下山事件完全版: 最後の証言 (祥伝社文庫 し 8-3)

著者 :
  • 祥伝社
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本棚登録 : 697
感想 : 79
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  • Amazon.co.jp ・本 (602ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396333669

感想・レビュー・書評

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  • 以前読んだ「下山事件(シモヤマケース)」 森達也 著の兄弟本と言って良いかな。
    (両方の本を読めば作者同士はこうは言われたく無いことは明白ですが)

    今回の本の著者は森達也氏の本のなかで"彼"として登場している人物。
    彼の祖父をはじめとする近い親類が戦後まもなくあった会社の"亜細亜産業"に関わっており、そこで下山事件に繋がって行く。

    読み始めは「シモヤマケース」の焼き直しかとも思いましたが、途中からは独自の文章となり楽しめました。

    まあ、このような本の特徴として自説に都合の悪い事実にはほとんど触れないし、多少強引な論理も見受けられる。
    また、自分の親族に関しての記述が多いせいか、文章に多少は鼻につくところが散見される。

    戦後すぐの歴史を眺めながら、著者の推理を楽しみました。

  • 柴田哲孝作品が単純に好きで読み進めていった中でまさに”ぶち当たった”一冊。いやぁ厚い篤い…。「事件」の真相を探れば探るほど、もつれていく糸。それぞれの糸の先にあるのは、巨大な利権。つくづく感じたのは、結局は人の思い(企み)が歴史を動かしているという事。 そのひとりひとりが実にデッカイ。 よくも悪くもこうやって歴史は作られ、未来にわたりその影響を及ぼし続けるんだなぁ。 それが実感できて「歴史」に対する認識が広がっただけでもこの本を読んだ意味はあったように思う。全ては必然だって事かなぁ…。

  • ドキュメンタリーは読み慣れてないし、
    事件の詳細をあまり知らなかったので、
    最初ちょっと読みづらい感じ。
    でも、矢板玄のインタビューの辺りなどは
    読み物としてとても面白い。
    しかし、私の理解力が低いせいか、
    結局黒幕が誰と言ってるのかよく分からん。

  • GHQ占領下にあった時代に起きた下山事件については様々な方面から書かれた本が出ていますが、多分これが決定版といっていいと思います。戦争が終わっても占領が終わって独立しても事件は終わらない。数少ない生き証人をたどりながらひもとかれていく事件の真相には、平々凡々たる日常を生きている私には恐ろしくさえあります。これを書き上げた著者の情熱に頭が下ります。

    読了 2007/8/4

  • 面白い

  • 戦後最大の謎・下山事件の真相に迫った圧倒的なノンフィクション。
    タイトルに「最後の証言」とあるが、情報の多さや論理の深度の点において、まさに棹尾を飾るにふさわしい読みごたえ。

    GHQ・右翼・CIA・三菱など、様々な利権と膨大な数の関係者から成る複雑な背後関係について丁寧に記述され、初めてこの事件に触れる私のような読者にも理解しやすい。

    ただ、明らかになった事実と推測が山ほど盛りこまれ、少し散漫な印象を受けた。

    膨大な情報を著者が消化しきれていないのか、それとも意図的に情報を取捨選択して提示しているのか、論理が錯綜している部分もある。
    そのため、著者が知り得た真相が真実かどうかは読者には判断できない。

    ノンフィクションと言うよりは、迫真のミステリとしてのめりこむようにして楽しんだ。

  • 「謀殺下山事件」も「下山事件(シモヤマ・ケース)」も読んだけど、この本が一番刺激的。事件からどんどん時間が経って、それまで口をつぐんでいた人の証言もポツリポツリと得られるようになったという点で、先の2作よりも核心に近づけたということもあるだろうけれど。

  • サブナードの福家書店で購入。

  • 「キヲスク」にて購入。かなり際どいアプローチ。もう1冊欲しくて注文したものの、アマゾンでは入荷がかなり先になるとのことでした。

  • 戦後まもなく、国鉄総裁・下山定則が失踪、翌朝轢死体で発見されるという事件があった。法医学鑑定上の争いが続き、自殺・他殺といまも真相は明らかになっていない。その事件に敬愛する亡き祖父が関わっていたのでは……法事の最中にその話を聞き、下山事件を追い始めたのがルポライターの著者である。鍵となると思われる会社に複数の身内が勤めていたことから、その記憶を引き出すことができるという利点をもとに、多くの人々から聞き取りを重ねた労作、なのですが、関係者として登場する膨大な量の人名に読んでいて溺れそうに。しかも著者があとから得た知識で人名を整理したあとに面談した相手との会話について「当時はそのことは知らなかった」など、著者が知識を得る流れと時系列が一致していないため、若干混乱をきたしたところも(偽情報が氾濫するなかで「これは信用できる」という著者の判断も、納得しきれないところもあったり)。結局推定される一番あやしい人物も客観的傍証がないという理由で仮名に終わり、読み終えてみれば隔靴掻痒な印象がないでもない。ただ、歴史のひとつの事件としての印象しかなかった下山事件が、被害者の写真を見てしまったことで、(推論が本当だとすれば)なぜ彼がこんな酷い死を迎えねばならなかったのか、その恐怖はいかばかりかと思うと、辛かった。私は下山事件について他の本は読んでいないのでこの本がどれほどの価値があるのか評価できないけれど、とりあえず読み始めてからは浮気せずに読みきるくらいには面白く読みました。が、上記の理由で★1つ減。

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著者プロフィール

1957年、東京都出身。日本大学芸術学部写真学科中退。フリーのカメラマンから作家に転身し、現在はフィクションとノンフィクションの両分野で広く活躍する。パリ〜ダカールラリーにプライベートで2回出場し、1990年にはドライバーとして完走。1991年『KAPPA』で小説家デビュー。2006年、『下山事件 最後の証言』で第59回「日本推理作家協会賞・評論その他の部門」と第24回日本冒険小説協会大賞(実録賞)をダブル受賞。2007年、『TENGU』で第9回大藪春彦賞を受賞し、ベストセラー作家となった。他の著書に『DANCER』『GEQ』『デッドエンド』『WOLF』『下山事件 暗殺者たちの夏』『クズリ』『野守虫』『五十六 ISOROKU異聞・真珠湾攻撃』『ミッドナイト』『幕末紀』など、多数ある。

「2021年 『ジミー・ハワードのジッポー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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