母さんのコロッケ ~懸命に命をつなぐ、ひとつの家族の物語~

著者 :
  • 大和書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479793298

感想・レビュー・書評

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  • 不思議だけど、必要な時に必要な本が目の前に現れてくる。
    この本も、自分にとって今一番大切な事を教えてくれた。

  • 渡利秀平はノルマに追われる自動車メーカーの営業マンを退職し、思いがあり学習塾を自営することになる。すでに一児の父親だが退職し間もなく妻涼子が長男を妊娠。学習塾の運営は決してうまくはいっていない中、不安ながらも長女寛奈の存在や妻涼子、塾アルバイトの武田顕一の支えで塾を軌道にのせようとする。そんなある日「ルーツキャンディ」を手に入れることになる。このキャンディを舐めて眠りにつくと、秀平の父、母。祖父など近い先祖が夢に出てきて戦中、戦後の混乱の中でのいかにして生き抜き、いまの秀平があるかを物語る。
    一人の子どもが産まれることにはドラマがあり、その親が産まれたときもドラマがあった。子どもを思う親の気持ちはいつの時代も変わらないし、子どもの寝顔やその成長や行動から大人が教わることが多いと改めて考えさせられる。
    ちなみに題名の「母さんのコロッケ」のコロッケにもルーツがあり秀平の母千鶴子の作るコロッケはじゃがいもばかりりでおいしくないが、これも母千鶴子の父の後妻ハツ子が戦後に子育て生活のための副業で営んだコロッケの配達を千鶴子らにお手伝いさせた、そのときの思い出の詰まるコロッケ、ということになる。

  • 子を産み、育て、命のバトンをつなぐとはどういうことなのか。

    今は亡き祖父たちが見せてくれた、家族を守るために命がけで生きていた時代の数々の光景。

    ちょっと不思議なフィクション小説でありながら、僕にとっては最高の育児書です。

  • ご先祖様がつないでくれた、この命。幸せというのは、自分の好きな物を手に入れた時に感じるのではなく、人間は誰かから必要とされていると感じて初めてそれを幸せと感じる。
    ご先祖様達が自分の子や孫、その先の子供達によりよい時代をということで築いてくれたこの時代。私達もこの平和で美しく、世界からも愛され、尊敬される国を子孫まできちんと残していかないといけないと思いました。いつまでも平和でありますように。

    最後に、主人公の奥様が女性の鏡ですね!

  • 自分が生まれたのがいかに奇跡的かを教えてくれる本。

    今まで両親や祖父母の偶然の出会いに感謝したことはあったけれど、さらにその前の世代が第二次世界大戦のときに生き抜いてくれたことはあまり考えたことがなかった。

    医療が発展している時代、国に生まれ育った私は、どこかで「子供を産むのは母子ともに命懸け」ということを忘れていた気がする。
    どちらも命懸けなんだ。

    生む決意をしてくれた両親に深く感謝したい。
    そして、多くの祖先の出会いに感謝したい。


    登場人物が多かったり、突然話が飛んだりするのが少し読みにくかったものの、最初に家系図が書いてあったので助かった。

  • 心があったかくなる本

  • ご先祖様のありがたさ

  • 自分という存在に
    改めて感謝させられる一冊

  • 子どもが生まれてきた時、「この真っ白なキャンバスに自分が色をつけていくんだ」と思った。その果てしなく広がる可能性に感動し、その責任の重さに、身が引き締まった感覚を思い出した。

    「子どもは私たち大人にその使命を伝えるためにやってきた」という言葉が、すとんと心に落ちてきた。

    そう、子どもは、いろいろなことを教えてくれる。
    大人は、矛盾していること。
    大人は、素直じゃないこと。
    大人は、臆病なこと。

    「親になる」「親であり続ける」という、この素晴らしい体験をさせてくれている子どもに、改めて感謝の気持ちを持った。
    そして昨日の夜、やすらかでかわいらしい寝顔を見ながら、この子が生きていくうえで糧となるような「記憶」を残すにはどうしたらいいのかな、と真剣に考えた。

    答えははまだ出ていない。
    子育てにはマニュアルはないので、あの子が巣立つ日が来るまで、「これでいいのかな」という葛藤は続くだろう。

    「自分がどう生きたかが、子どもの生きる力になる」という言葉を胸に刻んで、これからを過ごしていこうと思う。

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著者プロフィール

1970年生まれ。愛媛県出身。東京学芸大学卒。2005年から作家としての活動を開始。『賢者の書』でデビューする。10年『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』が13万部のベストセラーとなり、映画化、舞台化された。「喜多川ワールド」と呼ばれるその独特の世界観は、小学生から80代まで幅広い年齢層から愛され、その影響力は国内にとどまらず、多数の作品が台湾・韓国・中国・ベトナムでも翻訳出版されている。執筆活動だけではなく、全国各地での講演やセミナーも開催している。主な著書に、『おいべっさんと不思議な母子』『One World』『秘密結社Ladybirdと僕の6日間』『[文庫]福に憑かれた男』『君と会えたから……』『手紙屋』『株式会社タイムカプセル社』『運転者』等がある。

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