貢献力の経営(マネジメント)

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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478015681

感想・レビュー・書評

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  • マイケル・ポーターがCSV(共通価値の創造)を提唱したのが2011年だったと思っています。ちょうど同じタイミングで書かれたNTTデータの現役社長による著作です。学者の理論ではなく経営者の実践の書であることに感動を覚えます。今回、初めて知った「貢献力」というキーワードも優れていると思いました。昨今CSVを語る企業人も少しずつ増えているとは思いますが、東日本大震災の前にこんなに社会価値をテーマにして日々の活動を行なっている会社があったなんて。その秘密は元・電電公社という特殊な出自にあったのだと理解します。もともと国の会社という位置付けのパブリックカンパニーが、中曽根民活路線で1985年に民営化されNTTになり、その赤字事業であるコンピュータ部門が2年後に切り出され必死に利益を追求してきたのがNTTデータという会社です。社会のインフラとして公益性を魂とする会社が民間として筋肉質に利益体質になって結果、本業によって社会貢献をするという存在になろうとしている記録です。そのストラグルは、いま「働き方改革」の時代になってますます貴重な先駆的事例なのだと思います。自分の仕事に当てはめながら読んでしまいました…

  • 成果主義の結果 セクショナリズムが進み、
    組織の総合力を発揮できなくなった問題を解決する考え方として、
    社会に果たす企業の役割として、「貢献力」を提唱しています。

    意識のある人間一人ひとりが組織を俯瞰して捉え、組織の発展に尽力すればいいんです。
    ただ、滅私奉公できる人間、それを自己実現に繋げられる人間は20%程度といわれています。
    多数の利己主義的な人間が進んで「貢献力」を向上させることを望んで、
    この行動は、個人の成長・発展に繋がるぞ、と説得しているように感じました。
    経営者の苦悩と気苦労が感じられます。

    貢献力の論点は3つ。
    1. 社会に果たす企業の役割「社会に貢献できる人材育成こそ、企業の最大目標」
    2. セクショナリズムの打破「組織の壁を越えて協力することが結果的に自分の利益向上にも繋がる
    3. 『貢献』は人間の自然欲求「様々な人々の役に立ちたい、繋がり合いたい」「成功は献身の果てに生じた副産物」

  • 組織や立場を超え、多様なコミュニティの中でつながり、支え合うためにはどうしたらよいのか?そのヒントが詰まっている。

    自分の立場や利害を超えることが、企業や個人が混迷の時代を突破し、成長し続けるための糸口になり得る。

    幅だし、と個人的には考えているが、一歩踏み出した行動を取ることで、感謝や賞賛を受ければ大きな喜びとなり、次の活動に踏み出すパワーになるのだろうなと。

    組織のセクショナリズムや大企業病と呼ばれる現象を打破するには「個々の知を結集させ、皆で立ち向かう仕組み」が求められる。結局は「個々の知」、本田圭佑の言葉を借りれば「個の力」が必要。磨こう。

  • IT業界の雄であるNTTデータで、重要な経営資源である人的資本をいかに活用し、正当な評価をしていくかについて述べられている。また、こうした観点から企業の経営戦略、今後進むべき方向性についても示唆を与えてくれる一冊である。
    社内SNSを活用し、社員が各々抱えているプロジェクトについて意見交換を行い、新しい視点等を得た実際の事例も取り上げられている。
    こうした、他者に対して積極的な働きかけを行い、その成果物に貢献するような姿勢を評価するために、「貢献力」「貢献主義」という人事評価/制度についても解説されている。

  • NTTデータの社長さんが書かれた本。
    尊敬する大学院の先輩が在籍していた会社ということもあり、興味深く拝読。
    キーワードはセクショナリズムの打破、利他性、そして個のモチベーションであろうか。自分は組織の中で何ができ、組織は自分に対してどんな影響を及ぼすのか、暗黙知から集合知、そして形式知へ、組織の在り方を考えさせられる良書。

  • 「貢献力」。会社の中と外にいかに貢献していくか、それが個人の成長、組織の成長、お客様への満足度、社会への貢献に必要か。
    自分以外の人の為にどれだけ尽くす事が出来るか。会社を挙げてそれに取り組む姿勢が非常に分かりやすく描かれている。なかなか、会社を挙げて「貢献力」に取り組む姿勢を非常に分かりやすく描いた本は無いのではなかろうかと思う。

  • 自分の部署だけでは対応できないことも、別の部署、別のグループの協力があれば実現できるかもしれません。あるいは、グループ外の企業や専門家の支援を得る手もあります。
    どうしたら孤立状態から脱することができるのか。そのためにはまず、自分から一歩、相手に歩み寄ることです。そして相手が困っていたら、自分の時間や知識、ノウハウ、スキルを提供し、協力してあげてみることです。
    会社の中にも、さまざまなコミュニティがあります。営業課長なら、管理職研修などを通じて知り合った人々とのコミュニティがあるでしょう。同期の仲間もいるでしょう。営業会議に集まった他の営業職とのコミュニティも持っているはずです。研修、企業内大学、そのほかのインフォーマルな勉強会なども貴重なコミュニティです。もちろん、社外の異業種交流会などにも参加してみれば、刺激的なコミュニティとなるに違いありません。組織や立場を超え、多様なコミュニティの中でつながり合い、支えあう、こういった行動から生まれる力を『貢献力』と呼びたい。
    数値目標にがんじがらめになり時間がない人ほど、アフターファイブはプライベートな人脈作りに励むべきではないでしょうか。地域の活動やNPOに参加してみる、あるいは同期や先輩との交流会を企画してみる・・・。
    チームの業績責任を負うリーダーの中には、他チームとの対立意識を抱く人もいるかもしれません。しかし、だからこそ、機会を捉えては他部門長との対話を試みるべきではないしょうか。彼らとの交流がコミュニティに発展すれば、自分の知見は大きく広がるはずです。
    多様な人間関係を築いていくうち、ある日気付くと、知識や思考、志が幅広く深いものになっている。信頼でき、貢献し合える仲間を持っているといないとでは、能力に大きな差が生じてくるのではないでしょうか。こうして得られる人脈力は、情報力と読み替えることもできます。顧客からいきなり自分の専門外の分野について質問されても、困ることはありません。貢献の関係が広ければ、詳しそうな人にすぐ助言と仰ぐことができるからです。
    カズミはまず、社外活動に参加し、多様な人々の考え、価値観、行動パターンを学びました。彼女は新しい仲間から大いに刺激を受け、自分の中の引き出しの数を増やしていきました。その後、今度は自分から人と人とを結びつけ、コミュニティを創りだしていきます。
    デスクの上には、茶菓子を用意しておいた。菓子をつまみに来た部員同士に、話をさせようという狙いだ。
    他部門との連携強化。心理的な壁を取り払うため、昔の人脈がある開発部や品質管理部、生産技術センターなどにも声をかけ、希望者を募ってバーベキューパーティーを開いた。
    公式ネットワークだけではなく、インフォーマルな関係作りにも力を入れた。ラーメン愛好会やスポーツ観戦の会といった趣味系もあれば、会議の運営方法を改善する会、異業種交流会など、ビジネスやキャリア系の会も。
    所属する組織の外や内に、「貢献仲間」の関係を持ち、なるべく多くの人々の価値観や体験を取り込むこと。そうすることで、自分の中に複数の引き出しを持つとことができるようになります。また、管理職や経営者であれば、部下、社員がそんな関係を作れるような仕組みを用意してあげるべきでしょう。
    ナレッジコンシェルジュ・・「あの部署の部長が知っているはず」などと、解答を持っていそうな人物を紹介するのだ。
    多くのホワイトカラー系の職場では、互いに、見えない仕事をしていることが多いのではないでしょうか。それらを見える化し、確認しあいながらミーティングを重ねれば、仲間が突き当たっている壁も見えてきます。そうなれば、仕事を手伝いあったり、知恵を貸しあったりといったことも、できるようになるはずです。
    社員が自主的に提案活動を行い、ワーキンググループを結成して成果を挙げることがあります。テーマは、担当するプロジェクトなどにとどまりません。仕事以外の個人的な想いでもいいのです。すぐ目の前の仕事にはつながらなくても、新たなビジネスコンセプトや業務改善、職場環境の改善につながっていくかもしれません。オープンな受け皿がなかったばかりに、日の目を見ずに消えていった個人の気付きや想いはたくさんあったことでしょう。
    Thank you Point制度 感謝の気持ちをカタチにする。

  • 印象に残った言葉
    ・組織のたこツボ化


    あとは、貢献するってことを、少し考えさせられた。
    あと、いろいろなコミュニティに参加するってこと。

  • 敢えて行動分析・心理学というカテゴリに分類してみました。
    NTTデータの現社長山下さんの著書。

    本書では貢献力の発揮のために、
    WGなどのコミュニティを積極的に構築するというアプローチ
    (社員からのボトムアップ/経営側からのトップダウン)
    の数々の実績と、それに伴う社会、お客様、社内への有効性を説いています。

    大企業であるが故のセクショナリズムの打破も実現しています。

    なかなか、中小では難しい試みのように感じましたが、
    それでも、会社全体のモチベーションを高める試みとしては、
    十分にチャレンジすべきものだと思いました。

    第1章 『貢献力』とは何か? なぜ今『貢献』なのか?
    第2章 回り始めた『貢献のループ』
    第3章 社員が生んだ、私たちの『貢献力』
    第4章 『貢献力』を向上させるための仕掛け
    終章  『貢献力』をめぐる3つの論点

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