ルポ 虐待: 大阪二児置き去り死事件 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480067357

感想・レビュー・書評

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  • 虐待された子供に携わる人間の
    誰一人として、リアリティがない。

    子供や孫が、心配なら、
    何故、子供が成長するために
    現実的な援助をしなかったんだろう?
    特に経済面で母親が苦労する=身内である子供が辛い思いをするとは想像しなかったのか?

    安易に産んで(産ませて)安易に放棄する
    エイズの心配から、性教育が早まったけど
    家庭の在り方や、困った時の現実的な対処法とか
    義務教育で教えていければいいのにと考えます。

    身の回りで誰も助けてくれないなら、
    行政に丸投げでもいいじゃない。
    命を殺してしまうよりは。

    生育歴から、彼女の選択が、
    間違った方へ間違った方へと流されていく動きが、とても切なかった。

    だからといって犯した罪の大きさは計り知れないけれど。

  • 2人の子を餓死させた母親が、誰にも助けを求められないと思い込んでいる孤立した状況にあって、そういった意味では被害者ともいえるような立場の人だったということがわかった。
    でも、こちらから連絡をしても返事をしてくれない、助けを求めてくれない人やその子どもに対して、社会や行政はどうやって介入していったらいいんだろう。ここまで特殊な状況にある人をすくい上げるにはどれだけの時間と労力が必要なんだろうと思うと、今後こんな事件がまた起こらないとも限らないなと思ってしまう。

  • 何故、あんな惨い事が起きたのか、
    特別な事だったのか、誰にでも起こり得るのか
    防ぐ事は出来なかったのか…。
    参考になるルポ

  • 映画『子宮に沈める』の元となったルポルタージュ。

  • 2010年に大阪で起きた2児置き去り事件のルポ。母親のとった行動は当然ゆるされるべきではないが、ルポを読み進めるうち、母親が誰にも頼らず、頼れない状態であったという側面も見え隠れする。周囲も結局2人の子供を助けられなかった。一見、特異な事件のようで実は身近に同様のことが起こりえる、そのリスクに気づかされる一冊。

  • センセーショナルな「虐待死事件」の背景を丁寧に掘り下げることにより、貧困問題、社会的孤立問題など、現代社会を取り巻く諸問題を露わにするルポルタージュの力作。
    深く潜っていて目に触れられず、そして誰しも目を向けたくない問題だと思う。しかし過去を振り返ると、私自身もこうした問題に関わりを持つ当事者の一人だということに気が付かされる。
    ページをめくるのたびに気分が重くなる本だった。

  • ○ルポライターの杉山春氏の著作。
    ○2010年夏に起こった大阪二児置き去り死事件について、加害者である母及びその周囲へのインタビュー等を通じ、「なぜ防げなかったのか」「原因はそもそも何か」「周囲はどのようにすればよいのか」といった、数多発生する虐待事件への対応について、問題点を提起する作品。
    ○関係者へのインタビューや裁判記録等から、この事件の残酷さが、本文中からひしひしと伝わってくる。特に、インタービューの生々しさや児童の苦しみに関する描写は、不快に思うほどリアル。
    ○日々のニュースで、あまりにも多くの虐待事件が報道され、一部で麻痺してしまっている感もあるが、本書を読むと、その残虐性がよみがえってくる。
    ○加害者である母についても、やや同情すべき点はあるのかもしれないが、それを含めて、自分の身近にありつつ知らない世界を思い知った気がする。
    ○ぜひ、子どもを持つ親は読んでもらいたい。

  • あまりにもむごい。むごすぎる。
    閉め切った部屋で、気温がおそらく40度を超える日もあったろう、もちろん食事も与えず三歳と一歳の乳幼児は、汗もなめ、尿も飲み、便も食べていた形跡があったらしい。(本書には書かれていないが)そして寄り添うようにして変わり果てた姿で発見される…。
    本書はなぜ、このような状況に陥っていったのかを、
    この被告の立場が紐解いていくのである、けれども、
    いくら、生育歴がとか、解離性人格障害だとか、一因はあるかもしれないけど、でも、犬や猫にも自分が産んだ小さくて弱いものを守る保護本能があるのに、
    それ以下としか思えない。
    結婚を機に立ち直るチャンスはあったのに、そのつかの間の幸せさえも、自らの浮気で壊してしまうのである。
    果たしてこの被告は塀の中で、自分の犯した罪の重さを
    、いまだ認識できていないのではないかと疑問になった。
    (殺意はなかったと言ってるらしい。)

  • 衝撃的なあの事件から3年半の年月がたった。大阪で3歳と1歳の息子を餓死させた母には懲役30年の刑が確定している。
    本著は当事者達の周囲状況を丹念に追ったルポ。

    事件はもちろんあってはならない事だが裁判官が元夫に「託児料はいくらか知っているか?」聞いたところ元夫は「知らない」と答える。それでも子供への愛情はあるという。
    それは本当なのかもしれないが、けれどあまりに現実を見ていない。若い母親が金も協力者も得れずに孤立してしまったのは、この家族の重大な過失であり、それは「おかん神話」とでも呼ぶのだろうか。母性という無尽蔵なパワーが女性には生来的にあり、全ての家庭の問題をたちどころに解決するだろうと考えているところに起因しているように思う。

    事件の一年前まで、この家族は平凡な家庭生活を営んでいたというのにも驚く。人が堕ちる時のスピードは想像をはるかに越えている。
    昨今読んだルポものの中でも断トツのオススメ。

  • いたたまれない気持ちで読んだ。女性は自分で身を守れないと被害者になりがち。まして、彼女のように居場所がない状態で育ったらなおさら。今の日本はこういう事例に対処できないかも。

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