戦後史の正体 (「戦後再発見」双書1)

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  • 創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422300511

感想・レビュー・書評

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  • 日本の戦後史をアメリカからの強大な圧力に対して
    盲目的に追随する「対米追随」路線と、
    アメリカとは距離を置いた
    独自路線を志向する「自主」路線とに分別して、
    2つのせめぎ合いを筆者なりの角度から読み解いた本。

    著者曰く、この2つの外交路線のせめぎ合いが
    日本の戦後史の骨格であると主張している。
    しかし、せめぎ合いといっても実際の日本の外交史は
    自主路線の敗北の歴史だと総括している。

    ちょっと強引な分け方だと感じたが、
    なかなかこういう視点から描かれた本は
    見かけなかったので新鮮だった。

  • 赤坂Lib

  • 戦後の日本外交史は、
    米国に対する「追随」路線・「自主」路線の2つが
    主流となる。

    現在の政治・経済動向、国際情勢を理解するために、
    過去は知るべきだと思った。

    勿論、この本も1つの意見から出たもの、
    自分でしっかりと原典に当たり、意見を構築したい。

  • 日本の戦後史はアメリカとの関係を見ればわかるというもの。アメリカによる影響がいかに大きいかが記載されている。
    アメリカは外交戦略を持っており、それが変わることによって大きな影響を受ける日本という構造。

    2018/11/15
    安保条約はアメリカぎ望むだけの軍隊を望む場所に望む期間だけ駐留させる権利。
    植民地化するために少数派を支援するのはセオリー。
    ニクソンの訪中は佐藤首相の繊維密約の報復。

  • 戦後日本におけるGHQの方針、冷戦下における政策転換。サンフランシスコ条約以降も続く米国圧力。安保・日米地位協定のはじまり。60年代安保闘争とは何だったのか。吉田茂に始まる対米追従派の政治・マスコミと重光葵、岸信介、石橋湛山、佐藤栄作らの自主路線派という対立項で戦後史を読み解く著者の視点。

  • 「対米従属路線」対「自主独立路線」という切り口で戦後日本の70年を分析、歴代首相もその切り口で鋭く論考されている。
    願わくば、これだけの情報と分析力を持っているのだから、TV等の討論番組等で、もっと鋭い討論を期待したいところだ。

  • 分かりやすく、読みやすい。戦後史は苦手な分野で手をつけていなかったけど、これを読んで少し他の本も読みたくなった。この本に書かれている内容がどこまで真実なのかもっと知りたい。

  • 筆者は元外交官。その後は2009年まで防衛大学校の教授。如何に戦後の米国の対日政策は米国の「その時々の」論理で決められてきたかを読み解いている。
    さらに歴代首相を各種エビデンスを用いながら、自主派と対米追従派に分けて、その時々の政局・事件を俯瞰し解説している。かなり過激な内容ではあるが、現代史を考え直す必要を感じた。

    まず、終戦は1945年の8月15日ではなく、降伏文書に調印した9月2日であること。
    歴代の首相の中で吉田茂は「国賊に近い」対米「従属」派とのこと。一方で、自主は重光葵をはじめとして、岸信介、佐藤栄作、田中角栄、最近では鳩山由紀夫などであり、米国の意図に従わず、日本のあるべき姿(日本の国益のため)の為に奮闘した。そのために佐藤首相を除いて、「米国の関与」によって短期政権となったとのこと。

    最近の政権、外務省の対米追従路線を批判している。

    最後に、カナダの元首相の言葉を引いて締めくくっている。「米国と対峙していくことはきびしいことだ。しかし、それでも我々は毅然として生きていこう。ときには不幸な目に遭うかもしれない。でもそれをみんなで乗り越えていこう」。

  • 外交官の視点から見た戦後史。
    歴代の首相と政策を「対米追随」と「対米自主」の2つの軸から捉えており、分かりやすい。

    勿論、この歴史観を真に受けてはいけない部分もあるだろう。
    孫崎氏の思想はかなりはっきりしているので、歴史の捉え方も客観的であるとは言い難い。
    しかし、元外交官が内部から政治や歴史を評価すること自体が珍しく、その立場でなければ手に入らない情報、感じ取れない思惑が多数盛り込まれていることは事実だろう。
    歴史の裏側を知ることができるという意味で、本書は充分読む価値がある。

    また、本書では日本のメディアがいかに中立でないか、アメリカから影響を受けているかについても書かれている。

    自分で正しい情報を選びとり、政治的な思惑に流されない力が必要になってくることをひしひしと感じた。

  • 気分がスッキリした本。尖閣諸島問題ひいては日米安保もTPPと表裏一体であると考えさせられる。プラザ合意から直近のオバマ来日までのさらなる加筆を期待する。

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著者プロフィール

1943年、旧満州生まれ。東京大学法学部を中退後、外務省に入省。
英国、ソ連、イラク、カナダに駐在。駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大学校教授などを歴任。現在、東アジア共同体研究所所長。
主な著書『戦後史の正体』(22万部のベストセラー。創元社)、『日本外交 現場からの証言』(山本七平賞受賞。中公新書)、『日米同盟の正体』(講談社現代新書)、『日米開戦の正体』『朝鮮戦争の正体』(祥伝社)、『アメリカに潰された政治家たち』河出書房新社)、『平和を創る道の探求』(かもがわ出版)ほか。

「2023年 『同盟は家臣ではない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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