子育てはもう卒業します (祥伝社文庫)

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  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396342241

感想・レビュー・書評

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  • 毎回この著者の本は、頷きすぎて首ガクガクになる。笑笑
    もうまさに。
    3人の大学時代の仲間が結婚して、子ども産んで、それぞれがそれぞれの生活の色々ね。

    不登校あり、学歴、就職、収入、高層マンション、子どもの発育、美容、ブス、旦那の甲斐性、浮気、お金、ブランド、見栄、羨望、ママ友、地域、義母、義父、コネ入社、海外、老い、激太り、病気、などなど。笑笑

    いやーわかるわ!そう!そうなのよ!
    って主婦ズはみーんな身に覚えがあるんじゃないかな?
    この10代からの歴史が、自分の子どもの年齢と重なったときに過去に戻ったり、現在だったり、子ども目線からだったりで、もう面白い。

    あー子ども目線の見え方もわかるし、他人の子どもとしては冷静に見れるし、自分のことじゃなあなら客観視できるのよね。

    でも、実際、じゃわたしってなると、同じよーなことしてる矛盾に気がついたりします。笑笑

  • 自分も子供も人とくらべないこと。

  • 前回読んだ「老後の資金がありません」が大変面白かったので、続けて垣谷美雨を読んでいる。

    今回も家族小説で、自分より少し年上の女性方がお話を進めていく。就職に関する下りはほとんど同じ年代を過ごしたといってもいいだろう。それだけに、主人公たちがしっかりしているので忸怩たる思いもする。

    なんせ、私らの時代「腰掛け」なんて言葉があったくらい、仕事に対する意識が薄かった。もちろん自分もそう。したがって、結婚して子供産んで、子供が少し大きくなったら働こうなんて甘い考えでいたので、それはそれはもうつらい目に遭っている。

    女性三人が主な主役ではあるが、彼女らを取り巻く家族、夫、舅姑、子供、叔母さん方らも生活に絡んでくるので、そのかわし方、よい距離の取り方、絶縁などなど、どれも参考になるだろう、自分が若いころに読んでいたら。

    子供のできが良くても悪くても思い通りにいかないのは、リアルでもありうること。また、少しではあるけれども、子供目線の章もあるので、子供側の気持ちもわからなくはないとうまく導入している。

    多角視線の現代の家族の姿の最小公倍数なのか、最大公約数なのか。読み終わって、子育てはもう卒業しますですね。

    お話自体は、子育てへの助走、始まりから真っ最中と女たちの半生といったところです。

    また垣谷美雨を読もうっと♪

  • 地方から東京へ大学進学で出てきた3人
    三者三様の就職、結婚、子育ての様子を
    時代を行きつ戻りつしつつ、描いた小説

    同じ大学で意気投合した3人の人生は
    その後大きく異なり、それぞれの人生を歩んでいく
    その時代時代で大なり小なり悩みは尽きない

    社会へ、親へ、子どもへ
    胸に溜まる色々な不満はたくさん!
    でも作者の文体のせいか、主人公たちのたくましさのせいか、意外と暗くならず面白く読めるし共感できる

    ラスト
    50代になり子育て卒業宣言をする3人が
    何だかリアルでいいなぁ~と思った


    私とは少し年代が違うけれど
    聞いたことはある時代の話なので

    昔と今と変わったところ、変わっていないところなど
    思い馳せながら読むのが面白い


    1978年に4年生大学への進学で東京に出てきた3人だが、その頃は大学進学率が26%しかなく、その中でも短大ではなく四大へ進学する女子は12%しかいなかった時代

    就職でも苦労している
    何しろ「女子学生は自宅通学に限る」という募集要項がまかり通っていた時代だから…!
    女子社員は若く、可愛く、男性に尽くすお嫁さん候補のみが入社を許可されていた
    一人暮らしをしている女性は生活が荒れていたり、水商売に手を出していたり、お嫁さん候補として良くなかったのだろう


    私の父もだいぶ封建的な人で
    「自宅から通えるのに一人暮らしをしたいという女は頭がおかしい」というようなおかしい人
    でもそういう人がまだまだ主流だった時代の女性って大変だっただろうな…

    淳子が子どもを私立中学へ裏口入学させたり、明美が子どもに手に職を付けなさいと言ったり、紫が芸能人となった娘に学歴を得させようとするのも自分が就職で苦労したからなんだろう

    『女友達の集まりでは、夫が医者だとか弁護士だとかエリートサラリーマンだとかをそれとなく自慢しあうこともあると聞く。しかし、私たち三人のうち誰かの夫が仮にエリートだったとしても、夫の経済力や地位を、自分の手柄のようにひけらかすことはないだろう。私たち三人がうらやむのは、エリートの妻ではなく、結婚して子供がいるのに社会で活躍している女性たちだった』

    この頃、女性が自立するのは難しかったので、そういう意識を持ち続ける女性は少なく、だからこそ、三人の友情が長く続いている


    『それにしても、これだけ時代の流れが速いと、子育てが難しくて当然だよね自分が育ったのとは違う環境で育っていくんだもん』

    その言葉が胸に残る
    私の就職は氷河期でやっぱり思うように就職できず、苦労した
    その分子どもたちには早いうちから将来のことを見据えて動いて欲しいと思ってしまうが…
    でも時代の変遷もあり、こういう考えは古くなるのかな?
    この話の中でも、親が心配のあまり先回りをして裏口入学で一貫校へ入れ、就職もコネで入社させた子はその後、会社でうまく行かなくなって突然辞めて引きこもるようになってしまった。

    物語終盤 三人の子どもたちが集まり親のことを話しているシーンがある
    『正直言って、母の勧めに従って看護師になってた方が正解だったかなって思う時もある』
    『私も資格を取った方がいいってママンから今もさんざん言われてる。いつ売れなくなるかわからないってママンはいまだに言うのよ』
    『親は子供が何歳になっても心配なんだね』
    『俺は金がないけど幸せだよ。あの頃は不眠症だったけど、肉体労働の今は毎晩バタンキューだ。… 負け惜しみじゃなくて、ほんと今が幸せ』

    自分たちの子どもの頃のビデオを観て

    『このときのママンたち、確かまだ二十代よ』
    『てことは、今の俺たちと変わらないんだ』
    『当たり前だけど、ママンたちは生まれつき〈お母さん〉てわけじゃなかったんだね』
    『十八歳から親元離れて頑張って生きてきたんだよ』
    『偉いよ』
    『うん、偉いね』

    この子どもたちの言葉は知らず、母たちは女子会で子どもたちの話をしている

    『好きなことを仕事にできるって凄くない?』
    『一生の仕事にしようと思うくらい好きなことを見つけられる人って案外少ないと思う』
    『だって自分なりの幸せを見つけてるってすごいことじゃない』
    『どう転んでも厳しい人生なら、好きな道を行った方がいいよ』
    『子供たちの未来は、もう子供たちに任せようよ。親が口出しする年でもないし』
    『自由に生きられることが、いちばんの幸せだよね』

    私はまだまだ子育て世代真っただ中なため、この三人のように達観できる境地に至っていない
    子どもの進路にも色々とおせっかいなアドバイスをしてしまう
    言わない方がいいのに…と思いつつ、どうしても行ってしまうのは母親の性なのか?
    いずれこのラストのように「子育て卒業!」と言える日が来るといいな~

  • 世代は少し違うが様々な困難に立ち向かいながら就職結婚子育てする女性に共感するところがたくさんあった。すべての経験を糧にして生きていく3人のたくましさを見習いたい

  • 人間模様を書くのがうまいなあと思いつつも、今回はその模様が生々しかった。
    マウント合戦のような嫌な部分は読んでてあまり気持ち良くなかった。
    時代背景が自分の知らない時代というのもあったのかもしれない。

  • まだ子育ては始まってないけれど、すごく共感できる内容だった。
    時代が目まぐるしく変わる中、親も何が子供にとって最適なのかわからないということが多くなってくると思う。
    昔の考え方(大学卒業して一流企業に就職して働く)が必ずしも子供に適応できるかはすごく微妙になってきているなと思った。
    最近は国際化や技術の進歩、多様性から昔だったら大手で将来安定と言われた企業でも業績不振になっている会社もあるし、逆にベンチャー企業やYouTuberなどで稼いでいる人もいる。
    どんどんAIが進歩して、いろんなものが自動化していく中で必要とされる人材になる必要があるという私が生まれ育った時代とは全く違う時代がきている。
    自分の子供をうまく導けるかわからないけど、自分の固定観念を捨てて子供のやりたいことを尊重しつつ、しれっと将来に布石できるような子育てをできたらいいなあと思った。

  • 1950年台後半生まれの3人の女の子達の半生と、その子ども達のこのまた半生が描かれている。
    どの時代も大変なことはあって、その中を親の言うことを鬱陶しがりながら逞しく生きていく。母親はそこから学んだことから、我が子には良い道をと奮闘するが、子どもからは疎まれ・・・。でもそんな子ども達も大きくなり、一丁前に親の子育てを良くも悪くも評価して。時代は繰り返すんだなぁ。
    そんなもんだと理解して、親にも子どもにも寛容でありたいな。

  • 我々が就職した頃は寿退社が当たり前な時代だった

    改めて今の時代はそうじゃないことを思い知る

    男性達は妻に家事をやらせるのが当たり前だった

    そんな時代に結婚してしてしまった我々は子供が手が離れても何のキャリアもなく、大学を出ていたとしても惣菜屋さんやスーパーのレジしか選択肢がない

    健康で自活してくれれば子供たちにそれ以上の要求はないかな

  • ちょうど「子育てを卒業したい」と思い始めていたので手に取った。世代的に共感の多い小説。
    女性の社会進出について、お茶くみコピーから少しずつ当事者たちから声が上がってきた世代だろうか。自分の時代にはもう女性の総合職というものが生まれていたからその礎を作ってくれた世代で、そのころのジレンマを肌で感じていたであろう3人。
    3人の女性とその子供たちがいろんな視点できめ細やかに描かれており、そのどのエピソードも容易に想像できる。夫の両親との同居、山の手と下町の壁、古いしきたりの実家との確執、コネ入社の居心地の悪さ、学歴社会への反発などなど。
    あまりにリアルで途中、うんざりして読む気がなくなったのは、それほど描かれ方が緻密だったということか。
    いちばんうらやましかったのは、明美の義妹がUターンして思い切った行動に出たことだ。ピンチをチャンスに。ってこのことか。うらやましかった。その義妹の言葉「女は苦労を顔に出してはいけない、しかめっ面をすると幸福が逃げていく」。
    それから淳子が友人とコロッケ屋のアルバイトをしながらいつかは自分たちの店を、という夢を抱いているというのも。

    題名から期待していた内容とは違ったし、帯にあるような「痛快」とはちょっと眉唾だけど、女性社会進出の黎明期のリアルボイスとしては良いと思う。

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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