新版 考える技術・書く技術 問題解決力を伸ばすピラミッド原則
- ダイヤモンド社 (1999年3月4日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478490273
作品紹介・あらすじ
マッキンゼーをはじめ、世界の主要コンサルティング会社、さらにペプシコ、オリベッティ、AT&Tシステム、ユニリーバなどでライティングのコースを教えているバーバラ・ミントが、コミュニケーション力を高める文章の書き方を紹介。
感想・レビュー・書評
-
Situation:本書「考える技術・書く技術」は米国での初版が1973年で、ロジカルシンキングや論理的な文書作成のテキストとして評価が高く、この分野では古典となっている。1996年に改定され、書く技術、考える技術に加え、問題解決の技術を追補し、表現の技術と合わせて4部構成となっている。
Complication:私自身が、論理的思考が極めて苦手であり、文書の作成能力も低いことを嘆いていたところ、コンサルをしている友人が本書をすすめてくれた。これによると、論理的思考も文書作成能力も、問題の根っこでは同じであるという。なるほど、考えたものを文書にするのだから、自分自身の考えが「論理的」に整理されていないと、それに導かれる文章もまた理解されにくいものになる。
Question:著者であるバーバラ・ミントは、その解決法の原理・原則をピラミッド・プリンシプルと名付け、論理的な考え方やあるべき文書の組み立て方について明確にしている。では、その魅力的なピラミッド・プリンシプルとはどのようなものか?
Answer:
1.文書作成時のピラミッド・プリンシプルの基本について
(1)ピラミッド・プリンシプルの利点
聞き手や読み手は、頭の中で受け取った情報を関連付け整理しようとする。まず主要な情報(大きな考え)を受け取り、次にそれに根拠を与えるいくつかの情報を受け取ることができれば一番理解しやすい。ピラミッド型に考えや文章を構成することで、受け手の頭の中の作業を容易にし、理解しやすくする。
(2)ピラミッド型の鉄則
①どのレベルでも、メッセージはその下位グループ群を要約するものであること
②各グループ内のメッセージは、常に同じ種類のものであること
③各グループ内のメッセージは、常に論理的に順序付けられていること
4つの順序( )内、事例
・演繹の順序(大前提、小前提、結論)
・時間の順序(1番目、2番目、3番目)
・構造の順序(北から南、東から西、等)
・比較の順序(1番重要なもの、2番目に重要なもの、等など)
これらが頭の中でできる分析活動のすべて(演繹的理由づけ、因果関係、各部分への分解、類別)
(3)タテの関係
ピラミッドの上部の考えは下部に存在する考えのグループを要約し、Q&Aの関係になっていること
(4)ヨコの関係
横に並んだ考えのグループは何らかの論理的な共通点をもってグループ化されていること
下位にグループ化されたものは、上位の疑問に、帰納的論理か演繹的論理で答えていること
(5)文書作成時の導入部について
①導入部において、読み手がいだく関心に答えを与えるためのストーリー性をもたせること
②そのために状況(S)、複雑化(C)、疑問(Q)の順序で展開し、本文で、答え(A)を与えること
2.考える技術について
(1)実戦的考えのプロセスは以下の2つ
①考えのグループを構成しているロジックの枠組みを見つけ、それをロジックの順序に書き表す
3つの分析活動 ( )内、作業時の注意点
・時間の順序:結果の原因を特定(因果関係の間違いを防ぐためにはイメージ化が有効)
・構造の順序:全体を部分に分ける(全体を部分に分ける際には、MECEに留意)
・度合いの順序:類似性で分類(大雑把に分類してから批判的に再検討する)
②混乱した考えの中から本質的な考えを抜き出す(帰納法的な要約を見つけること)
・グループ内の考えを要約することは、考えるプロセスを完成させる
・帰納的グループを要約することは、一連の行動の結果を述べるか、推測される結論を導く
・行動の考えは最終成果が分かるように記述する
3.問題解決について
(1)問題を定義する
望ましくない結果(現状)を明らかにし、望ましい結果(目標)を具体化し、差を明確にする
(2)問題分析を構造化する
①データを収集する前に問題分析を構造化する(でないと膨大なデータを集めて効率が悪化する)
②診断フレームワークを用いて、問題分野の詳細構造を明らかにする
・構造を図式化する(フロー図から改善効果の高いプロセスポイントを探る)
・因果関係をたどる(財務やタスクの構造、問題を伴う活動のプロセスから探る)
・想定可能な原因を分類する(原因の仮説や、選択肢構造、決定の連鎖を図式化して探る)
③ロジックツリーを用いて問題解決に向けた複数の選択肢を検討する
・可能性のある解決案をMECEスタイルで系統立て論理的に細分化する
以上、勉強したようにまとめようとはしたものの、まだ自分しかわからないものになっている。
文書作成や問題解決、物事を考える際には、ピラミッド・プリンシプルに立ち返ってブラッシュアップしていきたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最も受け取ったことは、"相手ありき"の文章作成。
読み手のために尽くすことが、自身の考えの整理にもなるという好循環が肝。
そして最も抑えるべき原則は「ピラミッド構造」で書くこと。
読み手が最も分かりやすいのは、まず主たる大きな考えを受け取り、そのあとに大きな考えを構成する小さな考えを受け取る並べ方だから。
"要約力"と"抽出力"
要約は自分が何を言いたいのかを見出し、読み手の頭の中の受け入れ態勢を準備させる。
抽出は本質を見抜き・シンプルに表現すること。
イメージ図も有効。
So What?と例え話を考えることからはじめよう。 -
報告書を書くときに良いかも!
全体の要約→個々の説明
1*メッセージ;下位グループの要約
2*メッセージ;同じ種類
3*メッセージ;論理的に順序づけられている
グループ化のチェック-同じ事象を示す名詞でくくれるか
論理的並べ方
1*演繹(大前提、小前提、結論)
2*時間(1番目、2番目、3番目)
3*構造(北→南、東→西)
4*比較(1番重要、2番重要)
ピラミッド構造ではQA形式の対話が基本 なぜ?
読み手を惹き付け続ける-読み手が抱く疑問を見抜き、その疑問にズバリ答えていく
トップダウン型アプローチ
1*箱をひとつ書く
2*疑問を書く
3*答えを書く
4*状況を明確にする
5*複雑化へと発展させる
6*疑問と答の再チェック
ボトムアップ
1*言いたいポイントをすべてリストアップする
2*ポイント同士にどんな関係があるか
3*結論を導く -
感想
*300ページある内40ページを読んだ感想*
とにかくわかりづらい。
コンサル業界では知らない人はいないマジのバイブルであるが、文字通り聖書なみにわかりにくい。
本書では自分の考えのまとめ方をピラミッド構造というフレームワークを使用して紹介されているが、本書自体がそもそもピラミッド構造にはなっていないように感じる。
20年前に出版され、今も高い評価を誇るがイマイチその理由がわからなかった。
憶測であるが、既に本書で紹介されているような思考ができている人物がこれを読んで、自身の漠然とした考え方を言語化していることに評価しているのであり、ゼロから学ぶには不適切なのではないかと感じた。
本書ではComplication(複雑化)という言葉が何度も出てくるが、これが一体何なのかの説明がなく、翻訳の問題かと感じたので原書を読んでみようと思う。 -
【学んだ事】
第一章
▼ピラミッドの鉄則
前提⇒文章がピラミッド型に構成されていれば、読み手の作業ははるかに楽になる。
・マジックナンバー7⇒人には一度に理解できる事柄には限度がある。
・どのレベルであれ、あるメッセージはその下位グループ群のメッセージを要約したものでなければならない。
・各グループ内のメッセージは同じ種類のものでなければならない。
・各グループ内のメッセージは論理的な順序で配属されなければならない。
第二章
▼ピラミッドの内部の関連性
・メッセージは縦方向に関連性を持つ(Q&A方式)。
・メッセージは横方向の関連性を持つ(演繹法/帰納法)
・頂上ポイントは読み手の疑問に答える。
・導入部は疑問を思い出させる。
第三章
▼ピラミッドを作る
①主題(テーマ)を明らかにする。
③ 「疑問」が何かを決める。⇒読み手を思い浮かべる。
④ 「答え」を書いてみる。※もしわかるのであれば。
⑤ 「状況」と「複雑化」によってその「疑問」が導かれるかどうかをチェックする。
⑥ 「答え」が妥当かどうかチェックする。
⑦ キーラインを埋める作業に取り掛かる。
※一般的にはトップダウン型のアプローチの方がやさしい。なぜならば、より確信できる物事から考え始めるのが人の常であるため。初心者はまずはトップダウン型に構成する事を考え始める。
第四章
▼導入部を書く
①状況を述べる。
③ その状況で、「複雑化」が発生し、その複雑化が「疑問」を引き起こす。
④ その疑問に対して、あなたの文書が「答え」を出す。
・よい導入部を書くための理論
1. 導入部とは、知識を与えるものではなく、思い起こさせるためのものである。
2. 導入部にはストーリーの3要素(状況、複雑化、解決)を含ませる。
3. 導入部の長さは読み手の必要性ち文書のテーマによる。
第五章
▼論理的に理由づける
・演繹法は一本の理由づけで展開する。
・帰納法は類似の考えや関連する行動をグループ化する。
・キーラインレベルでは、帰納法の方が演繹法よりも望ましい。
~第Ⅱ部~
第六章
▼論理的順序の種類
・時間の順序⇒自分の考えを述べる時、プロセス・フローとして図示するならば。ある結果の原因を特定する。
・構造の順序⇒自分の考えを述べる時、構造のコメントをするならば。全体を部門に分ける。
・重要度の順序⇒自分の考えを述べる時、分類を行うならば。類似のもので分類する。
▼行動の考えを配置する
・各ポイントは最終結果物をイメージできる表現とする。
・同一結果を導くアクション群をひとつのグループとする。
・グループ化の根拠になるプロセスや構造を明らかにし、その順序に従い配置する。
・見落としたアクション・ステップがないかどうかチェックする。
▼状況の考えを配置する。
・同じ種類で表現される考えをひとつのグループとする。
・グループ化の根拠となる構造や分類を明らかにする。
・各ポイントを主語・述語を備えた文章形式に書き直した後、配置の順序を決める。
・見落としたポイントがないかどうかチェックする。
▼グループの考えを要約する
・考えを要約する場合、それらアクション群を実行することにより直接得られる結果を述べる。
・状況の考えを要約する場合、それらポイント群の類似性の意味を述べる。
第七章
▼考えの類似性を発見する
・各考えがすべて同じテーマについて述べている。
・各考えがすべて同じアクションを必要とする。
・各考えがすべて同じ対象に対するアクションについて述べている。
・各考えがすべて同じ洞察結果を意味している。
▼行動の考えをリストにする
・各ポイントを裸にし、類似のキーワードでグループ化する。
・各グループのレベル(階層)の違いを明らかにする。
・各ポイントは最終結果物をイメージできる表現とする。
・アクション群の実行から直接得られる結果を述べる。
▼状況の考えをリストする
・テーマ(主題)、具体的状況(述語)、目的(目的語)、意味するものなどの類似点を発見する。
・各ポイントをできるだけ狭くグループ化する。
・そのグループ化が何を意味するのか(推論)を述べる。
~第Ⅲ部~
第八章
▼問題を定義する
・問題が発生した分野を目で見えるように図式化する。
・今まで安定を覆すような出来事を述べる。
・望ましくない結果を明らかにし、望ましい結果を具体的に述べる。
・その問題を解決するために、今まで何らかのアクションが取られたかどうか明らかにする。
・分析の目的、すなわち分析より答えるべき疑問を明らかにする。
第九章
▼問題分析を構造化する
①問題を定義し、診断フレームワークを用い、問題分野の詳細構造を明らかにする。
②問題の原因を仮説的に設定し、設定した仮説の妥当性を証明(または否定)するデータを集める。
【明日から実践できる事】
① あらゆる日常の物事や事象を、ピラミッド型に構成してみる。それによって、物事を分類する癖をつける。
② 自分が考えた結論を常に、批判的に捉える事を意識する。「なぜ?」「だから何?」というワードを投げかける。
③ もう一度、ワークブックと併用しながら、読み進めて、改めて認識していく。 -
自分がこの書籍をしっかりと理解するには知力が圧倒的に足りないが、理解できた部分だけで評価しても星4。マイナス1は、2周目の人生で本書を理解できた時にとっておく。
-
照屋さんのロジカルシンキング、ロジカルライティングのダイジェスト版のような本。”AならばB”が、演繹法、”B,なぜならばAならばB”が帰納法。
①Bを強調したい、時間がないのならば帰納法で、
②考え方を強調したいのであれば、演繹法で。 -
考え方は分かったのでこれから実践あるのみ。
-
翻訳なためか、読みづらいし、理解しづらい気がする。
通読したが、雲をつかむ感覚であった。
ポイントを絞って読み返そうとおもった。
ワークブックに取り組んでみる予定です -
どのように考え、そして効果的に文字に落とし込めるか。その具体的方法を悪文と添削を交えて学ぶことができる。
論理を述べるためにはグループ化や要約の思考プロセスを伴う
ピラミッドを作り始める前に、文章全体として読み手のどんな疑問に答えようとしているのか、を知る必要がある
あらかじめ道筋を示し、トップダウンに話を組み立てる
正しいピラミッド型になっているかチェックする
1.どのレベルであれ、メッセージはその会のグループ群を要約するもの
2.各グループ内のメッセージは、常に同じ種類のもの
3.各グループ内のメッセージは、常に論理的に順序付けられている
→演繹(大前提、小前提、結論):三段論法
時間:因果関係
構造(北から南):構造ごとによるグループ化
比較(最重要、二番目、三番目):類別によるグループ化
ピラミッドの内部構造
・主ポイントと補助ポイント間の縦の関係
→主張とは自動的に読み手の頭に論理的な疑問が生じるということ。その疑問に答えていく。
・補助ポイント同士の横の関係
→演繹的グループ化(一段上のレベルに行くために、最終ポイントを中心にして主張を要約する)ピラミッド下部で用いる
帰納的グループ化(一段上のレベルに押し上げるには、各ポイントの共通状況を判断し、ひとつの推論を行う)ピラミッド上部で用いる
・導入部のストーリー関係
→疑問の由来をたどることで疑問の本質をはっきりさせる(状況、複雑化、疑問、答え=ピラミッド頂上の主ポイント)
順序は配列しなおしても良いが、必ず状況から考え始める。そして導入部は飛ばさない(いきなりキーラインポイントまで飛ばない)
過去の出来事は導入部で述べる
読み手が知っていることだけを書く
主題に関する物語を伝え、読み手の興味を高める
トップダウン型アプローチ
1.主題を書く
2.読み手を思い浮かべ、主題に対する疑問を書く
3.答えを書く
4.状況を明確にする
5.複雑化へと発展させる
6.疑問と答えを再チェックする
疑問に対する答えは常に理由=キーライン・ポイント(もしくは、複雑化に酔て生じた疑問に答えたことで生まれる、新たな疑問に対する答え)
→キーライン・レベルでは、演繹法よりも帰納法を用いる
読み手の疑問(答え)
1.何をすべきか(方針を与える、選択肢の中から決定する)
2.どのように実行すべきか(方針を与える、how to を説明する)
3.実行すべきか(支出の承認を求める)
4.なぜ起きたのか
演繹的理由づけ
1.世の中に実在する状況について述べる
2.同時にもうひとつ世の中に実在する関連状況について述べる。この記述は最初の記述の主部か述部のどちらかについて注釈することで、最初の記述と関連を持つことになる
3.同時に世の中に実在する上記2つの状況が意味することについて述べる
帰納的理由づけ
・グループ化した考えを定義づける技術(一語で表す)
・その中で不釣合いなものを見極める技術(ボトムアップで質問を繰り返しながら理由づけをチェック)
帰納的グループ化では、グループ化の根拠が順序を規定する
・ある結果の原因を特定する
→時間の順序
・原因と結果を区別する
・根拠となるプロセスを明らかにし、図示する
・全体を部分に分ける
→構造の順序
・類似のもので分類する(MECE)
→度合いの順序
ボトムアップ型アプローチ
1.言いたいポイントをすべてリストアップする
2.それらのポイント同士の関係性を考える(図示)
3.結論を導く
グループ内の考えを要約するためには、白紙の主張を避け、テーマを絞る。そのためにも、グループ化の根拠を明確にする。
問題解決
・問題を定義する(望ましくない結果と望ましい結果のGAPを理解する)
1.問題がありそうか or 改善の機会がありそうか
2.問題はどこにあるのか
・分析を構造化する(フレームワーク・ロジックツリー作成→データ収集→調査結果記述→結論導出→行動提案)
3.問題はなぜ存在するのか
・解決を発見する
4.問題に対し何ができるか
5.問題に対し何をすべきか
読み手の頭にイメージを創り出す
イメージを言葉にコピーする