重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る (幻冬舎新書)
- 幻冬舎 (2012年5月29日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344982611
感想・レビュー・書評
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期限のため、読まずに返却
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数式を用いず、良くぞここまで解説できると感心しました。
GPSが相対論の時計の遅れと進みを補正しているそうで、
相対論を身近に感じた。 -
量子力学や、相対性理論など過去から現在の最新理論までを著者なりにわかりやすく解説してます。が、厳密に説明しようとし過ぎて、やや内容が難しく感じる。
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12/6/23
著者ブログ
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素粒子物理学者が書いた重力の本
幻冬舎新書から『重力とは何か』の見本がとどきました。店頭にも並んでいるそうです。
見本を眺めて、「こういう本はこれまでなかったな」とあらためて思いました。いったいどこが違うのだろうかと考えてみたところ、これまで「重力」や「相対論」の一般向けの解説書は、もっぱら天文学の先生方が書いてこられたからではないかと思い当たりました
天文学の問題を考える上では、今のところは相対論を疑うべき理由はありません。そこで、天文学の先生が解説書を書かれると、相対論は完成した理論であり、それを一般の人にどのように説明するかというアングルになることが多いのではないかと思います。
これに対して、私は素粒子物理学の出身なので、重力は「自然界の4つの力」の一つであり、いずれは素粒子の統一理論に組み込まれなければいけないと考えます。そのためには、相対論といえども乗り越えなければいけない。そこで本書では、発展途上の重力研究の現状をお伝えすることを目的としました。
第2章と第3章で特殊相対論と一般相対論の解説を行いますが、後に相対論の限界を議論することを念頭におきました。その準備として、アインシュタインがどのような思考を経て理論を構築したのかを、できるだけ明確に書くようにしました。
そして第4章で、ブラックホールや宇宙の始まりを理解しようとすると、相対論の限界が見えてくる。
さらに、折り返し地点の第5章で量子力学が登場し、二十世紀の物理学の二本の柱である「相対論」と「量子力学」の融合という後半のテーマにつながります。
私の所属するカブリIPMUでも、国立天文台と共同で「重力レンズ」を使って、宇宙の暗黒物質や暗黒エネルギーの謎に迫る研究を行っています。そして、このプロジェクトには、素粒子物理学者が数多く参加しています。これに象徴されるように、素粒子物理学においても、重力の問題が重要になってきているのです。こうした最近の研究についても、本書で詳しくお話します。
というわけで、今になって気が付きましたが、本書の特徴は、
「素粒子物理学者が書いた重力の本」
ということだと思います。
野心的な企画でしたが、編集にご協力いただいた方々のご尽力で、私には満足のいく出来上がりになりました。ぜひご一読ください。
⇒ アマゾンにも在庫が入荷し、販売が始まりました。
⇒ 内容のさらに詳しいご紹介は、こちらのブログ記事をご覧ください。
⇒ アルファ・ブロガーの小飼弾さんが、書評を書いてくださいました。「入門書はかくあるべきだと私は思う」とのコメントがうれしいです。404 Blog Not Found:何人たりとも斥けぬ力 - 書評 - 重力とは何か
以下に、本書の「あとがき」を転載しました。「あとがき」と書いてあるところをクリックしていただくと開きます。
あとがき
私は研究成果を論文にするときに、読んでもらいたい研究者を思い浮かべます。どのように書き始めれば問題意識を共有してもらえるだろうか、どのように話を組み立てれば納得してもらえるだろうかなどと考えながら執筆をします。
本書を書くときに思い浮かべたのは、卒業以来会っていない高校の同窓生でした。私とは違う道に進み科学からは遠ざかっているものの、好奇心は相変わらず旺盛で、筋道だって説き起こしていけば理解してくれる。そんな友人に三十年ぶりに再会して、私が大学で勉強し、大学院で研究を始め、今日まで考えてきたことを語るつもりで書きました。
久しぶりに会ったので、一緒に勉強をした高校の理科から話を始めます。しかし、説明を簡単にするためにごまかしてはいけない。大切だと思うことはきちんとわかってもらえるように、すこしぐらい話が長くなっても丁寧に説明しました。皆さんも本書を読んでいくと、今まで聞いたことのない概念に出合って、時には立ち止まり、本を伏せて考えをめぐらせなければいけないところもあるかもしれません。そうして新しい考え方を理解したときに、世界の見方がこれまでと少し変わって見えるような気がしたら、私がこの本を書いた意図は達成されたことになります。
「科学には国境はないが、科学者には祖国がある」というのは、フランスの生化学者ルイ・パスツールの言葉です。私は日本で大学院まで教育を受けましたが、カリフォルニアの大学で教鞭をとるようになってから十八年になります。幸いなことに、二〇〇七年から、東京大学に設置されたカブリIPMUに主任研究員として参加できるようになり、毎年三カ月の間、千葉県にある柏キャンパスで超弦理論を中心とする物理学と数学の研究に取り組んでいます。日本に定期的に帰るようになって、一般の方々を対象にした市民講座での講演や科学解説記事の執筆を依頼される機会も増えました。私自身、小学生のときにさまざまな啓蒙書を読んで科学に興味を持ち科学者への道を進んだので、今回このような新書を書く機会をいただき感謝しています。
本書の企画は、重力の七不思議から説き起こし、相対性理論と量子力学の大切なところをきちんと押さえ、さらに超弦理論の最新の発展やホログラフィー原理までを解説するという野心的なものでした。重力はきわめて身近な力でありながら、自然界の基本法則の要であり、自然のもっとも深く揺るぎのない真実につながっています。ですから、あの話も伝えたい、この話題も盛り込みたいと、語りだすときりがありません。これを新書一冊の長さにまとめるために力を振るわれた岡田仁志さん、ありがとうございました。また、幻冬舎新書編集長の小木田順子さんは、企画の段階から辛抱強くお付き合いくださいました。科学解説書を書き下ろすのははじめてのことなので、手のかかる著者だったと思います。また、新書の執筆をお勧めくださったカブリIPMU機構長の村山斉さんにも感謝します。
科学を学ぶときに、その歴史を知ることは役に立ちます。科学は、自分たちの住むこの世界のことを知るために、人類が数千年かけて試行錯誤をしながら積み重ねてきたアイデアの宝庫です。先人たちの努力の跡を知ることで、科学に対する矮小化された見方から解き放たれ、現在の研究をこの大きな流れの中に位置づけることができるようになります。
また、科学の知識は、そのままでは無味乾燥したものだと思われがちですが、その発見の背景には様々なドラマがあり、それを知ることは理解の助けにもなります。そこで本書でも、科学者達の逸話を織り交ぜながら話を進めました。なかでもアインシュタインは前半の主人公なので、いくつかの逸話については、カリフォルニア工科大学の同僚でアインシュタイン・ペーパー・プロジェクトのディレクターであるダイアン・コルモス=ブッフバルトさんに確認していただきました。
最後になりましたが、私を学問の世界に導いてくださった先生方、一緒に勉強してきた友人たち、またいつも心の支えとなってくれている両親や家族に感謝の気持ちを表したいと思います。
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アインシュタインの相対性理論などわかりやすく説明。
宇宙の原理、重力の考え方をわかりやすく解説。。
と書きたいとこだが、正直よくわからない。
オーディオブックで理解できる内容ではありませんでした。 -
超弦理論はやっぱりまだ私には難しかったけど、ニュートンの重力理論からアインシュタイン、ホーキングへの流れは少し分かってきた気がします。たぶん読みやすい本だと思う。もっとベースの知識が私にたくさんあれば、、、
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サイエンス
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とても知的好奇心をくすぐられ久しぶりに学生時代の感覚になった。
難解であることは変わりないが、何度も読んでみたい。
またあとがきに書かれている通り、今後の宇宙論や科学分野の動向に注視していく。
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重力に関して古典的なところから始まりアインシュタインの一般相対性理論へ展開し,重力波検出の最近の研究について紹介している.後半はブラックホールや宇宙論について論じている.納得できるといえば納得できるが,そうでないかもと思うと全然わからんような気もする.