母さんのコロッケ ~懸命に命をつなぐ、ひとつの家族の物語~

著者 :
  • 大和書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479793298

感想・レビュー・書評

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  •  和服の女性がいた、一度だけ現れたあのコンビニはなんだったのだろう。
     そこで買った喉飴をなめるとみる夢。
     それは夢であって、夢ではない。

     外にいるときになめてしまったら大変なことになる。
     私だったらその飴のせいだと気が付かず、二つ目も外にいるときに
    なめてしまうかもしれない。

     戦争があったから起こってしまったこと。
     すうっと感情移入して読んでいた。
     どんな出来事も胸をつく。

     この塾の理念がいい。いま子どもだったら通いたい。
     なんでもかんでも手をかせばいいというわけではない。

     奥さんのおおらかさもよかった。

     タイトルになっているからもっとコロッケの印象が残るのかと思っていたけれど……
    他のタイトルのほうがしっくりきたと思う。

  • 理想の教育で子供たちに教えたいと願う主人公秀平は、脱サラをして学習塾を始めることにしました。なかなか思うように塾の経営も進まないある日、駅前のコンビニでたまたま買ったのど飴「ルーツキャンデー」をなめてみました。すると、とてもリアルな夢をみるようになり・・・。

    夢には幼い秀平の母や父がでてきます。
    昭和20年7月~9月平壌(韓国)から日本へ引き揚げて来る秀平の母たちの姿とその後の暮らし。続いては、実父の戦死も知らずに育った秀平の父。そして、秀平の母と父との出会いと秀平の誕生というぐあいにです。
    キャンデーをなめるたびに、今まで父母の口から聞いたことのない事実が夢となって現れます。戦後の混乱期で、初めて知る身内の愛と勇気に、秀平は感動すら覚えるのでした。

    自分が今いるのは、深い父と母の愛があったからこそ。
    そのことに気がついた秀平は、自分の抱える塾の経営問題など、実はとてもちっぽけな悩みだったと悟ったのです。

    自分のご先祖の歴史を省みて、大きな希望と夢を与えられるのは、
    なんとうらやましいことでしょう。
    このアイテムの名前もとてもいいです。
    「ルーツキャンデー」・・・。
    ドラえもんが出してくれそうな道具ですが、実はドラえもんではなく、
    秀平の亡くなった祖母が与えてくれたものでした。

    私のルーツはなんだろう?
    大きな戦争にこそ巻き込まれていませんが、気になりました。
    聴いてみようと思った時には、
    祖父母は他界し、父母は高齢者という現実が待っています。
    家のルーツ、家族の絆、
    どんなにささやかなことでもいいから
    皆で話しておきたいと思いました。

  • 家族を持ち、新しい子どもが産まれてくる。会社経営も始めて不安もある。
    そんな秀平が不思議なキャンディを食べて過去の自分のルーツを見るお話。

    全ての人間には使命があって、全ての子どもは大人にそれを気づかせる使命があるっていうメッセージはよかった。
    でもあんまり好みなお話ではないかな。深くないファンタジーという感じがしてしまった。

  • 自分の命が、どれだけの人によって今ここにあるのかを感じました。

  • たまたま買った不思議なキャンディをなめてみると、祖父母や父母が生きた時代の夢を見る。自分に子供が生まれる事実とクロスオーバーし、奇跡の積み重ねで存在する命の大切さ、未来を嘆くのではなく永遠に続く今を幸せに生きることの大切さに気づかされる。
    子をもつすべての親に、これから親になるすべての人にオススメします。

    「すべての人間に使命があり、それを果たすために必要なものはちゃんと持って生まれている。自分が持ってこなかったものを嘆く必要などない。それは、自分の使命を果たすために必要ないと判断して置いてきたものだからね」
    「すべての子供は、大人に自分の使命に気づかせるという使命を持っている」

  • 今までの喜多川先生の作品とは一風違ったものでした。

    日本人が忘れかけている戦争のおはなしです。

    ご先祖様がどれだけ必死な想いで
    命を繋いできてくれたのか、
    今ここにある命のありがたみを
    考えさせられました。

    あまりお盆とかお墓参りとか重要視していなかったのですが、
    この本を機に思いなおそうと自戒しました(汗)

    こういう作品が直木賞やら本屋大賞をとる時代に
    なって欲しいですね。

    1人でも多くの若い方に読んでいただいて、
    これからの美しい国を創っていってほしいと願います。

  • 著者喜多川泰流の不思議な現象を切っ掛けにして、祖父母、父母との間に脈々と受け継がれた絆を知る物語。「過去がない赤ん坊は今と未来しかない。その未来には無限の可能性がある。全ての子供は、大人に自分の使命に気づかせるという使命を持っている。使命を果たそうとして生きるとき、必要なものは同じように使命に気づいて生きるものとの出会いによってもたらされる。」などなど、勇気や生き甲斐をを与えられる言葉が多い。

  • あっという間に読み進められました。今まで読んだ著者の作品の中で、一番、物語っぽいなぁと感じました。

  • 最高!最初の10ページで目頭すでに熱くなる。人生を歩んでいる途中、途中でまた再読する永久保存版です。
    ただ、最初の方が良かった。終わりに近づくと、少し分かりづらいつなぎかと思い、星4つ。

  • 引き継ぐ命の物語。
    親、先祖から引き継がれてきた命の大切さを感じられます。
    最後は特に感動です。

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著者プロフィール

1970年生まれ。愛媛県出身。東京学芸大学卒。2005年から作家としての活動を開始。『賢者の書』でデビューする。10年『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』が13万部のベストセラーとなり、映画化、舞台化された。「喜多川ワールド」と呼ばれるその独特の世界観は、小学生から80代まで幅広い年齢層から愛され、その影響力は国内にとどまらず、多数の作品が台湾・韓国・中国・ベトナムでも翻訳出版されている。執筆活動だけではなく、全国各地での講演やセミナーも開催している。主な著書に、『おいべっさんと不思議な母子』『One World』『秘密結社Ladybirdと僕の6日間』『[文庫]福に憑かれた男』『君と会えたから……』『手紙屋』『株式会社タイムカプセル社』『運転者』等がある。

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