エレンディラ (ちくま文庫)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480022776

感想・レビュー・書評

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  •  ガルシア=マルケス著。「大きな翼のある,ひどく年取った男」「失われた時の海」「この世でいちばん美しい水死人」「愛の彼方の変わることなき死」「幽霊船の最後の航海」「奇跡の行商人,善人のブラカマン」の六篇の短編、「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の話」の中篇を含む。
     いかにもマルケスらしい作品群だった。どれも「百年の孤独」の延長線上にあるような話だが、海がモチーフの中心になっていることが多い点が少し異なる。
     どの話も非常に面白いのだが、ストーリーの密度としては「奇跡の行商人,善人のブラカマン」と「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の話」が抜きん出ているだろう。しかし個人的には「幽霊船の最後の航海」が好きだ。少しマルケスらしくない、同じラテンアメリカの小説家コルタサルのような作品なのだが、幻想が現実と結びついてめちゃくちゃになるシーンが爽快でたまらない。

  • 『百年の孤独』と『族長の秋』の間に書かれた作品集で、表題作を含めて7つの短篇を収録する。いずれも温帯湿潤の日本の風土からは限りなく遠い、太陽に照りつけられ乾燥した風に吹きさらされた風土の物語だ。そこは人間の感情の在り処からもまた"異国"だ。篇中でもっとも印象的なのは、冒頭の「大きな翼のある、ひどく年取った男」だろう。いわゆる魔術的リアリズムの横溢した作品だ。また、小説としての充実度からすれば、やはり表題作「エレンディラ」か。

  • 全体的に幻想の入り混じった苦味のあるお伽話だった。序盤のカニバッシング率がすごい。ベッドにカニって入ってくるものなのか…!

  • 個人的には、「この世でいちばん美しい水死人」と「愛の彼方の変わることなき死」がよかったと思う。

    それと、タイトルにもなっているエレンディラのお話は、なんというか凄まじかった。

    登場人物でいえば、ハーバード氏やブラカマン、エレンディラのおばあちゃんなんかが印象的。

  • 蟹が気になる。

  • 数年前、『百年の孤独』で2回挫折したので、ひとまず短篇で。
    友だちの本棚からするりと抜け出て鞄に入ってきた、人見知りをしない小説でした。
    色彩とか汗とか埃とか、感覚的なものに頼らずに書かれているような。
    みんな花柄のシャツ着たり汗かいたりしているのに。
    感覚の対語って・・・・・?

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「人見知りをしない小説でした。」
      面白いね、、、残酷な童話って妖しく人を誘うから、そんな風に思えるのかも。。。
      「人見知りをしない小説でした。」
      面白いね、、、残酷な童話って妖しく人を誘うから、そんな風に思えるのかも。。。
      2013/04/15
  • 060318
    後表紙によると
    大人のための残酷な童話
    であるらしい。

    今は、
    「この世でいちばん美しい水死人」
    というのがお気に入り。

    ある日ある村に水死体が流れ着いて、
    村中総出で
    その水死人ための葬儀を行うはなし。

    葬儀の準備をしながら、
    この人の名前はエステーバンに違いない、
    いや、ラウタロだ、
    立派な仕事をしたはずだ、
    ウドの大木いわれていたのではないか、、、
    とさまざまに想像をめぐらす。

    海に流して弔ったあと、
    また戻ってくるかもしれない、
    エステーバンという水死人のために、
    玄関の鴨居を高くして、
    井戸を掘り、
    花の種を蒔く。

    水死人が
    村の風景を美しく変えていく。

    村人が水死人に対する思いを
    飛躍させていく描写がかなり楽しい。

    ふしぎなまれびとが、
    世界を幸せにしていく様の妙な説得力とか。


    ほかの短編も荒唐無稽な物語ながらも、
    とてもリアルな読中感があって、
    かなり密度の濃い童話的な世界が詰まっているので、
    次に読んだら、また別の話が好きになるかも。

  • するする読めてめちゃくちゃ面白いんだけど何がどう面白いのか説明できない!想像していく行為が楽しいというのか。1作短いんだけどそれぞれインパクトが強くて間を空けないと次の作品にいけない。読み終えると酔っ払って放心したみたいにポーッとなる。文章はきれいに繋がっているのに全く予想できないものが飛び出てくる。当たり前のように、そっけないほど自然に素っ頓狂な文章が展開する。何が飛び出てくるかわからないワクワクとした興奮。静かな文体だからかじわじわくる。冗談のようで大真面目なこの感じが超ツボ!
    「この世でいちばん美しい水死人」が一番好き。絶句する面白さ。村人たちのテンションの高揚に合わせて読んでるこちらも胸がいっぱいになってくる。スーパー面白い。エステーバン!!!!(;_;)
    表題作の「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨な物語」淡々とした文体で凄い話が展開する。文章の熱が凄い。一文一文にエネルギーがあるというか、読む端から風が吹いて暑さに汗が滲み、悲惨に耐え、和やかさに頬が緩み、手に汗握って虚脱してしまう。

  • 昔読んだ本をふたたび。海の波間にゆれる、カリブのお祭り騒ぎ、非日常と日常。

  • 羊皮紙の時代、記録されるのは重要な意味をもつ法・文学・芸術だけでした。日常の出来事は記録されることなく人々の頭の中に刻み込まれます。記憶に留めるために、それらの事柄は神話に落としこまれ、神話と融合し語り継がれます。マジックリアリズムに溢れた7篇の物語です。

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