子育てはもう卒業します (祥伝社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396342241

感想・レビュー・書評

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  • 1950年代後半に生まれた女性3人とその子供たちの生き様。
    時代はいったりきたりするけどわかりやすく読みやすい。
    主人公3人の子供たちは私より少し年上世代なので「わかるわかる!」という内容ではないのだけど、時代が少し変わると色々なことが変わるのも面白いし、時代が変わっても変わらない事柄もあって興味深い。

    女性の選択肢が少なかったこの時代に生きたからこその生きづらさがあり、その道に進むしかなかったからこその焦燥感のようなものを3人からは感じる。
    何か満たされない心を持っている。
    でも結局、結果論でいえばだけど、3人とも経済的に恵まれているのは羨ましいとも思う。
    当たり前に専業主婦になれた(なるしかなかったのだけども)し、一馬力で子供を育てられた時代。
    共働きが当たり前になり、一馬力で余裕のある生活ができる人は少数になっている今、お気楽だなぁとも思ってしまう。
    でも彼女たちは大学を出て働きたかったのに、就職口もなかった、共働きするような制度も整っていなかった。
    どちらが幸せとかはなくて…自分の中の幸せを見つけるしかないんだろうな。

    子供はいつの間にか大きくなって、精神的にも身体的にも離れて行く。
    レールを敷いてその通りに行く子もいるかもしれないけど、思いもよらない方向に行く子も。
    翔太郎が小学生の頃変わった子となっていたのは、今ではADHDと診断されそうだと思った。趣味がコロコロ変わり、興味を持ったら一直線。だからこそ、勉強にそれが向いたら医者になれる。
    ただ、親が望むような道にはいかない。
    龍男の壊滅的な要領の悪さみたいなもの(本人は頭が悪いと言ってたけど…)も発達障害の一種なのかもしれない。境界知能とか。
    天真爛漫な翔太郎よりも龍男はかなり困りごとを抱え生きづらさを感じながら生きてきていて、就職してからは特に読んでいて苦しくなった。
    けど2人とも特性が悪いとかではなく、親の敷いたレールではなくても好きなこと、やりたいことを見つけて進んでいけていて素敵なことだと思った。
    高学歴なのに佐官になんかなって…と言っていたけどそれもそもそも裏口入学だし、その時にもっと龍男にあった進路を選択できていればよかったのかもしれない。結果論だけど。

    エピソードの中でルーシーの話だけは要らなかったのでは?と思っている…。不倫相手ならまだしもお店の女の子があんな風に電話してくるのが不可解すぎて。そして夫の開き直った態度…癌で死ぬかもしれないから妻を裏切ってもいいの?
    結局違う趣味に没頭するようになったようだけど、葬りが良くなった途端不倫する感じがなんだかなぁ。気持ち悪い。それでも離婚したら今の金銭感覚ではいられないし、再構築(というか諦め?)を選ぶのはリアル。

    杏里はフランスのハーフで赤ちゃんモデルから売れっ子女優に成長…見た目は沢尻エリカのような感じなのかなと想像しながら見てた。紫に似て優等生だし道を外れたりしなさそうなので全くモデルではなさそうなんだけど、あくまで見た目だけ。
    夫の職業の詐称は顔出ししてしまってたらネットで少し調べればバレそうで、事務所側が迂闊だなと思った。
    兄嫁はずっと杏里の活躍が疎ましかったのかなぁ。義妹がモデルになってどう思ってるんだろう?はしたない、とか思ってるんだろうか。
    結局紫は家族とは疎遠なままだったけど、どんな家族でも仲良くいなきゃいけないと言うわけではないし、あそこまでされたらもう仕方なかったと思う。

    人生の後半になっても3人の友情が続いていて、戦友のような感じで素敵だなと思った。
    いろいろあって途中「会いづらいな」という時期があっても、ライフステージが変わるとまた会いたくなる時が来るのかも。
    自分も子育ては卒業ねなんて言う日が来るんだろう。その時に今が幸せだと思えればいいな。

  • 子供のためにと色々やってあげるのがいいのかどうかは分からないけれど。

    子供からしたらうるさいなぁってなるんじゃないかなぁ。自分は子供が今年大学受験ではあるが特に何も言ってはこなかったなぁ。

    自分が受験のときも特に何も言われなかったしなぁ。

  • 03月-16。3.0点。
    大学同級生の女子大生三人、それぞれの結婚・出産後の奮闘を描く。
    なかなか思い通りにならない育児、子供は親の思惑通りにはならないなぁ。
    読みやすい。ラストは結構あっさりしている。

  • それぞれ大学同級生の話

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • ★購入済み★

  • 「あなたの人生片付けます。」
    「リセット」
    「老後の資金がありません」
    の順で読んでみた。

    垣谷さんの本を少しづつ追ってみる。読後がどれもとてもいい。どんな人生やどんな状況でも自分の心持や誰かとの出会いで、自分の人生が変えられるって教えてくれる。大人になり20代・30代・40代と、だんだん腰が重くなるしなかなか新しいことにも挑戦することが難しくなる。でも、少し視点を変えれば、現実が少し変わるって感じと、自分の人生をいきる!!って主人公たちが奮闘するが好感が持てた。

  • 後悔は生きてきた年数に比例して多くなるのではないか。
    という文章が印象的だった。

    子育ちの真っ只中の時は冷静に判断することができずに、後になって色々後悔することはたくさんある。でも、だからと言って今またその時に戻ったら同じことを繰り返すのだろうなという気がする。
    どういう形にしろ子どもを育て上げたということだけで自分で自分を褒めてあげてもいいのかなという気になった。完璧な人もいないし、完璧な子育てもない。それより子育ては子どもの力を信じることが何より大切なのだし、親ができることは他に何もないのかもしれない。

    さあ、私も残りの人生どう過ごそうか。

  • 垣谷美雨らしい、女性の社会的立場の変化を時代の変遷と共に描いた作品。
    『老後の資金がありません』とか『うちの子が結婚しないので』などの作品と概ね同じで、親世代が子供にかなり干渉している描写が目立つ。今どきの親子はもう少し子離れしているのではないかな?現代の親世代はもっと自分の子供を信じてあげて欲しい。

  • *子を憧れの学校に入れるため必死なお受験ママの淳子、「堅実な職業に就いて」と娘の就活に口を出す明美、勘当同然で押し切った結婚を後悔する紫。十代で出会った三人は故郷を離れてから数十年、様々な悩みを語り合ってきた。就職、結婚、出産、嫁姑問題、実家との確執、子供の進路……。時に、ふと思う。"私の人生、このまま終わるの?"誰かのために生きてきた女性たちの新たな出発を描く成長物語*

    この方の本は、いかにも今そこで起こっていそうなリアルさが秀逸ですね。
    子供は思ったようには育たないと言いますが・・・母親あるあるが満載過ぎて、苦笑しながら読みました。

    ただ、特に印象的だったのは、ソリの合わない義実家との関係性。
    普段はお互い腹に一物持ちつつも、大事な子や孫のためならそれはひとまず置いて、妥協したりひと肌脱いだり寄り添ったりと、この世代の人たちならではのシーンがとても良かった。
    今だったら「うぜー」の一言で終わられそう・・・

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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