- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784422100982
感想・レビュー・書評
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2022/02/12
2022/10/10
2022/11/05
2022/11/22
2023/02/21
2023/05/12
2023/08/21詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ビジネス・自己啓発系ブック界に於ける〝古典的〟書籍。けれども今回初読。なるほどなかなか奥行きの深い本である。
「 人を動かす 」という表題だが、内容の多くは他者に対するコミュニケーション論。よりスムーズな対人関係に役立つノウハウを幾つも提案提示している。
例えば、相手を力でねじ伏せる如くゴリゴリ説得するのは誤りだと説く。議論の場で相手を打ち負かしても、その人は自尊心を傷つけられ恨みを抱え込む…それではプラスの関係を継続することは出来ないという道理だ。
そして著者D・カーネギーは提案する。相手を議論で打ち負かすべからず。自分が聞き役に徹することで相手の気持ちや態度は必ずや和らぐ。そのほうが、目的や意図を達することが出来る!と説くのだ。その実例や経験則が幾つも示される。
米国は権利を主張せぬ者は生き残れない社会というイメージが私にはある。訴訟社会という印象もある。ところが本書では、議論で相手に勝つのは愚かである、と説く。いわば〝和を以て尊しとなす〟的な処世訓だ。このこと少々驚かされた。
上述のコミュニケーション戦術みたいなことは、私自身も経験から学び、意識し実践してきたと思っている。それでも、本書のようなかたちで論理的に明文化されたものを読むことはありがたい。感覚的に実践してきた経験則に対して、理論的な裏付けを持って、輪郭を強くしてくれたのである。
一方で、本書は一種のファンタジーではないか?という密かな疑念も抱いた。全編に具体的な実話エピソードが豊富に提示されるのだが、それらはもしかすると創作では?という気もしたのだ。成功譚や復活劇エピソードに、ちょっと出来すぎでは?と感じたのかもしれない。
ところで、今回初めて気づいたのだが、著者のカーネギーと、鉄鋼王のカーネギーは別人で無関係なのであった。本書の著者はデール・カーネギー。鉄鋼王はアンドリュー・カーネギー。私はカーネギーという名に、偉大な経営者という先入観を抱いてしまう。だが、それとこれは別なのであった。
卑近な言い方を許して頂けるなら、D・カーネギーは自己啓発セミナーの先駆者である。ただし本書を初めとする書籍やセミナーで財を成すビジネスモデルを開発して成功した人物ではある。 -
不朽の名作。とても腹落ち感のある内容だった。
人間関係を円滑にするため、何かで成果を出す為に必要なビヘイビア、心構えが具体的な例を添えてさまざまな角度から紹介されている。
日本人にはもともと親和性の高い内容のような気がする。
と、こう書くととても簡単な内容のように感じるが、総論○各論、実践は△といった具合で、テキストで読むとそれはそうだろと思うが、実際に本書に記載のあるようにできるのは一握りの人間たちである。
私もさっそく自分の妻や子供たちに対して実践しようとしてもいままでの行動様式や既存の関係性に縛られて上手くできない。
知っているのとできるのは違う。簡単なことではないが、小さな一歩を重ねて自分を変えていきたいと感じた。
人の上に立つもの、組織の中で影響力を持つものには必読の書。私もまた数年後に読みたい。 -
☆2つに近い3つ。書きぶりはユーモアがあって面白い。
相手のためにという風を装ってはいるが、「どんな人にも親切に礼儀正しく接する方が自分にとって得である」という損得勘定が見え隠れしている。これを実践しても、要領と人当たりのいい人間にはなれても、高潔な人物にはなれない気がする。結局は「人を動かす」のが目的である。軋轢を厭わない中島義道の方が徳が高く、誠実である。
こういう風に言われたら、心をほだされるだろうという事例が多くある。相手は「動かそう」と思っている可能性があるので、騙されないようにしたいと思った。感じも性格もすこぶるよい(本書から抜け出たよう)が、無責任極まる同僚の顔もよぎった。
『赤毛のアン』のマリラやハリー・ポッターシリーズのマクゴナガル先生に憧れる身としてはまったく論外な指南だった。
本書の中のような人物になりきり、素で演じきれるならよいととてもよいと思う。間違いなく好人物になれる。ただ、実践を少しでも困難に思うなら、これを理想にしてはいけない。 -
何回読んでも、何十年経っても名著は名著。必読。
あとは、時代に合わせて相手に合わせて本から学んだことを活用できるようにしたい。 -
至極当たり前のことが書かれた本ではあるが、この本に書かれたことを今後意識して取り組んでいくかどうかで実生活に大きな違いが出てくるものだと思う。一言でこの本の内容を説明すると、「人を動かす」ためには、相手の気持ちに立って行動することに尽きるということ。
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この本が100年近く前から読まれ続けてるということは、人付き合いについての普遍的な考え方だってこと。
でも、みんな頭では分かっていてもなかなか実践するのが難しい、ってことなんだろう。
特に、表面的なスキルではなく、心からこれを実践する、というところが難しい気がする。
でも、少しずつでもできたらいいな! -
人は皆、自己の重要感を欲している。睡眠や食物を欲するのと同様に。人と接するときに大事なのは、重要感を満たしてあげること、自尊心を傷つけないこと。
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不朽の名作と言われるだけのことはある。
抽象的な内容が様々な事例を通して具体性・現実味を帯びていく。
来年から社会人2年目になり、部下ができるがこの本で学んだことを活かしていきたい。
以下、印象に残った箇所。
人を動かす
他人のあら探しは、何の役にも立たない。
相手は、すぐさま防御体制を敷いて、何とか自分を正当化しようとするだろう。それに、自尊心を傷つけられた相手は、結局、反抗心を起こすことになり、まことに危険である。
人を批評したり、非難したり、小言を言ったりすることはどんな馬鹿者でもできる。馬鹿者に限って、それをしたがるものだ。
他人の長所を伸ばすには、ほめること、励ますことが何よりの方法だ。上役から叱られることほど、向上心を害するものはない。私は決して非難しない。人を働かせるには激励が必要だと信じている。だから、人を褒めることは大好きだが、けなすことは大嫌いだ。気に入ったことがあれば、心から賛成し、惜しみなく賛辞を与える。
人を動かす唯一の方法は、その人の好むものを問題視にし、それを手に入れる方法を教えてやることだ。
物事には、本来、善悪はない。ただ我々の考え方いかんで善と悪とが分かれる
人にしてもらいたいことを、人にしてやろうではないか。いつでも、どこでも、やってみることだ。
我々は、あまり大した抵抗を感じないで自分の考え方を変える場合がよくある。ところが、人から誤りを指摘されると、腹を立てて、意地を張る。我々は実にいい加減な動機から、いろいろな信念を持つようになる。だが、その信念を誰かが変えさせようとすると我々はガムシャラに拒否する。この場合、我々が重視しているのは、明らかに、信念そのものではなく、危機に瀕した自尊心なのである。私のという何でもない言葉が、実は、人の世の中では、一番大切な言葉である。
(ジェイムズ・ロビンソンより)
嘲笑や非難で意見を変えさせることは不可能だ。
自分に誤りがあるとわかれば、相手の言うことを先に自分で言ってしまうのだ。
一滴の蜂蜜の方が、バケツ一杯の苦汁よりもたくさんのハエを捕まえることができる。
⇒優しさや友好の方が非難・批判よりも
支持を得る。
親切、友愛、感謝は世のいっさいの怒声よりもたやすく人の心を変えることができる。
相手は間違っているかもしれないが、相手自身は、自分が間違っているとは決して思っていないのである。非難はどんな馬鹿者でもできる。理解することに努めねばならない。
命令を質問の形に変えると、気持ちよく受け入れられるばかりか、相手に創造性を発揮させることもある。
相手の自己評価を傷つけ、自己嫌悪なは陥らせるようなことを言ったり、したりする権利は私にはない。大切なことは、相手を私がどう評価するかではなくて、相手が自分自身をどう評価するかである。相手の人間としての尊厳を傷つけることは犯罪なのだ。
(サン=テグジュペリ)
たとえ少しでも相手が進歩を示せば、心からほめようではないか。
批判によって人間の能力はしぼみ、励ましによって花開く。
相手をある点について矯正したいと思えば、その点について彼はすでに人よりも長じていると言ってやることだ。 -
とにかく、相手を議論でコテンパンにしてやれば良いと思い上がっていた私に勉強をさせてくれました。
人を批判する人程、馬鹿者である。反省します。