- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478016268
作品紹介・あらすじ
邪念を振り払い、今この一瞬に最善を尽くす。監督の采配とは、ひと言で言えば、そういうものだと思う。孤独に勝たなければ勝負に勝てない-勝利を引き寄せる66の言葉。
感想・レビュー・書評
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落合は、2004年から2011年までの8年間、中日ドラゴンズの監督を務め、セリーグ優勝を4回に加えて、2007年にはリーグ2位であったがCSから勝ち上がり、日本一の座を得ている。その他の3年間も、2位が2回、3位が1回という、監督としては文句のつけようのない成績を上げている。
本書は2011年、落合が中日の監督を退任した年に発行されている。監督を務めた8年間について、どのような考えで指揮を執っていたのかを、自ら語る形で書かれたものである。オーソドックス、勝負に厳しい、采配自体は奇をてらったところがなく、むしろ、勝負が始まるまでの準備に多くの時間と配慮を割いている。そのような印象を持った。
私はカープファンであり、今年は久しぶりにペナントレースを楽しむことが出来た。ドラゴンズの野球に注目しているわけではないが、今年のドラゴンズは、立浪監督のもと、成績が振るわなかったばかりではなく、将来に向けて楽しみな要素があったのかどうか。当たっているかどうかは分からないが、監督によって、チームは大きく変わるのではないか、と思わせるような本だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
選手としても監督としても圧倒的な成績を残しているだけに、説得力がある。
主義主張やその裏付けとなる理論も、一見常識に反しているように見えて、よくよく聞くと成程という理屈があっておもしろい。
でも、聴く側に聞く意思があるからかもしれない、とも思った。
落合監督は、キャンプ中の守備練習にいつまでという時間制限は設けないそう。時間が決まっていると、選手はその時間をやり過ごそうとしてしまうからだと。なるほどねえと思えるが、同じ落合さんが例えば、「短めの時間を設定する。あと何分しか出来ない、と思えば、同じ1分でも集中力が全然違ってくる。」と言えば、なるほどそうか、と思いそう。結局は、あれだけの成績を挙げた人なのだから信じてついていこう、と思わせられるのかなあ、と思った。
でも、名選手は必ずしも名監督ならず、というからには、やっぱりそれだけではないんだろうな。
P222
日本のプロ野球の歴史で100勝したチームがないことを考えても、ペナントレースを制するためには「50敗する間にどれだけ勝てるか」を追い求めていく。(全試合勝ちに行く)長嶋さんの采配は、まさに不可能への挑戦だったと言える。 -
2004年から2011年まで中日ドラゴンズの監督であった落合博満氏の、監督退任直後の著書。
2011年11月初版であるため、当時の落合氏の考え方や監督時代の話などが伺える。10年前の著書であるため少し時代にそぐわないこともある。
しかし落合氏の野球観から社会人としても参考になることが多々ある。
特にリーダーとしての立ち居振る舞いや考え方はとても参考になる。
・ミスは責めない。手抜きは叱る。
・方法論をしてして、やればできるという成功体験をさせる
・1人の実力を10-15%あげ、組織全体の向上を図る
広い視野を持っている落合氏ならではの考え方や名言もあり、時々読み返したい本である。
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『采配』/落合博満
やっぱり、奥深いです。
そんな考え方があるのか~という箇所ばかりでした。
プロ野球の中日ドラゴンズの監督でもあった著者の「マネジメント」に関するテーマである本書。
ビジネスシーンでも多分に、当てはまる、それどころか、ズバッと切れ込んでくるところが多いですね。
ドラゴンズの監督時代は、徹底して、表情は鉄仮面のごとく変わらず、常に勝利第一主義。勝利こそがファンを喜ばせるという考えでした。
ファンサービスという観点でいえば、物足りないと思ったファンの方もいたでしょうが、勝つための哲学は、随所に本書にまとめられています。
p11
本当の意味でのプロとは、自ら考え、責任を持って行動し、積極的に教えを乞い、成長を続ける、いわば「自立型人間」のことである。
p152
他の選手の長所を探す目を持つことで、自分が新たな取り組みをするときの引き出しにすることができる。
自分の仕事だからこそ、まだまだ知らないことがあるはずだという謙虚な姿勢を持ち、仲間、ライバル、同業他社が何かに取り組もうとしている際には、深い関心を寄せながら観察してみるべきだ。
p295
大切なのは、何の仕事に就き、今どういう境遇にあろうとも、その物語を織り成しているのは自分だけという自負をもって、ご自身の人生を前向きに采配していくことではないだろうか。 -
色々な書評で高い評価を得ていた本。
期待通りの高いパフォーマンス。
言葉の定義や意味を大事に考える人だと伝わってくる文章。
プロとしての厳しさを自分にも部下(選手)にも課す人だと思う。
この本を読む前は、何か物事を斜めから見る人だという印象だったが、周りに流されずに正面から自分で考えた結果、責任を持って発信していたことがよくわかる。
評価が高いのがうなづける一冊。
良い本に出会えた。 -
落合さんがどんな人か知らず、話題の本というだけで読み始めた。オーソドックスでシンプルな落合さんの哲学がよくわかる本で、野球で得た真理をサラリーマンに置き換えて説明されている点もすごくわかりやすい。時折何度も読み返したい一冊。特に、『成長速度には個人差がある。時間がかかっても辛抱強く、段階を踏んで教えていく。育成は守るべき順番を守り、必要な時間はかけなければならない。』といった内容が育児中の私の胸に残った。
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落合さんの著書です
納得のいく話ばかりです
「心技体より体技心」
基礎体力
誰にも負けない技術
病まない心
仕事をしていく上での基礎体力をつけておけば少々のことでも耐え抜けます。
僕はラグビーしてたのでこのレベルでは死なんなと思ってました。
また技術も今でも磨いてます。
初めの頃はブラインドタッチも寝る時間を確保するためにマスターしました。
そこまでやって今の仕事のマニュアルをこなしていけば病むことは無いと思います。
「大きな成果を得るために何かを犠牲にする」
社会が共働き当たり前になっても頭ひとつ抜けるためのプロセスは今も昔も変わらない。
そうなんです。
僕もロースクール行ってる間は仕事も家庭も顧みず勉強してました。
結果は出なかったですが社会人になっても一生で一番勉強したって言える時期が来るとは思わなかったです。
「一流には自力でなれるが超一流には協力者が必要」
一流になるためには個人の死ぬほどの努力が必要です。
その次に突き抜けようと思ったら家族の協力が必要やと思います。
物心両面からのサポート。
チーム赤銅やと思って子供達にはサポートを惜しまない体制を組んでます。
ただこれって体育会系でしか通用しないんですよねσ^_^;
今の子にはなかなか難しいですが我が家では社会が緩くなってるんやったらスピード感持って出し抜けと言ってます。 -
やはり引寄せる。
昨晩のNHKサンデースポーツのゲストは落合博満だった。
落合がテレビに出るのは本当に久しぶりだと思う。容貌も変わって、だいぶ毒気が失せたような感じもしたけれど、彼の口から言葉が出ると、昔と変わらず「何を言いだすのかわからないゾ」と期待してしまう。(大越キャスターはドキドキだったと思う)
この放送が始まる2時間前にこの本を読み終わった。この本が書かれてからの時間の経過、落合氏の境遇の変化も微かに感じられたが、やはり自信に満ちて世の中を風切って歩いてる姿は健在で、現役の頃からの軸のブレのなさは野球への姿勢だけでなく、生きる姿勢にも投影されている。
落合氏を見ていて、こちらが言ったことに絶対協調しない捻くれ者のイメージを抱く人も多い事と思うが、苦労人や、苦境に陥ったことのある人、なんとかこの世の中で這い上がって生きてる証を得たいと思っている人が、彼の考えや信念に触れると本当の『優しさ』を感じとることだろう。
荒野のなかで生き抜いてきた人はこういう優しさを身に付ける。
『嫌われっ子世に憚る』
「嫌われる勇気」を当たり前のように身に付けていた人だ落合博満。
そんな彼が選手を育てるときの想いの視線にこんなフレーズがあった。
活躍したいと思うなら
①できないことをできるようになるまで努力し、
②できるようになったら、その確率を高める工夫をし、
③高い確率でできることは、その質をさらに高めていく。
なんか、地味で果てしなく感じるけど、これを読んだとき、何故かイチローの姿が浮かんできた。
能力のある人がこんな地道なことをやっていたら、凡人はまともには闘う意欲を失ってしまう。 -
何故か人気のなかった落合監督、我慢強いいい監督だと思ってました。
この本は昔の種明かしはあるものの基本的にはサラリーマンに向けたビジネス書です。
簡単に目次と小見出しの一部のみ紹介。
1章 「自分で育つ人になる」
明日の「予習」ではなく、今日経験したことの「復習」がすべて
2章 勝つということ
すべての仕事は契約を優先する。
3章 どうやって才能を育て、伸ばすのか
相手の気持ちに寄り添いながら、自分の考えを伝える
4章本物のリーダーとは
任せるところは、1ミリも残らず任せきる
5章 常勝チームの作り方
オレ流ではない。すべては堂々たる模倣である。
6章 次世代リーダーの見つけ方、育て方。
誰をリーダーにするか。尊重すべきは愛情と情熱。
色々言いたいこともあったろうに、チームの勝利をすべてに優先して何も言わなかった落合監督でした。