貧乏サヴァラン (ちくま文庫 も 9-5)

著者 :
制作 : 早川 暢子 
  • 筑摩書房
3.69
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本棚登録 : 1666
感想 : 114
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480033659

感想・レビュー・書評

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  •  聞いてはいたけど予想以上に自意識凄かった。でもまあうわあ自意識ババアwwwつって動物園の檻の中を見る感覚で読んでいけば大丈夫だった。くっそ笑った。周りでよく「吐き気がした」「殺してやりたい」「この世で一番醜いBBA」とかの感想を聞いてたのでかなり緊張して読んだんだけど、その自意識部分が笑える人なら大丈夫だと思う。
     レシピとか懐古厨なところはそれなりに感心して読んだ。結構いいこと言ってる。こんど作ってみようと思う。

  • ―――西洋式と日本式のおかずが自分で素敵に造れる私なんかは天下の幸福ものである―――

    わたしのすきな文章を書く何人かがお薦めしていたのでいつか読みたいと寝かせつづけてやっとこ読了。
    言葉を選ばぬ率直な感想は
    たべものの表現がお上手でお上品な食レポ。
    森さんにかかれば、シュークリームの上の粉砂糖は春の淡雪よりも早く溶けてしまう。
    シュークリーム(シュウアラクレェム)がクリームの入ったキャベツという意味なのもシャレオツである。

    酔いたいときにちゃんと酔わせてくれる綺麗なママ、というかんじ。
    場末感はないのだけれど。文章に包容力。

  • 品を備えた人が書く文章というのは、いじけてもサマになる。好奇心旺盛な人も、どんな状況に置かれてもそれを楽しんでしまうところがある。そんな感じの人。
    どくとるマンボウの北さんもそういう感じがあってなんか似てるかも。共に偉大な医者作家の子だし。
    最後のほうで、友人知人に宛てた書簡もあるけど、必ず食べ物の話になるほどの食いしん坊さん。
    サヴァランも、作家の名前というだけじゃなくてお菓子のサヴァランの意味と響きのよさで、貧乏サヴァランと自称しているのかと思います。

  • 生い立ちゆえに肥えてしまった舌。年老いて、もはや豊かではないけれど気まま。一人で、狭いアパートで暮らす。夜の間つけっぱなしの蛍光灯。素敵。

  • この著者の持って生まれたセンスを感じた。
    でも、文章が読みにくく、読むのに時間がかかった。

  • BSフジ「原宿ブックカフェ」のコーナー“文壇レシピ”で登場。
    http://nestle.jp/entertain/cafe/


    本の中に登場するあの美味しそうな一品を
    実際に再現してみよう!というこのコーナー。

    第57回目に紹介されたのは、「貧乏サヴァラン」に登場する『ロシア・サラダ』。

    ―白身の魚を酢と水との半々で茹でたのをむしり、青豆、ジャガイモ、人参のさいの目切りを茹でたもの、
    生の玉葱のみじん切りを交ぜて、フレンチソースで和えたもので、

    ご馳走すると、例外なく美味しいと言う。


    原宿ブックカフェ公式サイト
    http://www.bsfuji.tv/hjbookcafe/index.html
    http://nestle.jp/entertain/bookcafe/

  • 食事に関するエッセイや小説などを纏めた一冊。
    この時代の生活が見えるのが楽しい。
    内容は面白いけど、読点で結ばれた一文がとても長くて非常に読みにくい。

  • 実際に会ったら相当大変な人だろうな、と思われる森茉莉。
    その価値観には深く共感してしまう。食べ物への執着やこだわりや、毒舌が他人事と思えない。
    森茉莉が現在も生きていたら、30過ぎて自分のことを女子とのたまう人々をばっさり一刀両断であろうな、とにやりとした。
    自分のことを森茉莉とかいう変なばあさん、と自称するあたりに美意識を感じる。
    作中に、父である鴎外や、室生犀星やその他交流のあった文豪の素顔が描かれていて読み物としてとても面白いのはもちろん、食べ物の描写が素晴らしい。
    森鴎外の著作権がきれて、食うのに困って文筆家業を始めたというが、DNAというか才能なんだろうなあ。
    食べ物の描写になるとひときわみずみずしく、鮮烈な印象を残す。すごい。

  • また読み返さなくては。出てきた馬鈴薯スープは何度も作った。意外とあっさりしている。とても簡単で美味しい。

  • ○森鴎外の長女、森茉莉さんのエッセイ。「贅沢貧乏」に続いて読みました。貧乏な暮らしのなかに自分だけの本当の贅沢を見出しているのが「贅沢貧乏」でしたが、もちろんその考えはこのエッセイ集でもしっかり芯を貫いています。

    ○ですが、贅沢貧乏よりも美味しそうな食がたくさん登場します。洗濯には四苦八苦し、掃除もろくにできないとまで自分を面白おかしく描いておいて、料理だけはすごいのだという自信というか、贅沢をしているのだという自負みたいなものが感じられます。

    ○また、この本はなんといっても有名な「饅頭茶漬け」が登場します。饅頭茶漬けとは森鴎外が好んだという料理(?)で、もらってきた白い葬式饅頭を四つに分けてご飯の上に乗せ、煎茶をかけるというもの。また、砂糖で煮た杏をご飯の上にかけるとか。

    ○そんなきわどい料理はせいぜいこの2つだけ(刺身を醤油と酒で煮るというのは私の祖母もやるので驚きません)で、ほかは読んでいるだけで食卓が浮かび上がってきて、「ぼくも作れるのではないか」と思ったりする素敵な内容になっています。

    ○読みづらいという人をよく見かけるのですが、やはりこれは思いついたことをそのまま書き足しているような文章だからなのではないかと思います。僕にとってはむしろ、その文体のおかげであたかも森茉莉さんが語りかけているように感じられます。

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著者プロフィール

1903~87年、東京生まれ。森鴎外の長女。1957年、父への憧憬を繊細な文体で描いた『父の帽子』で日本エッセイストクラブ賞受賞。著書に『恋人たちの森』(田村俊子賞)、『甘い蜜の部屋』(泉鏡花賞)等。

「2018年 『ほろ酔い天国 ごきげん文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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