- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344983922
感想・レビュー・書評
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個人的には大変面白かった。著者の考えが率直に現れていて、世の中を見た時のストレートな意見がよくわかる本であった。
しかし、何か体系的な情報を得る為の本では無い。「本をたくさん、きちんと読むべきだ」という、本書を手に取るであろう方には当たり前の事を主張しているのみである。
本書を書く段のことを想像すると、それはそれなりに大変であると想像される。本物の教養という深いテーマに取り組んだとき、本書のように語ることをたくさん溜め込めるよう、私自身も教養を積み上げていきたいと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ライフネット生命の出口さんが教養について論じた新書。
こういう本って単なる「俺の起業ストーリー」になりがちな印象だけど、しっかりと中身のある新書に仕上がっている。
「教養とはワクワクするもの」から始まっているので、読みながらポジティブな気持ちになれる。
そんなちょっとした自己啓発的な側面もある本。
ただし、出口さんは人間の役割を「次の世代のために生きている」と断定する。
この点に引っかかってしまう人はいるかも知れない。
いや、自分のために生きたっていいじゃない。と自分は思ってしまった。
そこに目を瞑れば、全体としては良書。特に若い人や、人生のマンネリ化を感じている人に読んでほしい本だった。
あと、巻末にライティング担当?とかいう人の文章が添えられていた。
たった2ページの中学生の感想のような文章に、読後感を阻害された。蛇足以外の何物でもなかった。さすが幻冬舎。
以下、引用メモ。
一章 教養とは何か
教養とはワクワクするためのもの、そして自分の頭で考えるためのもの
自分の頭で考えるバロメータは腑に落ちるという感覚
意見が決められないのは「考え不足」が原因
二章 日本のリーダー層は勉強が足りない
謙虚でなければ教養は身につかない
リベラルアーツとは、算術、幾何、天文学、音楽、文法学、修辞学、論理学の7つ
三章 出口流・知的生産の方法
教養を深めるうえでは、学ぶ時間を生活習慣のなかにうまく取り込むことも大切
身近な人を目標にすると努力が続く
四章 本を読む
本を読むのにかかる時間は、その人の知識量で決まってくる
たとえ面白くなくても読まなければいけない本がある
六章 旅に出る
本と旅は補完関係にある
人生の楽しみは、喜怒哀楽の総量
七章 教養としての時事問題(国内編)
民主主義はベストではなく、ベターな方法
公的年金は破綻するという嘘に騙されてはいけない
八章 教養としての時事問題(世界の中の日本編)
あくまでも「歴史は一つ」である -
「書店はこの世の中で大好きな場所の一つ」という言葉に全面的に同意。
考え方から具体的なノウハウまで色々詰まってて、なかなか面白い。
いま教養が求められているというのは、「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか」に通ずるものがある。 -
教養とは身につけたいと思う時には既に遅し。若い時から研鑽を積んでおけばよかったと思わされる。
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教養とは何か、知識を教養にする方法、世界に比べて日本人の教養が圧倒的に足りないこととその弊害、そんな日本人・日本への提言が書かれています。
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【目次】
はじめに
第1章 教養とは何か?
第2章 日本のリーダー層は勉強が足りない
第3章 出口流・知的生産の方法
第4章 本を読む
第5章 人に会う
第6章 旅に出る
第7章 教養としての時事問題ー国内編ー
第8章 教養としての時事問題ー世界のなかの日本編ー
第9章 英語はあなたの人生を変える
第10章 自分の頭で考える生き方
おわりに
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「教養ってなんだ?」が購入のきっかけでした。
さらに遡ると以前読んだ『ニッポン2021-2050』で落合さんが次の時代を考える上で下記の三つが大切だとおっしゃっていたことが発端です。
1. 歴史や統計データを知る
2. 論理的な日本語力を身につける
3. 時代に適合した文理問わない教養を身につける
さっそく自分の読書生活に取り入れようと、良さそうな本を探すことにしました。
そこで冒頭の疑問です。
「教養ってなんだ?」
その疑問に本書はきちんと答えてくれています。
そして、筆者の分かりやすい語りとユーモアセンスにすっかり魅了されました。
中高生の時代の先生が出口さんだったら、学びや思考に対する向き合い方は随分違っただろうと心から思います。
ちなみに筆者が語る教育の目的「自分で考え、自分の言葉で、自分の意見を言う人間に育て上げること」は我が家の教育方針に決定しています。
この本ですっかり出口さんファン、出口塾の門下生です。
内容で印象的だったのが、“アメリカに追いつけ追い越せ”のキャッチアップモデルと人口増加によって高度経済成長が生まれたという話。
第二次大戦で圧倒的な技術力の差を見せつけられた日本が戦後におこなった施策は、徹底的にアメリカを真似ることでした。電力・鉄鋼に始まり自動車・電子機器と、まさにルートの見えている登山をして戦後復興を成し遂げたのです。
高度経済成長について「昔の日本人はすごかった」だけの感想では済まない、薬の副作用のような負の要素を感じずにはいられませんでした。
“失われた20年”というのはまさにその副作用だったと言えます。
これからの日本は、頂上やそこに至るルートの見えない登山を強いられています。国際情勢を加味してどのような山に登るのかを決めるには温故知新、歴史を学ぶことでしか未来を見通すことはできません。
だからこれからの日本人は学び続けなければいけないのです。
しなければ、と固くなりましたが、教養とは「人生を面白くするためのツール」「自分の人生をより彩りゆたかにするためのもの」とおっしゃいます。教養という言葉は、「教養人」などと使われるようにどうしても他人の視線を感じずにはいられない言葉でした。
しかし、本書を通じて教養とはもっと自分本位なもので良いんだな、と思えたのも大きな収穫です。面白さマキシマム!
最後に。教養の源は「本・人・旅」とのこと。
第4章で1万冊を読んできたブックジャンキーである筆者の読書術が、第6章では40年間で70カ国1200都市を旅した筆者の旅行術が紹介されています。
この章だけでも十分楽しめる内容です。
そしてさらに興味を持たれたら、57ページからの「日本にはまだかなり伸ひしろがある」の項と「おわりに」の4ページをぜひ読んでいただきたいと思います。
これからの日本への提言がなされているので、日本もまだまだやれることはたくさんあると元気をもらえます。 -
教養とは自分の頭で考えることであり、人生を豊かにするものと学びました。
自分の頭で考えることは、問題解決力としても必要な力なので身につけていきたいと思いました。教養を身につける源として「本・人・旅」が紹介されており、自分自身も似た経験をしたため、すんなり読むことができました。私も旅をしていて、何かが豊かになったと感じたことがありました。それが、本書で言うところの、教養が身についてきて心の幅が広くなり、人生が豊かに感じられたのかと思いました。
著者の行動の判断基準が「ワクワクすること」とありますが、感情的な部分だけでなく、合理的な考え方をする人だと感じました。社会や経済に関しても、自分の意見を持っていて、広い知識と考える力があるというのは、説得力がありビジネスでも武器になると感じました。
本を読む、人と会う、旅をすることを通じて、自分で考える力をつけていきたいと思います。 -
"世界標準の教養人と比較すると、日本人はまだまだ学ぶべきことがたくさんある。
広く深く、興味を持ったものをとことん突き詰めて、初めてあった人との会話で自然に出てくるようになるのが、理想。
仕事以外のフィールドでとことん人生を楽しむ度量がほしい。
本もいっぱい読んで、いろんな人とも会って、刺激を与えて、受け止めて人生を謳歌できる人こそ真の教養人と呼べるのだ。" -
以前、NHKの番組で対談番組を観てから気になっていた出口さんの本を図書館で見かけたので借りてみた。
面白い。「自分の頭で考える」ということの重要性をわかりやすく教えてくれる本だと思う。
面白かったのはやはり読書家としての本に対するお話。
あと、海外勤務経験者としての英語のお話。
英語に関しては苦手意識が強くてなかなか勉強に踏み込めないんだけど、是非「今が一番若い」をだから、さっそくBS放送みてみようかな、と思う。海外ドラマもいいなー。 -
出口さんの本はこれで7冊目です。
毎回刺激をいただいています。
面白いことをするという考えで選択する。
そして合理主義者で実質主義者。
出口さんのようなかたが上司だったらいいですね。
それは無理なので、せめて自分は出口さんの生き方を参考にしていきたい。 -
教養に対する基本的な考え方が著者と一致していたこともあり、読みやすかった。新たな発見があったというよりは、自分の考え方や価値観を再認識した感じです。
「第1章 教養とは何か?」「第2章 日本のリーダー層は勉強が足りない」は、全編にわたってそうだそうだ、と頷く部分が多かった。
教養は、視野を広げ、自分の考えを深めるためのツールである。それが人生を面白くすることにつながる。
教養というと、日本の社会ではただ知識が多いだけの人がもてはやされたり、ビジネスに直結する経済や仕事のハウツーのような知識ばかりが重宝されがちだが、本物のリベラル・アーツとはそういった偏狭なものではないのだと声を大にして言いたい。
ただ、その大切さを言葉で説明するのは難しい。自分はそういったものがとても好きだけれど、それを人に説明することはなかなかできない。
そういう意味で、単に自分の人生(心)を豊かにするという側面からだけでなく、ビジネスにおける人との出会いと関わりという具体的な側面からも述べられていたのが、とてもよかった。実利主義のビジネスマンにも理解しやすいと思うからだ。
いろいろな人と公私で接する中で、単に気が合うとかではなく、本当に「面白い」と感じる(funnyではなくinterestingの意味で)人は、片手で数えるくらいしかいない。
頭の引き出しが多く、誰とでも話をすることができて、自分の世界を広げてくれる。そういう人にはなかなか出会えないものだ。
振り返ってみれば、歴史に名を残している人物は、大抵専門分野をいくつも持っている。たとえば、万有引力を発見したニュートンも、天文学(物理学)だけでなく、自然哲学、数学、物理学にも長けていたという。
今はどうか。学問が細分化・高度化する中で、学問の根幹というか、大局的な視点で学ぶ人がいなくなりつつあるのではないか。
現在生きている著名人だと、村上陽一郎氏や北野武氏、もっと身近なところでいうと林修氏(知識量ではなくスタンスとして)などが、私のイメージする真の教養人に近い。
また、本書を読む中で、日本の教育システムや学生の採用システム、社会保障制度やさまざまな社会問題について、少なからず矛盾や違和感を覚えていた部分を的確に指摘されており、具体的な海外の判例や提案も示されていて、勉強になった。
ただ、通読して思ったことは、この本は基本的にはリーダー層に向けて書かれたものなのだろうということ。
世の中にはいろいろな人がいる。
英語がほとんどできなくてもノーベル賞をとった科学者もいる。
大学に行かなくても、一つの道を極めて、そこから生きる道を学んでいく、伝統芸能の職人やスポーツ選手のような人もいる。
中卒でも、ハングリー精神とコミュニケーション能力で一大事業を起こし、社長に上り詰める人もいる。
あるいは、近代文明とは無縁の、自分たちの見えている世界の中だけで暮らしている、未開の地の民族がいる。
ただし、世界を動かしていく人というのは、やはり限られた層なのだ。
知識や教養の量は、結局は機会と余裕(時間的、精神的、あるいは経済的)の有無に左右されるのだ。
日本は、世界的に見れば、物質的には恵まれており、教育の機会も均等に(長短はあるが)与えられている。
だからこそ、時代の変化とともに行き詰った今が、日本人にとって転換点なのかもしれない。
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