脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体 (幻冬舎新書)

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  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344983359

感想・レビュー・書評

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  •  報酬を得ることによる快楽、だから頑張れるという利点、脳の中で起こる痛み止めも生きていく上で、すごい仕組みと思った。その一方で薬物、アルコール等の快楽が脳に記憶され、依存となっていく原因に遺伝子があるとなると、治療の困難さが見えてくる。
     禁煙・禁酒の大変なこと・・・
     前者の報酬による快楽が、その他もろもろの依存症に打ち勝つことができるのか??
     このあたりの事をもっと知りたかった。

  • 生理学的な現象の簡易な説明から、後半は社会的な報酬というマクロ的な現象に展開。単純な作業には金銭的な報酬は強力に作用するけど、人は創造的な活動には場合には無報酬、あるいは自己投資を伴っても満足感のために参加する。つまり金銭的な報酬が必ずしも動機とはならないことを示唆しています。新書150ページ強に収められるという限界はありますが、深みはないなあ。

  • なんだか読むところの少ない本だな

  • 久しぶりに「新書」らしい「新書」を読んだ気がします。学生の頃、「新書」は岩波新書であり、それは難解な内容で、専門家が難しいことを書いているものでした。「物理学とはなにか」みたいな本もあったと思います。
    この本は、脳内麻薬といわれるドーパミンを中心に説明され、薬物の体系的説明や、人間の様々な依存症を説明しています。

  • 2014.05 読了。大体3時間ぐらい。

    チャゲアスのASUKAが捕まったことが記憶に新しいこの頃。人間に快楽を与える脳内麻薬についての本です。
    なかなか面白かったのは、たばこや麻薬の各中毒についての説明と、最終章の心理学の実験について。
    各中毒の説明を見てみると、どの中毒も少しずつ効果や作用の仕方が異なっており、全部同じ仕組みで快楽や中毒を引き起こしているわけではないのかと驚きました。
    また、最後の心理学の実験では、人間が金銭と言ったものより、人からの評価といった目には見えないが脳内麻薬の出る成果を求めることもあるという結果には、人間という種族がどうしてここまで発展してきたかを裏付けるような気がして、人間の深みを見たような気がしました。そして、実験結果からは「人間の快楽の面から見れば、愛は金で買えるし、金は愛で代替できる」という結論は面白かった。

    人間が発展するために生み出された、脳内麻薬。しかし、現代では脳内麻薬を与えるために存在する嗜好品やたばこといったものから、逆に衰退しているように感じられる。自分は何を心から求めているのか、この本を読んで見つめ直そうと思った。

  • 人の行動を、心理学ではなく脳科学の見地から分析。

  • 自らが奮起するときと、簡単にそうならないときの仕組みを知るするヒントとなった。

  • タイトルみてて気になってた本。
    中野 信子の『脳内麻薬』。

    サブタイトルには【 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体】とつけられているけども、ドーパミンンのみならず、他の快楽物質や依存に関する心理的傾向についても解説してある。

    後天的な影響が強いと考えられてきた嗜好も、実は遺伝しレベルで左右されている可能性も示唆されていて、興味深く読むことができた。

    快楽の仕組みを知り、それをコントロールする術を身につけることが・・・僕にはまぁできないと思うけども、知ることは大切だなと思った。

    依存症について、
    ・物質への依存(ニコチン、アルコール、薬物、食べ物など)
    ・プロセスへの依存(ギャンブル、インターネット、セックス、買い物、仕事など)
    ・人間関係への依存(恋愛、カルト宗教、DV、虐待など)
    など3つの依存対象があり、それぞれについて化学物質がどうかかわるか、どう解釈するかについて、発表されている研究を引用しながらわかりやすく解説されている。

    でもコレ、自身でコントロールできるかといったら、難しいだろうな・・・。
    そもそも、自身が依存しているという認識を持つことも難しいかもしれない。

    なんだか、読んでて不安になる箇所もあったけども、自己や人間の性質を知る上でも勉強になった。

    ----------------
    【内容(「BOOK」データベースより)】
    セックス、ギャンブル、アルコール、オンラインゲーム―人間はなぜ、これらをやめることができないのか。それは中脳から放出される“脳内麻薬”ドーパミンが「快感」を司る脳の各部位を巧みに刺激しているからである。コカインや覚醒剤はこの脳内回路「報酬系」を誤動作させて過剰な快楽を与え、依存症を招くものだ。だがこのドーパミンは他人に褒められたり、難易度の高い目標を達成するなど、「真っ当な喜び」を感じる時にも大量に放出されている。なぜ人間の脳はこんなしくみになっているのか。話題の美人脳科学者が人体の深遠なる謎に迫る。
    ———————
    【著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)】
    中野/信子
    東京大学工学部卒業後、2004年、東京大学大学院医学系研究科医科学専攻修士課程修了。08年、東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。同年から10年まで、フランス原子力庁サクレー研究所で研究員として勤務。フジテレビ「平成教育委員会2013!!ニッポンの頭脳決定戦SP」で優勝、「日本一優秀な頭脳の持ち主」の称号を得る————————
    【目次】
    はじめに
    第1章 快感の脳内回路
    ・快感の源、ドーパミン
    ・ドーパミンは何をしているのか
     ほか
    第2章 脳内麻薬と薬物依存
    ・患者数のもっとも多い病気、依存症
    ・依存症の正体
     ほか
    第3章 そのほかの依存症―過食、セックス、恋愛、ゲーム、ギャンブル
    ・ストレスと摂食障害
    ・脳に分泌される物質、レプチン
     ほか
    第4章 社会的報酬
    ・社会的報酬とは何か
    ・承認・評価
     ほか
    主要参考文献
    ————————

  • 文化面での私の関心は「人間って面白いなあ」という1点に集約されます。人間は物理的世界に生きるのと並行して、心的な経験世界を生きています。嬉しい、愛おしい、悲しい、寂しい、腹立たしい、ねたましい……。人が世界や出来事から意味を読み取り、心の中で感情を育み、判断を重ね、世界に向けて行動を起こし出来事に介入する。それがまた新たな出来事として他の人の経験世界を紡ぐ糸の一本となる。そんな「人の営み」の有り様がとても興味深いのは、私自身が人間として経験世界を生きていることを日々自覚しているからなのでしょう。

    経験世界は心的なものです。しかし、心的な現象には、生理的な基盤が存在します。とりわけホルモンバランスが人の心を導きその行動に大きく影響することはよく知られています。本書は、神経伝達物質ドーパミンをキーとする快楽体験に焦点を当てて、その生理基盤とそこから生まれる人間の経験を解説しています。

    第1章「快感の脳内回路」では、脳の生理学的な仕組みを概観しています。とりわけ「報酬系」と呼ばれる神経機構においてドーパミンの分泌-受容-脳の興奮-快楽体験というルーティンが発生することが、本書全体の基礎となります。こうした生理機構の上に私たちの人生は在り、日常の様々な経験を彩っているのです。

    この機構が過剰に働き、日常生活に何らかの支障を来す時、それは「依存症」と呼ばれ疾病とみなされます。筆者は依存症を物質依存・プロセス依存・人間関係依存の3種類に分類し、まず第2章「脳内麻薬と薬物依存」では物質依存について解説します。酒や煙草などの合法的嗜好品が人をひきつけること、向精神薬などの医薬品が精神障害の「治療」に役立つ機序、覚醒剤・ヘロイン・合成ドラッグなどの違法薬物が心身に深刻なダメージを与えると分かっていてなお中毒患者を強烈に惹き付ける仕組み。そのいずれもが興奮系または抑制系ホルモンの分泌と受容に関わっていることが示されます。第3章「そのほかの依存症 過食、セックス、恋愛、ゲーム、ギャンブル」では、様々な文化事象を取り上げ、そのプロセス依存・人間関係依存の態様とそれを支える脳生理現象を説明しています。セックスと恋愛は密接に関連しドーパミンの分泌という点で共通するけれど脳の働き総体としては区別されること、ドーパミン分泌による恋愛の高揚感は9ヶ月から2年程度しか継続しないけれどその後「穏やかな愛情関係」が持続することなどは、経験的にピンと来るものがあります。本書では明示されていませんが先日NHKで放映された「人体 ミクロの大冒険」では、親子・家族関係の生理基盤となる愛着ホルモン(オキシトシン)を取り上げており、その分泌が生涯続くとしていたのが印象に残っています。

    さて、2章3章では依存症という疾病がモチーフの中心でした。それはおそらく、日常を逸脱する特殊な事象を取り上げることで、ある種のインパクトをもって読者に訴求しようとする本書の戦略なのでしょう。そのことは本書の題名の扇情性にも顕れています。が、そうした扇情性は表向きの演出であり、初心者に向けて脳生理学の知見を分かりやすく紹介することを目的とする芯のしっかりとした内容であることが、ここまででも分かります。その点が更に明確となる本書の白眉は最終章「社会的報酬」で、依存症のような特殊な事象を離れ、日常的経験・心理学実験・統計調査など豊富な事例を取り上げながら人間にとっての「幸福」の在処を示唆する内容となっています。

    私は文系人間で、脳生理学など理系学問には基本的に腰が退けます。けれども本書は実に平易な内容で、しかも上述のような私の関心つまり人間の経験の問題に焦点を当てていることもあり、実に面白く読むことが出来ました。古来文系の思弁(哲学・宗教)によって扱われてきた人の幸福や不幸といったテーマが、今や脳生理学・実験心理学・行動科学といった理系の(または文理クロスオーバーな)アプローチによって問い直される状況にある。その事実をあらためて認識させてくれた一冊でした。

  • 快感の脳内回路。ドーパミンとオピオイド。報酬、依存。
    専門用語がわりと少ない。ただつながりがわかりにくくて体系的にいまいち理解できなかった。再読必要かな。
    依存症の部分に興味をもった。

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著者プロフィール

脳科学者、医学博士、認知科学者。1975年、東京都に生まれる。東京大学工学部卒業後、同大学院医学系研究科修了、脳神経医学博士号取得。フランス国立研究所ニューロスピンに博士研究員として勤務後、帰国。現在は、東日本国際大学教授として教鞭を執るほか、脳科学や心理学の知見を活かし、マスメディアにおいても社会現象や事件に対する解説やコメント活動を行っている。著書に『サイコパス』『不倫』(ともに文藝春秋)、『人は、なぜ他人を許せないのか?』(アスコム)、『脳の闇』(新潮社)などがある。

「2023年 『賢くしなやかに生きる脳の使い方100』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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