申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。

  • 大和書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479794332

感想・レビュー・書評

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  • そうそう!わかる〜!と思いながらあっという間に読了。
    読ませてあげたい人の顔がちらほら浮かんできた。

    この本は、コンサルタントを上手く使って情報収集&自分で判断・決定してゆきましょうね、ということを言っている(当たり前のことを言っている)。
    最近はコンサルブームも終わったのかなと思っていたけど、この本が人気だったところを見ると、まだまだ続いているのかな。それとも、コンサルタントに痛い目にあわされた方々に好評なのかしら…コンサルタントは相談役なのであって、勝手に決めてくれる人ではないのだけども。

  • コンサルタント経験豊富な著者が、コンサル業界が勧める「改革手法」や「ビジネスモデル」のほとんどは企業の業績向上に役に立たないどころか、むしろ有害ですらあることを告発している。かつて行政におけるマネジメント手法として、政策評価や人事評価に可能性を感じていたが、だんだん失望を感じるようになっていた評者にとっても、問題意識がかなり一致するところがあり、とても興味深く読むことができた。
    本書の要点は、ビジネスの成否を左右するのは「人」であるのに、コンサルが推進する「バランススコアカード」「業績給」「コア・コンピタンス開発」等の様々なモデルや理論は、いずれも職場から人間性を奪うものであり、それゆえ必ずしも効果を発揮しないし、往々にして業績を悪化させてしまっているというものだ。そして、著者は、これ以上職場から人間性を奪うのはやめて、マネジメントモデルなどに頼らない「人材のマネジメント」(話し合いなど)にもっと注力するべきだと主張する。
    本書を読んで感じたのは、紹介されている多くのケースで、「手段」が「目的」化してしまうという「目的の転移」が起きていて、それが問題の根本になっているということだ。戦略計画や業務最適化の報告書を作ること自体に価値があるのではなく、それらを作るプロセスで考え、学び、創造することに意味があるのだという著者の意見に同感である。人事評価にかかる書類作成に上司も部下も追われて、上司と部下のコミュニケーションが疎外されているというのも本末転倒そのものである。そもそも何が目的なのかをしっかり見極めたうえで、理論や手法の限界を理解して、うまくそれらのツールを使っていくことが必要であろう。
    また、「数値目標」や「業績管理システム」が、目標達成のために「適応」しようとする行動を招いたり、職員の士気を下げたりしているという事例によく表れているように、「メソッドやベストプラクティスやビジネスソリューションを実行するまえに、それを実行したらどのような影響が出るかについて、あらかじめよく考えること」が必要だと思う。

  • 今やマッキンゼーやボストンコンサルティングという名を知らない者はいない、というくらいにその名を冠した書籍が巷であふれている。
    それくらい、コンサルティングには信仰めいたものを抱く人が多く、この本はそんな彼らの目を覚ますために書かれた本である。

    一流大学を出てトップファームに所属するコンサルタントといえど我々と同じ人間であり、それっぽいフレームを信奉したり、木を見て森を見ない過ちだって犯してしまう。
    結局のところ、密にコミュニケーションをとることが彼らの能力を最大限引き出し、ひいては自社の成長につながるのだ。


    言っている内容は至極当たり前なのだが、口調が軽快で読みやすく、すんなり入る。

  • 次々に新しい経営理論やはやりの手法が出てくるが結局何も変わらない。そんな理論だけではダメなのがよく理解できる。
    周囲とコミュニケーションをとる
    自分で考える
    当たり前のことが、大切

  • 人間は理性的ではないという根本に立ち返ればなんとなく分かることを、「ロジカル」という概念で押し殺している社会(会社)構造の闇を突いていると思う。
    数字や科学で解明できていないことがあるのだから、もし数字や科学を中心として経営等が成り立つと考えている我々にも問題があると思う。全ては「一寸先は闇」。
    所詮人間と人間がやることなんてそういうもんだよと思いつつ。

  • 【なぜ読んだ】 新聞の書評で高評価だったため。また、業務でコンサルタントと一緒に仕事をすることも多くなってきて、“?”となることも増えてきたため。
    【なにを得たかったか】 コンサルタントの手法・アプローチとどのように付き合うのがよいか。
    【感想】 
    納得できる部分とできない部分はあったが、主観的・主体的であって評論家的な展開になっておらず、読んでいて面白かった。事例が多くあるのも、読んでいて楽しい。
    以下3点は、改めてそうだな、、と思った。
    ・コンサル手法は顧客にありがたがれるが、結局は人と話し合って自分で考えたものでないと、資料を作ってもらうだけになってしまう
    ・公平で客観的な業績評価など不可能である、という点。
    ・大きな成果は、一人では成し得ない。個々の弱みと強みをチームで補って業務を行う。
    以下2点は、どうかな、、と思った。
    ・特性要因図の解釈。使い方が違うような気が。。
    ・諸事情で仕事が優先順位の5番目になったときに、上司から仕事への注力を促されて反発しているところ。上司とのコミュニケーションができていなかった?
    =====
    【気になった部分抜粋】
    ・「この在庫管理システムを導入すれば、問題を解決します」とクライアント企業に断言しながら、肝心なのはサプライチェーンの部門間の信頼関係を構築することだったり、、、
    ・モデルや理論などは捨て置いて、みんなで腹を割って話し合うことに尽きる。
    ・「戦闘準備において、作戦そのものは役に立たないことを常に思い知らされたが、作戦を立てる行為こそが重要だ」
    ・経営改革手法はあくまでもガイドラインとして、あるいは各自の判断で用いるべきツールだと考えるようになった。
    ・方法論は新しい洞察を得るためや、型にはまった考え方から抜け出すために利用するものだと考えていた。同僚のコンサルタントたちもも私も、方法論通りに実行すれば必ずプロジェクトが成功するなんて思ってもいなかった。
    ・コンセプトが未完成のうちに関係者全員に見てもらえれば、ダメな案は早い段階でボツでできるのに、馬鹿だと思われたくない気持ちが邪魔をする。
    ・人間が原因で起こる問題を解決するのは、問題を分かっている人と話し合うのが一番いい。
    ・人間は道具を使うのが好きだ。だからこそ文明を築くことができた。危険なのは、ツールそのものを解決策と勘違いし、ツールさえあれば関係者が連携しなくてもうまくいくと思ってしまうことだ。
    ・企業がこれほどまでに数値評価基準を好むのは、数値評価は本物で信頼できるデータだと勘違いしているからだ。「数字は嘘をつかない」という間違った経営スローガンも、モニタリングやデータの収集・集計や結果報告を行うのは人間だということを忘れている。
    ・業務オペレーション改善のポイントは、それぞれのオペレーションから人間の判断を取り除くことではなく、オペレーションを行う人間の判断を向上させることにある。(その判断力こそ、かなり向上させる必要のある場合が多い)
    ・従業員は評価基準に合わせようとする!評価基準を操作してしまうことすらある!/指標スコアカードは自動車のダッシュボードと同じ。ダッシュボードだけ見て道路を見なければ、衝突してしまう!
    ・日々のふれあいの中で指導やフィードバックを行ってこそ、社員の業績は向上する。上司と部下(そして同僚間)のコミュニケーションこを、業績の向上には欠かせない手段だ。
    ・マネージャーとして成功しなかった人がどうしてリーダーの座を獲得できるというのだろうか?部下をインスパイアし、ヤル気にさせる方法を知らない人が、どうして優れたマネージャーになれるだろうか。
    ・<グーグルによる「優れたマネージャーの8つの習慣」>
    ・「このあいだ私た指示書だけど、ちょっとわかりにくかったかな、と思って。まずなにからやろうと思ってる?」
    ・付き合いをしないマネージャーは、マネジメントはサイエンスだ、ルールだ、方法論だと、専門家の言うことを鵜呑みにしてしまっている。そのせいでよそよそしい態度を取り、自分で判断しようともせず、ひたすらガイドラインに従っている。
    ・ピータの法則:階層社会では、すべての人は昇進を重ね、各々の無能レベルに到達する。
    ・このようなタレントマネジメント精度を実施すれば、最終的には全員が注目されない中間層へ押しやられてしまい、その結果、凡庸な組織になってしまうのだ。
    ・ガードナーは「リーダー」が「マネージャー」とは異なる点を6つ上げている。1:物事を長期的に考える、2:物事を広い視野で見る、3:自分の管理下以外の人々にも影響をおよぼすことができる、4:人々の言動に潜む非合理的で、無意識の、目に見えない面を大事にする、5:多くの関係者とうまく付き合うための政治的手腕を発揮する、6:現状に疑問を抱く。
    ・「僕のビジネスモデルはビートルズだ。4人の男がお互いの悪い部分をうまく抑え合っている。それでバランスが取れて、ただ4人の能力を集めたよりはるかに大きな相乗効果が生まれた。僕はビジネスも同じだと思っている。ビジネスでも偉大なことは決して一人では成し遂げられない。チームで成し遂げるんだ。」
    ・「どうしたら人の命を救う薬を開発できるか」と言っていた企業が「どうしたら巨額の利益を出せる薬品を開発できるか」などと言い始めたりしたら、企業が衰退に向かっている警告のサインだ。
    ・多くのビジネス問題の根本的な原因は、ビジネスとは「人」であることを見失い、ビジネス問題とそのソリューション(解決策)について間違った思い込みを持ってしまうことだ。
    ・専門用語を使うと、考え方が本筋からそれたり、狭まったりしてしまう。実態をありのままに表現してこそ、問題が初めて明らかになるのだ。
    ・それがどんなに頭が切れる人間だとしても、嫌なやつと発展的な関係を築くことは望めない。
    ・メソッドやベストプラクティスやビジネスソリューションを実行する前に、それを実行したらどのような影響が出る家について、予めよく考えることだ。他社がやっているからと言って、それを実行することが正しいとは限らない。
    ・新商品開発の成功の秘訣は、早く完成させることではなく早い段階で失敗することだ。ポイントは、その商品のダメな点をなるべく早いうちに洗い出し、欠点を取り除くことによって、その後の余計な手間を省くことである。

  • 元コンサルタントの懺悔。コンサルタントは、(本気で思っているか商売上そういう振りをしているかは別として)形式化されたリーダーシップや人材マネジメントといった方法論やツール、プロセスを適用することで常に効果を発揮すると考える。一方、クライアントはコンサルタントが解決策を示してくれると考える。結果、現場のことを分かっていない人間があれこれやって前の状態よりも悪くなる。本来方法論などは、そこで働く人々がより良く連携できるようにするためにあるはずのものが、いつのまにか方法論そのものが重要視されて人が置き去りにされる。
    いろいろと思い当たるフシがあって腹立たしくなったり、この先も、現場を見ずに方法論を押し付けてくる人が出てくることは普通にあるだろうと残念な気持ちになったりしたけれど、この本で指摘されていた「業務をまわしているのは人。コミュニケーションをもっと取りましょう」と「コンサルタント(他人)に頼り過ぎず自分で考えましょう」という当たり前なことが大事なんだと思った。

  • 最大のソリューションは”コミュニケーション”でありあらゆるコンサルサービス・数値化した物は真の解決ではない。はい。ずっとそう思ってました。
    ただ使う側の組織・経営者・管理職がだめだと更にね。

  • これまで読んだ中で、最高のビジネス書といっても過言ではない。過激なタイトルからキワモノのように捉えられるかもしれないが、そうではない。単なるコンサル批判ではなく、本当に必要な経営メソッドの数々が、凡百のビジネス書とは違う切り口で綴られている。作者の実体験に基づいた事例が数多くあり、かつユーモアに富んだ語り口も素晴らしい。経営に近いところにいる人にとって必読の一冊。

  • 『人材はビジネスの一部分ではない。人材なくしてビジネスは成り立たないからだ。オフィスや設備だけでは、どうしようもない。ビジネスとはすなわち「人」なのだ。

    非理性的で感情的で気まぐれで、クリエイティブで、面白い才能や独創的な才能を持っている人間たちのことだ。そんな人間が理屈どおりに動くはずがない。

    私が本書によって訴えたいのは、これ以上、職場から人間性を奪うのはやめるべきだということ。そして人材のマネジメントさえできれば、あとはすべてうまくいったも同然ということだ。』

    すごく納得。仕事の仕方を考えさせられる一冊。結局はコミュニケーションが全てなんだな。戦略的コミュニケーション能力がさ。

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