重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る (幻冬舎新書)

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  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344982611

感想・レビュー・書評

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  • この本の中ではまだヒッグス粒子はまだ発見されておらず重力波も観測されていなかった。
    この数年で科学的にダイナミックな展開があったんだなとより感じてワクワクした。「ホログラフィー原理によるとこの空間自体が幻想である」イデアの影を比喩に表現していたが、
    荘老思想にもつながるような話で興味深かった。

  • ■『重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る』読了★4つ(5点満点)
    確か20年前ぐらいに挫折した、「特殊相対性理論」と「一般相対性理論」がやっと少しだけわかった。

    というか、物理学の最前線は、相対論と量子力学の融合の融合の話だったのか~。
    やっと超弦理論(超ひも理論ともいう)の位置づけがわかりました。
    (「最前線」っていっても物理学の場合は、ここ半世紀から四半世紀ぐらいなんですけどね)

    この範囲を新書に収めた著者はすごい。

    しかし、相変わらずマニア道ばく進中!一応職種は、マーケターに属しているんですどね(^^;
    https://www.amazon.co.jp/gp/product/4344982614/ref=as_li_qf_sp_asin_il_tl?ie=UTF8&tag=hitoshiebih0a-22&camp=247&creative=1211&linkCode=as2&creativeASIN=4344982614&linkId=4e6305d0ceeb9c7ba54167b362451aef

  • 重力という視点から、物理学を広く見渡せる一冊。出版当時では重力波を検出できていないが、内容は十分今でも通用する。
    数式を全く使っていないのにもかかわらず、わかりやすい。また、単に定性的な説明にとどまっていない。
    古典力学から始まり、量子力学、特殊・一般相対性理論、超弦理論、重力のホログラフィー原理まで網羅し、物理学を横断する。
    新書でも、素粒子論の第一線で活躍する専門家だからこその、凝縮された内容なのだと思う。
    GPSと相対論の話、量子力学の不確定性原理と因果律の話は興味深く、知ってよかった。

  • 文理問わず誰しもにお勧めしたい本

    重力とは何か
    という問いに対して、
    高校くらいまでの物理の知識のある人は
    万有引力というものを思い浮かべるだろう
    もっと物理について知っている人は、アインシュタインの
    相対性理論の話を思い浮かべるかもしれない

    この本はサブタイトルに書いてあるように
    もっと踏み込んで、超弦理論というものの紹介まで行く
    その中で宇宙の誕生の話やブラックホールの話まで
    すすんでいく

    扱っている内容自体はとても高度で難しい話だが
    文系の人が敬遠しがちな数式なしで
    本当にわかりやすく楽しく教えてくれる
    素晴らしい本

  • 2012年刊。著者はカリフォルニア工科大学カブリ冠教授・数物天文部門副部門長。◆表題どおり重力に関し、ニュートン力学、特殊・一般相対性理論、量子力学からブラックホール、さらに超弦理論とその展開を、数式を用いずに解説。ただ重力子の話題は多くない。◆高校物理の知識や思考方法(特にその学習時に想起すべきイメージ)を認識していた方が、本書の比喩は理解しやすいと思うが、ハードカバーを含め読破済の類似テーマの書の中では格段に判り易い。特にブラックホールの事象の地平線の解説からホーキング放射へ進める議論の平明さに驚嘆。

  • 新書文庫

  • 重力は振動する「閉じた弦」によって伝わるが、ホログラフィー原理に現れるスクリーンには「開いた弦」しか張りついていないので重力が含まれない。

  • 【目次】
    はじめに [003-014]
     「知りたい気持ち」は止められない
     重力研究がなければGPSも生まれなかった
     重力研究は宇宙の理解につながっている
    目次 [015-021]

    第一章 重力の七不思議 023
     重力は「力」である=第一の不思議
     重力は「弱い」=第二の不思議
     重力は離れていても働く=第三の不思議
     重力はすべてのものに等しく働く=第四の不思議
     重力は幻想である=第五の不思議
     重力は「ちょうどいい」=第六の不思議
     重力の理論は完成していない=第七の不思議

    第二章 伸び縮みする時間と空間――特殊相対論の世界 045
     物理学者は急進的な保守主義者
     物理学の理論は「一○億」のステップで広がってきた
     ナノレベルの世界のナノテクノロジ-
     電波も光も放射線も、みな電磁波の一種
     どんなに足し算しても光の速さは変わらない
     光速の不変性を実証した「マイケルソン=モーリーの実験」
     同時に出したのになぜ後出しジャンケンになるのか
     列車の中の一秒と外の一秒の長さが違う!
     時間だけでなく距離も伸び縮みする!
     「E=mc^2」とは固定相場の為替レート
     なぜエネルギーを質量に変換できるのか
     もし光より速い粒子があったらどうなるか

    第三章 重力はなぜ生じるのか―― 一般相対論の世界 085
     まずは「次元の低い」話をしよう
     二次元空間に「球」が現れたらどう見えるか
     円の中心にものを置いたら中心角が三六○度より減った!?
     重力の正体は時間や空間の歪みだった
     アインシュタインの人生最高のひらめきとは?
     消せる重力、消せない重力
     回転する宇宙ステーションの中では何が起きるか
     円周率=三・一四……が成り立たない世界
     数学者ヒルベルトとアインシュタインのデッドヒート
     水星の軌道を説明できた――アインシュタイン理論のテストその一
     重力レンズ効果が観測できた――アインシュタイン理論のテストその二
     重力波をキャッチせよ――アインシュタイン理論のテストその三
     あてになる力――ナビーアインシュタイン理論のテストその四

    第四章 ブラックホールと宇宙の始まり――アインシュタイン理論の限界 127
     地球も半径九ミリまで圧縮すればブラックホールに
     越えたら二度と戻ってこられない「事象の地平線」
     超巨大ブラックホール・クエーサー
     アインシュタイン理論が破綻する「特異点」
     宇宙の膨張を明らかにした八ツブルの発見
     宇宙の膨張を加速させる「暗黒エネルギー」とは?
     宇宙が火の玉だった一三七億年前の「残り火」
     ビッグバン理論に強く抵抗した科学者たち
     アインシュタイン理論の破綻を証明し、ホーキングがデビュー

    第五章 猫は生きているのか死んでいるのか――量子力学の世界 157
     「光の正体は波」で決着したはずが……
     「光は波」では説明できない光電効果という現象
     「光は粒」と考えた、アインシュタインの「光量子仮説」
     放射線障害のメカニズムも「光は粒」で説明できる
     すべての粒子は「粒」であり「波」でもある
     常識ではとても受け入れがたい量子力学の世界
     「あったかもしれないことは、全部あった」と考える!?
     「生きた猫」と「死んだ猫」が一対一で重なり合う!?
     位置を決めると速度が測れない!?――不確定性原理
     量子力学と特殊相対論が融合して「反粒子」を予言
     なぜ未来から過去に戻る粒子がなければならないのか
     粒子と反粒子が対消滅と対生成をくり返す
     真空から粒子が無限に生まれてしまう「場の量子論」

    第六章 宇宙玉ねぎの芯に迫る――超弦理論の登場 195
     「宇宙という玉ねぎ」はどこまで皮がむけるか
     加速器を巨大にすれば無限に小さなものが見えるのか
     宇宙という玉ねぎの「芯」は「ブランクの長さ」
     宇宙の根源を説明する、究極の統一理論とは?
     朝永=ファインマン=シュウィンガーの「くりこみ理論」
     素粒子とはバイオリンの「弦」のようなもの!?
     弦理論から素粒子全体を扱える超弦理論へ
     立ちはだかる六つの余計な次元と謎の粒子
     シュワルツ、苦節一○年の末の革命的な発見
     小さな空間に六つの余剰次元が丸め込まれている!?
     標準模型の説明に必要な道具立てがすべて揃った
     六次元空間の計算に使える「トポロジカルな弦理論」

    第七章 ブラックホールに投げ込まれた本の運命――重力のホログラフィー原理 231
     粒子のエネルギーが「負」になると何が困るのか
     ブラックホールの中ではエネルギーが「負」になってしまう
     ブラックホールが蒸発する「ホーキング放射」とは?
     ホーキング理論を襄づける宇宙背景放射の「ゆらぎ」
     ブラックホールに投げ込んだ本の中身は再現できるのか
     一○の「一○の七八乗」乗もの状態は果たして可能か
     「二次元の膜」「三次元の立体」を想定して突破口を開く
     ブラックホールの表面に張りつく「開いた弦」
     大きなブラックホールは通常の物理法則で計算できた
     小さなブラックホールの計算は「トポロジカルな弦理論」で!
     エントロピーが体積でなく表面積に比例する奇妙な現象
     すべての現象が二次元のスクリーンに映し出されている
     量子力学だけの問題に翻訳されたブラックホールの情報問題
     そしてホーキングは勝者に百科事典を贈った

    第八章 この世界の最も奥深い真実――超弦理論の可能性 269
     ホログラフィー原理の思いがけない応用
     宇宙は一つだけでなく無数にある?
     この宇宙はたまたま人間に都合よくできている?
     相対論と量子力学を融合する唯一の候補

    あとがき(二〇一二年四月 大栗博司) [286-289]

  • 重力を説明するのは大変で、過去の様々な研究や概念や理論を引っぱり出さなければならない。それを数物の歴史を辿るかたちで、光とは何か、時間と空間とは何か、相対性理論とは何か、量子力学とはなにか、ブラックホールの問題、超弦理論……と、素人にも興味深く説明をしてくれる。

    だからって、もちろんこの本一冊読んだところで、何一つ本質的な問題や答えは分からないのだけれど、それでも素粒子の世界や宇宙の世界などに興味を持つには十分な本。

  • 重力研究を中心に物理学の歴史をドラマティックに辿り、最後に最先端の理論における重力の解釈が紹介される。空間の歪みこそが重力の正体だとする解説での二次元や高次元世界を仮定した説明が興味深かった。高次元世界では立体の中身が見えるという解釈は印象深い。

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著者プロフィール

カリフォルニア工科大学フレッド・カブリ冠教授/ウォルター・バーク理論物理学研究所所長
東京大学カブリIPMU主任研究員
米国アスペン物理学センター所長

「2018年 『素粒子論のランドスケープ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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