサッカーは特別なことではない。文字通りの趣味であり、そして特技なのだ。
    □ 変化を体感し、それに応じて、進化させていかなくちゃいけない。
    □ フリーキックに限らず、どんなプレーでも、ただ漠然とトレーニングするだけじゃなく試合の状況をイメージし、様々なシチュエーション、相手のこと、そして自分のコンディションなどを考え、今、必要なことを選択し、練習する。そういう頭を使った準備をしていないと、僕みたいに身体能力がそう高くない選手はやっていけない。それに何事にもテーマや課題があったほうが楽しい。

  • 環境が変わればやり方も求められるものも違う。「観察し情報を集め察知」し、壁を乗り越え経験を積む。慮を越えて勘といっていいレベルで意識して鍛えてきたからこその、今の活躍何だろうと思う。サッカーノートに何でも書いてモチベーションを上げる等蓄積してきたものが、彼を支えている

  • 最高

  • 俊輔スゴイ! 向上心・前向き だからTOPで活躍しつづけられる。見習おう!

  • サッカーをただやるだけでなく、いろんなことを考えながら記録しながら続けていくことが大事だと痛感させられました。

  • 中村俊輔選手のサッカーに対する思い、そしてどういう気持ちを経てこれまで数々の挑戦をしてきたのを綴っている一冊。いろんな事を体験して、引き出しを増やし幹を太くしたいという思いはサッカー選手以外の誰にでも通じる事で勉強になる部分が多かったです。

  • 何度も何度も叩きのめされ、行くてに大きな壁が立ちふさがる。そんな試練をどう乗り切っていったのか…、人生の辛苦をかみ締めている大人たちだって、中村俊輔の戦いとメンタリティーには、興味があったはずだ。しかし、「中村俊輔が気になる」と言うと、自称サッカー通たちからばかにされそうで、彼のインタビューが掲載されているサッカー雑誌に手をのばすことができなかった中高年サラリーマンも多かったと思う。そんな人たちにとっても待望の1冊だろう。
    新書版というスタイルと「察知力」というタイトルは、そんな大人たちに向けての中村俊輔なりの気配りなのかもしれない。

    もちろん、サッカーファンや俊輔ファンはさらに楽しめる。
    中村俊輔独特の具体的で平易な語り口で書かれているので、中学生でも十分理解できると思う。


    相変わらず中村俊輔の頭の中はサッカーでいっぱいのようだ。
    しかし、昔と少し違うのは、強化する対象が自分から日本になっているところだ。日本代表が世界の強豪に勝つためにどうすればいいか、彼は自分を実験台にしてそのデーターを集めているのだ。

    <i>僕は、未来の日本サッカー界の進化のための実験台のようなものだと思うことがある。身体的に恵まれているとはいえない僕がヨーロッパのリーグでプレーし、チャンピオンズリーグを戦っている。そのためにどんなことに悩み、何を考え、日々を過ごしているのか?それが貴重な研究資料になればいいな、と。(「察知力」第1章より引用)</i>

    人は、それなりに成功すれば偶像になりたがるものだ。本人がそうでなくても廻りがどんどん偶像化していく。しかし、中村俊輔は、実験台であり研究資料になれるといいなと言う。
    彼にとってサッカーは成功への踏み台ではなく、日常なのだろう。だから日本のサッカーの進化と言う流れからみると、自分もその通過点の1つだと自然に考えられるのだろう。


    日本を強くするための考え方や実践は、最近の彼のプレーと合わせてみると、理解しやすい。
    自分が考えた「日本人の特性を活かしたサッカー」はオシム前監督のサッカーとよく似ていたという。
    そのオシムさんに召集され、アジアカップをともに戦い、オーストリア遠征で手ごたえを感じた矢先にオシム監督がたおれてしまう。この間の悪さも中村俊輔らしい。
    岡田監督に変わり、スローガンや戦術がコロコロ変わっても、今の中村俊輔の軸はぶれない。W杯で勝つために、欧州で獲得したノウハウを惜しげもなく日本代表に伝えていこうとする姿は先日のW杯予選でも実際に見られていた。


    最近の中村俊輔は、この本で自ら語っているように日本でプレーしていたころの彼とはずいぶん違ったキャラクターになっている。
    線の細い天才肌の若者から父性をそなえたナチュラルな人物に成長している。
    おそらく海外移籍による様々な経験が彼の豊かな人間性を育てたのだろう。海外の日常生活に溶け込むにも、新しいチームでプレーするにも、いつも相手を知り、自分を知り、そのために何をすべきかを考えて実践してきたという。
    年齢のわりには幼かった社会人としてのコミュニケーション能力を少しづつ積み上げ、生活者としての日常を楽しめるようになった自己の成長を素直に喜んでいる姿がほほえましい。


    「慢心すると人に抜かれ置いていかれそうでこわい」という臆病なセコさと、それを取り繕うことなく曝け出す正直な大胆さ。このアンビバレントが中村俊輔の庶民的な魅力の根源なのだろう。

  • 20091007〜20091014

  • 同じエピソードが何度出てこようと、基本的にはずっとひとつのことしか言っていなかろうと、中村俊輔が考えていることを読めるというだけで価値がある。

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