- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480075659
作品紹介・あらすじ
資本主義は私たちの生存基盤を食い物にすることで肥大化する矛盾に満ちたシステムである。世界的政治学者がそのメカニズムを根源から批判する。(解説・白井聡)
感想・レビュー・書評
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この本を読んで、資本主義の新たな側面を知り、人種、社会、自然、公権力との複雑な絡み合いが目から鱗だった。著者の生態的社会主義への提案が特に興味深く、資本主義の限界を超える新しい視角を提供してくれた。読むのは大変だったが、その価値は大きいと感じた。
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・1/3位読んで,読むのをやめた.時間がない人は巻末の解説を読めば十分そう.
大きな学びは以下の通り
・資本主義は経済システムではなく制度化された社会秩序である.資本主義は資本主義の枠の外にあるものを前提とするのにそれらに対して見返りを与えていない.近年の少子化,環境破壊,民主主義の危機といった形でそれが表れている.これは資本主義の持続可能性に大きな疑問を投げかける.このように単なる価値交換の仕組みにとどまらない影響を持つがゆえに資本主義は「制度化された社会秩序」なのである.
・主語が大きいこともあるが腹落ちする論理展開を読み取れない部分が多い.
お気持ちが先行しているのか自分の理解力が欠如しているのかのどちらかだろう.
・資本主義が維持していくには資本主義的でないものを糧とする必要がある.社会的再生産や自然環境,政体.なのに資本主義は非資本主義的なものにタダ乗りをしてて十分な見返りを与えていない.
・この手の本で昔,「東京はダサい町である.人口の再生産ができず郊外から人を仕入れないと維持できないから」という旨の一文を読んだことを思い出したがこれを堅苦しく表現するとこうなるんだろう.巻末の解説の「資本主義は労働力の商品化が要諦であるが,資本主義は労働力自体の生産はできない」という点とも通じる.
・資本主義を絶対悪と見做す前提がそもそも腑に落ちない.
ー構造上「搾取」や「収奪」は起きているが,個々人が,あるいは国家や人類が得られてきた恩恵も多分にあるのでは?
ー少なくとも21世紀の日本では誰もが投資を始めることができるしビジネスを始める(労働力をうるのではなく商品を売る資本家になる)こともできる.マタイ効果による不平等性は否定し得ないがそれでもできることはあるのでは?
ー資本家が「搾取できる」立場にあるとはいえ,その立場に至る上でリスクテイクをしている.このリスクテイクに対する見返りは?このリスクテイクには一切見て見ぬ振りをして,「搾取だ」と糾弾するのと「あいつは賢くもうけてずるい.俺たちにも分前をよこせ」と曰うのと何が違う?
・ましてはその資本主義の代替策が「社会主義」であるという主張はもっと受け入れ難い.
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資本主義は「経済システム」ではなく「制度化された社会秩序」
資本主義を規定する第一の特徴:
生産手段の私的所有
生産手段が手元にない→労働市場へ赴く
第二に特徴:自由労働市場
第三の特徴:自己増殖が目的化
マルクス「資本主義社会では資本そのものが主体,人間は駒に過ぎない」
情動労働
自分の感情をコントロールし,相手に合わせた態度や言葉遣いが求められる労働
肉体労働とも頭脳労働とも違う
共食い資本主義
・資本主義の生産は,資本主義の枠組みには収まらない社会的再生産(子供を産み,育てる.動植物層を維持する等)がなければ維持できない.それらからもらうものはもらうのに返さない.
"マルクスは資本主義を搾取のシステムと捉え直した"、"蓄積の秘密が資本による金労働者の搾取にあることを突き止めた"
→個人的は完全にアグリーではないけど、こういう頭で世界を見ている人は金持ちが悪者に見えて仕方ないんだろうな。
"マルクスの考えでは...労働者に支払われるのは、社会的に必要とされる平均的な再生産費用だけだ"
"マルクスの考えでは、資本主義は単なる経済ではない。階級支配の社会システムであり、その中心を成すのは、商品生産において資本が自由労働を搾取することである。"
搾取: 金で労働力を買う →労働者
収奪: 人間の能力や自然資源を没収し、資本増殖の回路に徴用する 例 奴隷制、先住民、植民地 -
東2法経図・6F開架:B1/7/1740/K
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332-F
閲覧新書 -
めちゃおもろい
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資本主義を単なる経済システムではなく社会体制として捉える発想も、資本主義が際限なく富を蓄積する根源的な動機を持つことも、資本家が社会の再生産活動にビタ一文払わずタダ乗りしていることも、新たな気付きだった。ただ共喰いという比喩は全然ピンとこない。共喰いは同種のものが捕食し合うことを指すが、資本が食い散らかしているのは仲間の資本ではなく自然だったり労働者だったりして、共喰いの要素はどこにもない。
さて、資本主義が持続可能でない事はわかった。では社会主義が持続可能なのかと言えば、それは十分には示されていない。社会主義者はよくソ連式の共産主義とマルクスの社会主義は違うと言うが、それは詭弁だ。社会主義は◯◯でない式の説明は社会主義を言い表すのに全く不十分で、何がどう違うのかを言わなければ話にならない。これもそこが完全に欠落している。
あと翻訳も上手くないね。AIが翻訳してるのかと思った。こんな直訳なら原文のほうが理解しやすいのでは? -
タイトルほどには分かりやすくない本文だけど(こっちの理解力不足が原因)、こうした論考が増えてきたのは嬉しい。
明らかに現在の社会システムは、行き詰まっている。もっと皆んなが幸せになれる社会システムが探究されていい。それこそが社会科学の役割だと思ってる。