エレンディラ (ちくま文庫)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480022776

感想・レビュー・書評

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  • 私にこれらの物語の魅力を教えてくれた人たちの熱っぽいさざめきを耳に注いで扉を開けば、心は一息で日常のトンネルをくぐり抜けて異界へ飛び立っていった。
    酷薄の海には死と過去が満ち、酷烈な日差しが照りつける砂漠には生がある。その上を遊泳する風がもたらす、幻想と現実、美醜や清濁が見事に融合した情景に陶然とした。
    特に印象に残ったのは【エレンディラ】。力強く、圧倒的な生命力を漲らせている金の少女の疾走は孤独を秘めているとしても、未来と自由への跳躍だと信じてやまない。足跡から立ち上るむせ返るほどの生の香りが肌に沁みる。

  • 急がないように、急がないように、大事に、大事に読みました。

    長編しか読んでいなかったけれど、短編もいい!
    百年の孤独や族長の秋とは全く違う世界が存在している!

  • 面白い,の一言に尽きる短編集.「百年の孤独」と「族長の秋」との間に書かれたらしいが,ガルシア・マルケスの入門に最適.すべて奇妙なお話し(且つ,どれも何とも言えず美しく,映画的)だけど,南米で普通に起こっていることに多少の尾ひれをつけただけらしい.南米って,どんなところだ,一体? こういった珍妙なエピソードをひたすら繋げたのが「百年の孤独」と思えば良い.僕のお気に入りは最初の「大きな翼のある,ひどく年取った男」と最後の話で本のタイトルにもなっている「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」かな.そういえば,どのお話しも良いタイトルがつけられてるなあ.

  •  『エレンディラ』は一見それぞれが独立しきった短編集のように見えますが、独立しながらも、必ずどこかで他の話と繋がっているということを見つけてからは、「物語」と同時に「繋がりを見つけること」も楽しめる要素になりました。
     個人的に『この世でいちばん美しい水死人』がお気に入りです。

    • Co_mtdさん
      何度も読み返したくなるような素敵な仕掛けですよね。わ!ほんとですか!どんなに大きな美丈夫なんだろうと思ってドキドキしながら読みました。
      何度も読み返したくなるような素敵な仕掛けですよね。わ!ほんとですか!どんなに大きな美丈夫なんだろうと思ってドキドキしながら読みました。
      2012/08/28
  • 短編集だが、エレンディラが一番話が長くて面白い。エレンディラの考えていることがよく分からず何度か困惑した。

  • 荒廃した海沿いの灰色の町 みすぼらしい老いた天使 バラの香り 美しい水死体 幽霊船 搾取される少女
    人間の悪意や悲しさに満ちていて、幻想的で、独特すぎる世界観
    こんなにも意味がわからないのに映画のワンシーンのように情景が浮かぶ不思議

  • どの作品もシビアなのだけど、浮遊感と滑稽さがあって何とも心地好い。

  • 短編集。
    表題作より冒頭の「大きな翼のある,ひどく年取った男」が印象的だった。

    灰色がかった生臭くむせ返るような世界観。幻想的でありつつ現実的。
    全体的に重く残酷な内容なのに、それほど不快に感じないのは民話や寓話の雰囲気をたたえているからか。
    好き嫌いで言えばあまり好きとは言えない雰囲気だけど、「百年の孤独」もちょっと気になる。

  • タイトルの「エレンディラ」は、其れ程、面白くなかったが、他は面白かった。

  • この作家の小説には、どんなに短いものであっても並々ならぬパワーを感じる。
    ロジックが崩壊している、という意味ではもちろんないが、「それはちょっと強引すぎる」と普通なら言いたくなる展開でさえ、気にしている方が馬鹿らしく思えてきてしまう。
    その理由の一つとして、スケールの拡大があげられる。扱っているテーマが大きい、のではなく、日常的なモチーフや出来事が、そのまま小説の世界観と連結しているのだ。つまり1行の濃度がとてつもなく強い、ということ。

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